【趣味人ジドウシャ部】#05 ランドローバー・ディフェンダー(スペック編)


クルマの新旧や機能だけでなく、趣味性の高いクルマ、さまざまな趣味への汎用性が高いクルマを紹介するこの連載。5台目は「ランドローバー・ディフェンダー」。


イギリスのランドローバー社が製造し、ヨーロッパを中心に軍用車両などにも採用されていた、ヘビーデューティな四輪駆動車です。


2015年に惜しまれつつ生産終了したこのクルマ、2018年には同じ名前を冠した次世代モデルが登場すると噂されています。



4WD多目的車として農作業から軍用まで幅広く活躍

高い走破性と耐久性、使い勝手のよさから、農作業車だけでなく、軍用車、警察や消防車両などに採用されたクルマです

 出典  Funmee!!編集部


「ランドローバー・ディフェンダー」が登場したのは、1990年。といっても、「ディフェンダー」という名前になったのが1990年というだけで、このクルマのルーツは第二次世界大戦直後に遡ります。


中型サルーンカーを中心に製造していたイギリスのローバー社は、戦後になって、大戦中に各地で活躍したアメリカのジープをお手本に、四輪駆動の多目的車の開発に取り組みました。


そして「ランドローバー」と名付けられた試作車が1947年に作られ、翌1948年にアムステルダム・モーターショーで正式に「ランドローバー・シリーズI」として発表されました。当時のコンセプトは「あらゆる仕事に対応する農民のメイド」でした。当時はまだ1970年登場の「レンジローバー」や、1989年登場の「ディスカバリー」といった他の車種はなかったので、ブランド名=車名だったわけです。


シリーズIは1949年からイギリス軍に正式採用され、デビュー以来の10年間で20万台以上のセールスを上げた後、1958年に「ランドローバー・シリーズII」にモデルチェンジしました。主な変更点はボディデザインで、フロントタイヤ上に大きく張り出したウイング部分のラインがそのままボディ後方まで伸びるディフェンダーの特徴的なデザインはこのときに生まれました。



全体的に角張ったスタイリングですが、車両前方のウイングのふくらみがまっすぐ後方まで続いていて、そのラインがアクセントになっています

 出典  Funmee!!編集部


またシリーズII末期の1966年には、それまで左右のウイングより奥まった位置にあった中央のラジエーターグリルが前方に出てウイングと一面化されるとともに、グリルにあった2つのヘッドライトがウイングに移動されて、外見的に後のディフェンダーとほぼ変わらない姿になりました。



四角いラジエーターグリルの左右に丸目のヘッドライト。シンプルながら押し出しの強い顔つきです

 出典  Funmee!!編集部


1971年にはシリーズIIをマイナーチェンジした「ランドローバー・シリーズIII」が登場し、1983年には「ランドローバー・110」と改称されました。この数字はホイールベース(前後輪の軸間距離)がちょうど110インチ(2,794mm)だったことに由来します。そして翌1984年にはホイールベースが93インチ(2,362mm)の「ランドローバー・90」と、127インチ(3,226mm)の「ランドローバー・127」が追加されました。さらに1989年にランドローバー・ディスカバリーが登場したことを受けて、車名の混乱を避けるために1990年に「ランドローバー・ディフェンダー90/110/130」と再改称されたのです。


その後ランドローバーブランドは、1994年からBMW、2000年からフォード、そして2008年からはインドのタタモータースの傘下と目まぐるしく流転しましたが、ディフェンダーは基本的な設計に大きな変更を受けることなく2015年まで製産され、シリーズIから続いた67年間の歴史に幕を下ろしました。



実用車ならではのシンプルで無骨なデザイン

フロントウインドウ下部には、窓が可倒式だったころの名残のヒンジ。2006年以前のモデルのウインドウ下には空気を取り入れるための開閉式ベンチレーターがついています

 出典  Funmee!!編集部


ディフェンダーの特徴は、何と言っても頑丈なラダーフレームの上に載せられたアルミ製ボディ。サスペンションこそ1983年にリーフスプリングからコイルスプリングに変更されていますが、この基本構造は67年の間ほとんど変わっていません。


ディフェンダーのフロントウインドウ下部の左右には、ヒンジがついています。これは、ご先祖であるランドローバー・シリーズIがオープンルーフのクルマだったことの名残です。ジープをはじめ、屋根のないオフロードカーは、フロントウインドウを前に倒せるようになっているのが普通でした。ディフェンダーはこのヒンジも窓も動かないのでもう意味はないのですが、こうしたパーツがそのまま残されているところからも、このクルマの設計が昔から変わっていないことを物語っています。



アルミ製ボディパネルの継ぎ目に打たれたリベットがミリタリー感を醸し出しています

 出典  Funmee!!編集部


そもそもディフェンダーがアルミボディを採用したのは、第二次世界大戦後のイギリスではスチールが配給制限されていて、アルミニウムのほうが入手しやすかったから。それが結果的にラダーフレームで重くなりがちな車重を軽量化する役割を果たしています。


ボディのアルミパネルは、夜に街灯などの光に照らされるとよくわかりますが、微妙に波打っています(ベコベコ柔らかいわけではありません)。そしてパネルの継ぎ目にはむき出しのリベットが並んでいます。左右やリアのドアもごついヒンジがむき出しになっています。



車高が高いので、乗り降りの際にはステップが必要。個体によっては無骨な跳ね上げ式のステップが装着されています

 出典  Funmee!!編集部


丸目のヘッドライトやウインカーにしろ、リアのコンビネーションランプにしろ、見やすい場所、取り付けやすい場所にただそのままつけたような配置。給油口もボディをえぐりとったような形の穴の底にむき出しでついています。


至る所が雑というか、素っ気ないというか、とにかく無骨なつくり。作業車なのだから、見栄えをよくするためのデザインや加工は不要、という姿勢が感じられます。にもかかわらず、ちぐはぐな感じはなく、全体的に整ったスタイリングになっているのは、ひたすらシンプルに作り込んだ実用車だからこそ。あれこれデザインしていない飾り気のなさが、逆に何とも言えないカッコよさ、味を生み出しているのです。



風格のあるたたずまい。ルーフキャリア&ラダーは、ランドローバーが主催していたアドベンチャーラリー「G4チャレンジ」用に作られた純正品

 出典  Funmee!!編集部


■取材・撮影協力

ツインランド

1996年に開店したランドローバーおよびランドクルーザーの専門店。現在は取り扱いの9割以上がランドローバーで、ディフェンダーがその大半を占める。20年以上かけて培ったランドローバーの整備技術に定評があり、オーダーに応じて車両の販売も行う。


神奈川県相模原市千代田2-6-2

TEL:042-730-6088

営業時間:10:00〜19:00(日曜祝日は〜18:00)

休み:水曜



===

文:和田達彦(Tatsuhiko Wada)

写真:銭田豊裕(Toyohiro Zenita)



最新情報はこちらから フォローやいいね!をして最新情報を受け取ろう

Funmee!!編集部

Funmee!!編集部

TOP