歴史的名器からこだわりの改造まで!野村義男さんが最近恋したギターたち


プロギタリストとして様々なミュージシャンとステージを共にする一方、日本有数のギターコレクターとしても著名な、“よっちゃん”こと野村義男さん。


前回のインタビューではギターに対する思いやコレクターとしてのスタンスについて話を伺いましたが今回は最近、入手したコレクションの一部について拝見させてもらいました。



よっちゃんの宝物!時を越えてやってきたギターたち

世界に10本だけ!?Fender カスタムテレキャスター(1967年製)

Fender カスタムテレキャスター(1967年製)

 出典  Funmee!!編集部


まずはこちら、相当使い込まれた風合いのカスタムテレキャスター。元のボディカラーは白系ですが、変色が進んで、黄みがかってきています。


通常のテレキャスターとの違いは、ボディにバインディング(縁取り)が施されていること。世界でも10本ほどしかない超貴重品で、滅多にお目にかかれない1本です。

ボディサイドの上下に黒バインディングが施されている

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「バインディングがカスタムテレキャスターの特徴。中でも白地に黒バインディングってのは世界でも10本くらいしかないんじゃないかな。おそらく当時のアメリカの楽器屋さんが別注したものだね」

超レア!幻のFender ノーキャスター(1951年製)

Fender ノーキャスター(1951年製)

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「元々ブロードキャスターを持っていたんだけど、若い頃に家賃が払えず、手放してしまった。いつかまた……とずっと思い続けていて、ようやく去年見つけたのがこれなんです」



通常Fenderロゴの右側にあるはずの製品名がないのが「ノーキャスター」の証拠

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今回持ってきていただいたものの中でもひと際レアな逸品がこちらのノーキャスター。

使われているすべてのボルトがマイナスネジなのも大きなポイント。このギターが製造された頃にはまだプラスのボルトが流通していなかったとされている

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これは我々がテレキャスターとして認識しているギターがまだテレキャスターではなくブロードキャスターという名前で売られていた頃、商標の問題でブロードキャスターという名前が使えなくなり、改めてテレキャスターという名前で売られるようになるまでの半年間だけ名称のない状態で売られていたもの。


ブロードでもテレでもない”NO”キャスターということです。



弾き味はマンドリン。Gibson「M6」(2005年製)

Gibson「M6」(2005年製)

 出典  Funmee!!編集部

こちらは友人のギタリストの松尾バンナさんから買い取ったもので、マンドリンの弾き味をギターに落とし込んだ変わり種。「売ろうと思っているんだけど、知らない人の手に渡るのは……」という松尾さんの一言で、コレクションに迎え入れることに決めたそうです。


マンドリンは弦が8本の楽器ですが、こちらはあくまでもギターなので6弦仕様です。色はヘリテイジチェリー。




よっちゃんと同級生。Gibson EB-2(1964年製)

Gibson EB-2(1964年製)

 出典  Funmee!!編集部


珍しいGibson製のベースも。


「これも仕事用に買ったものなんだけど、リアピックアップがないからどうしても音がもこっとしちゃって使えなかった。'64年製なんで、同い年です」


この同級生のベースは、新大久保界隈で見つけたそう。


仕事のときの相棒的ギターたち

最新!Fenderアメリカンエリートシリーズ「テレキャスターシンライン」(2017年製)

Fenderアメリカンエリートシリーズ「テレキャスターシンライン」(2017年製)

 出典  Funmee!!編集部


こちらは現行品。中空構造のテレキャスター「テレキャスターシンライン」の最新モデルです。色は「シャンパン」というこちらも新しいカラーリングで参考価格:¥ 253,800 (税抜)。


「テレキャスターのリアピックアップは通常ブリッジ※と一体化してるけど、これは新しい考え方で、2つに分かれてる。ブリッジが浮いたような構造になってるから、振動がよりボディに伝わりやすくなってるみたい。中空構造で特徴的なモデルだけど、ボディに空洞のない普通のソリッドギターと使いどきを区別することは特になくて、割とオールラウンダーだね」


