【ザ・使い込んでる部】#31 佇まいが格好いい、文字を書きたくなる万年筆


使い続けるのには理由がある。愛し続けられるのには想いがある。そんな趣味にまつわるこだわりの“私物”を紹介する「ザ・使い込んでる部」。

 

今回は喫茶店文化の根付く神保町でコーヒー店を営む『眞踏珈琲店』の店主、大山眞踏さんが中学生の頃からその魅力にハマっているという万年筆をご紹介。



祖父から譲り受けたパイロットの「エリート」。世代を超えて受け継がれるのも万年筆の魅力です

祖父から譲り受けたパイロットの「エリート」。世代を超えて受け継がれるのも万年筆の魅力です

 出典  Funmee!!編集部


僕の初めての万年筆は、中学1年生の時に両親に買ってもらったものです。もうどのブランドのものか覚えていないのですが、その万年筆で日々、筆記体の練習をしていましたね。2本目は祖父から譲り受けた老舗メーカーであるパイロットの「エリート」。これは日本で最もポピュラーな万年筆のひとつです。胴軸が短くコンパクトなのですが、使用する際はキャップをはめることでちょうどいい長さになる優れものです。



誰もが知っている万年筆ブランドのモンブラン。そのデザインの美しさに見惚れたといいます

誰もが知っている万年筆ブランドのモンブラン。そのデザインの美しさに見惚れたといいます

 出典  Funmee!!編集部


中学高校時代は授業中にノートを取る際、すべて万年筆を使うほどハマりました。自分で初めて購入したのが、大学進学時にアメリカで購入したモンブランの「ボエム」。万年筆といえば、モンブランが有名でしたし、ギミックがあまりにも格好良かったんです。



大山さんの仕事着であるベストのポケットには、いつも万年筆がささっています

大山さんの仕事着であるベストのポケットには、いつも万年筆がささっています

 出典  Funmee!!編集部


リーズナブルにボールペンが手に入る時代、万年筆というのは必需品ではありません。インクも定期的に取り換えなくてはならないし、紙によってはにじんでしまったり、水に弱かったりするなどデメリットも多いです。でも、それを補うくらいの格好良さと、書き味の気持ちよさがあるんです。

 

いまでは仕事中、いつも胸に万年筆をさしています。もちろん、ショップカードに名前を書いたりと使用もしているのですが、さしていることに意味があると思うんです。

 


ペリカンの「M800」で書いた文字は、線に抑揚が出るのが特徴

ペリカンの「M800」で書いた文字は、線に抑揚が出るのが特徴

 出典  Funmee!!編集部


20本ほどの万年筆を持っていますが、どれも用途が違います。例えば、ペリカンの「M800」は、ペン先がどの方向からでも書けるようにとペン調整の職人である『フルハルター』の森山信彦さんに依頼して調整してもらったものです。ぬるぬるとした書き心地で、楽しんで文字を書きたい時に使っています。

 

英語で手紙を書くときは、ペン先が柔らかく、するすると書けるパイロットの「フォルカン」、漢字や日本語を書く際にはセーラーの「長刀研ぎ 万年筆」と使い分けています。

 


日本ならではの漆を使った万年筆や、ガラスのボディが美しいものなど、素材感の違いも楽しめます

日本ならではの漆を使った万年筆や、ガラスのボディが美しいものなど、素材感の違いも楽しめます

 出典  Funmee!!編集部


上の写真、赤系の1本は、オーダーメイド万年筆で知られる『中屋万年筆』で1年かけて作ってもらった漆の「背鰭」です。赤溜めという色で、時が経つにつれて色合いが変化していくのも楽しみです。青系の1本はボディがガラスの万年筆で、ベネチアのムラーノ島で職人が1本ずつ作るシグナムの「ムラーノコレクション」です。オールハンドメイドで生産量も少ない貴重な1本です。



万年筆ユーザーの目線で作られたオリジナルのペンケース

万年筆ユーザーの目線で作られたオリジナルのペンケース

 出典  Funmee!!編集部


ペンケースは『ディープオリーブチーム ケイクラフツ』さんにオーダーで作っていただいた12本万年筆ケース。万年筆をすべて職人さんのところに持ってゆき、一本一本に合わせて太さや深さを調整していただいたお気に入りのケースです。




お店に訪れるお客さんと万年筆談義に花を咲かせることもしばしば

お店に訪れるお客さんと万年筆談義に花を咲かせることもしばしば

 出典  Funmee!!編集部


僕は万年筆の魅力をもっと知ってほしいと思って、お店のスタッフたちに万年筆を1本ずつプレゼントすることにしているんです。お客さんと万年筆話で盛り上がることもあります。便利なものだけでなく、アナログの楽しさ、万年筆の書き味の心地よさを知ってほしいですね。



お店の入り口の隣の棚は、万年筆コーナーとしてさまざまなインクのほか、万年筆関連の本や雑誌を置いています

お店の入り口の隣の棚は、万年筆コーナーとしてさまざまなインクのほか、万年筆関連の本や雑誌を置いています

 出典  Funmee!!編集部

万年筆のすべて (趣味の文具箱特別編集)

心地よく書けると、気持ちも深く伝わります。そんな1本を見つけるのに役立つ1冊。

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■プロフィール

大山眞踏(おおやままふみ)さん

 

1985年生まれ。東京出身。ロサンゼルスの大学へ進学、社会学を専攻し貧困問題を研究していた。大学院では、アフリカの貧困問題を研究。帰国後は表参道の『蔦珈琲店』で修行した後、独立。神保町に『眞踏珈琲店』をオープンした。店内には蔵書が約4,000冊も置かれており、本と珈琲を楽しめる喫茶店として親しまれている。

 

 

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文:千葉泰江(Yasue Chiba)

写真:岡崎健志(Kenji Okazaki)

 


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Funmee!!編集部

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