※ブリッジ…弦をボディに固定し、振動をボディ全体に伝えるパーツ。写真ではボディの一番下の横長のパーツがそれ。



自ら改造!Gibson ヒストリックコレクション SG(2014年)

Gibson ヒストリックコレクション SG(2014年)

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こちらは1959年のSGを復刻したモデル。この時代のSGの特徴はずばり、「SGではなかった」こと。どういうことかというと、まだSGという呼称が存在しておらず、一括りに「レスポール」と呼ばれていたのです。現にヘッドのトラスロッドカバー部分には「Les Paul」と刻印があります。


「本物の61年製SGを手に入れたときに、さすがに気軽に持ち出せないなってことで買ったもの」



よっちゃんオリジナルの改造も。Fender ムスタングベース(2016年製)

Fender ムスタングベース(2016年製)

 出典  Funmee!!編集部


仕事でベーシストとしてツアーを回ることもあるという野村さんは、ベースも数多く所有しています。こちらは昨年発売されたムスタングベース。最も一般的な2モデルであるジャズベースやプレシジョンベースと比べてネックの短い「ショートスケール」と呼ばれる仕様のモデルです。


それまでのムスタングベースは専用のピックアップを1つ載せたものが基本でしたが、こちらはフロントにプレシジョンベースの、リアにジャズベースのピックアップを載せた”PJタイプ”と呼ばれるレイアウトの品です。参考価格:75,600円 (税込)。


「UTSUさん(TMNの宇都宮隆さん)のサポートのために買ったもの。そのバンドで僕、ベースを弾いてるので。ギターのネックに慣れてるから普通のベースはネックが長くて弾きにくくて、これ以外にもショートスケールのベースはたくさん持ってます」


こちらのベースには、楽器を愛する野村さんならではの改造がなされています。注目ポイントは両ピックガードの右上についているスイッチです。



野村さんの手の少し上の部分、白いスイッチが改造ポイント

 出典  Funmee!!編集部


このスイッチはギターのムスタングに準拠して後付されたもの。元々は弦を挟んで逆側にトグルスイッチが付いていました。


「元々トグルスイッチがついていたんだけど、Fenderらしくなくてどうも気に入らなくて」


ムスタングを知る人なら思わず唸る粋な改造ポイントです。



なんと3.7kg!Gibson ヒストリックコレクション 1959 レスポール(2014年製)

軽くて、ライブでも大活躍!

 出典  Funmee!!編集部


こちらも仕事のときに使うことが多い相棒的なギター。世良公則GUILD 9などで活動するときに、使用することが多いそうです。

前に使っていたレスポールが重たかったので軽いのを探して見つけた1本。その重さ、なんと3.7kg!
メインだったレスポールの中身を全て移植し、お気に入りだそうです。

よっちゃんとギターの旅はまだまだ終わらない

宝物のギターを弾きながら、うっとりする野村さん

 出典  Funmee!!編集部

「ギターが大好きだから、みんなが持っていないものを手に入れたい。過去に存在していたけれど、今は誰も知らないようなギターを見つけ出して、未来の人にその存在を知ってほしいんです」


まだ誰も見たことのないギターを探しに海外へ行くこともあるという野村さん。「これからも、素晴らしいギターと出会い続けたいです」と少年のような眼差しをギターたちに向けていました。






■プロフィール

野村 義男(のむら よしお)さん


ギタリスト・音楽プロデューサー。東京都中野区出身。

自身のバンドのほか、数多くのミュージシャンのサポートギタリストを務める。日本有数のギターコレクターとしても知られ、著書にコレクションをまとめた写真集『野村義男の“思わず検索したくなる”ギター・コレクション(ギター・マガジン編集部)』『野村義男の“足の踏み場もない”エフェクター・コレクション(ギター・マガジン編集部)』がある。

愛称は「よっちゃん」。



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文:平石ゲル(Geru Hiraishi)

写真:鳥居健次郎(Kenjiro Torii)



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Funmee!!編集部

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