【趣味人ジドウシャ部】#17 メルセデスベンツ280<W114型>(歴史編)


クルマの新旧や機能だけでなく、趣味性の高いクルマ、さまざまな趣味への汎用性が高いクルマを紹介するこの連載。

 

今回は、世界中で最も有名といっても過言ではないドイツの自動車メーカー、ダイムラー社のメルセデスベンツです。そんななかでも1968年に登場し、コンパクトと呼ばれたW114型モデルのフラッグシップ「280」を取り上げながら、メルセデスベンツの歴史を解説します。




メルセデスベンツというと、長い歴史を持ち、高級車メーカーというイメージが日本では定着していますが、実は高級車だけでなく小型の大衆車からバス、トラックまで幅広く製作している総合自動車メーカーです。


今回取材した1972年型の280は、W114型という小型で取り回しやすい下位カテゴリーとしてリリースした通称「コンパクト」と呼ばれるモデルです。



スクエアでウインドーの立ったボディデザインが特徴のW114型

スクエアでウインドーの立ったボディデザインが特徴のW114型

 出典  Funmee!!編集部


「ハネベン」と呼ばれた先代W110型をより洗練したボディには、300SLロードスター(W198型)やフィンテール(W111型)で採用された異形縦目ヘッドライトを継承しています。特に縦目のヘッドライトはこの時代のメルセデスベンツの象徴ともいえるディテールで、日本では「縦ベン」という言葉が生まれるほど、大きな特徴となっています。



縦長の異形ヘッドライトは、W198後期モデルで採用されたこの時代のメルセデスベンツを象徴するディテールです

縦長の異形ヘッドライトは、W198後期モデルで採用されたこの時代のメルセデスベンツを象徴するディテールです

 出典  Funmee!!編集部


ところでみなさんはメルセデスベンツのことを「ベンツ」と呼びますが、これ、日本でしか通用しません。英語圏では「マーセィディス」、ドイツ語圏では「メルツェデス」が一般的です。しかも、メルセデスベンツを会社名だと思っている人も多いのではないでしょうか? そこで「メルセデスベンツ」という言葉の成り立ちや歴史についてちょっと触れておきましょう。

 

カール・ベンツが1883年に創業した「ベンツ&シー」という会社が1885年に三輪の「ベンツ・パテント・モトールヴァーゲン」という車両を製作し、翌1886年に特許を取得します。ちなみにカール・ベンツはこのほかにも2サイクルエンジンや、点火装置、キャブレター、クラッチ、ラジエターなど、さまざまな自動車用パーツの特許を取得しています。



カール・ベンツが1885年に作った三輪の「ベンツ・パテント・モトールヴァーゲン」

カール・ベンツが1885年に作った三輪の「ベンツ・パテント・モトールヴァーゲン」

 写真提供  DAIMLER


一方その頃、ゴットリープ・ダイムラーとヴィルヘルム・マイバッハもガソリンエンジンをほぼ同時に開発しています。そしてベンツよりも1年早い1885年に二輪車にガソリンエンジンを搭載し、特許を取得。これがのちに世界初のオートバイと見なされるとともに、1886年にはガソリンエンジンを搭載した四輪車、「ダイムラー・モトールキャリッジ」を製作します。



ダイムラーが1886年に四輪車にエンジンを搭載した「ダイムラー・モトールキャリッジ」

ダイムラーが1886年に四輪車にエンジンを搭載した「ダイムラー・モトールキャリッジ」

 写真提供  DAIMLER


メルセデスという名称は、初期のダイムラー社を支援し、さらにオーストリアでの販売も行っていたオーストリア人の実業家、エミール・イェリネックの娘の名前からつけられたものです。初めてメルセデスの名前を冠した車両は、1901年に35馬力のエンジンを搭載したレースカー「Mercedes 35hp」で、後に市販車両にもメルセデスの名前を冠することとなります。



初めてメルセデスの名前を冠したのは、1901年にダイムラーが製造したレースカーMercedes 35hpでした

初めてメルセデスの名前を冠したのは、1901年にダイムラーが製造したレースカーMercedes 35hpでした

 写真提供  DAIMLER


その後ベンツとダイムラーは1926年に合併をすることとなります。その際に社名を「ダイムラー・ベンツ」、車両を販売するブランドを「メルセデスベンツ」とすることとなり、メルセデスの名前は1世紀以上経過した今日まで残ることとなるのです。さらに現在は社名からBENZの文字は消えDAIMLER社となっています。

 

現在のメルセデスベンツのエンブレムは、ダイムラー社のスリーポインテッドスターに、ベンツ社の月桂樹とMERCEDES BENZの文字が組み合わされたものとなっています。これも今日まで残っている両社が合併した名残といえるでしょう。



ラジエターキャップの名残であるグリルトップに備わるスリーポインテッドスターエンブレムと、その下のメルセデスベンツのエンブレム

ラジエターキャップの名残であるグリルトップに備わるスリーポインテッドスターエンブレムと、その下のメルセデスベンツのエンブレム

 出典  Funmee!!編集部


そんな長い歴史を持つメルセデスベンツですが、今回紹介するW114やその後継のW123など、この時代のコンパクトはヴィンテージの入門用としておすすめとガレーヂ310代表の水戸さんは語ります。

 

「メルセデスベンツも時代とともに徐々にコストダウンを意識したものになっていきます。この時代のメルセデスベンツは作りがしっかりしていて、必要な消耗部品を交換していればいつまでも乗ることができるように設計されているんです。だからいまでもファーストカーとして乗っているお客さんも多いんですよ」

 

メルセデスベンツの魅力は決してそのプライスやステータスだけではありません。「大事に使えばずっと乗ることができる」という道具としての魅力が、いまでも多くのファンの心をしっかりと掴んでいるのです。



世田谷区の住宅街にあるガレーヂ310。ビンテージメルセデスの駆け込み寺として有名な老舗です

世田谷区の住宅街にあるガレーヂ310。ビンテージメルセデスの駆け込み寺として有名な老舗です

 出典  Funmee!!編集部
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■取材協力

ガレーヂ310


メルセデスベンツのなかでも特に’90年代以前のモデルを中心に取り扱うビンテージメルセデス専門店。創業1964年というから2018年で54年の老舗だ。今回紹介したような比較的手頃な入門モデルから、博物館級のレアモデルまで幅広く取り扱っている。

 

東京都世田谷区下馬4-19-5

TEL:03-3422-1966

営業時間:9:00〜18:00

休み:日曜日、祝日(ただし予約をすれば対応可)

 


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文&写真:勝村大輔(Daisuke Katsumura)



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Funmee!!編集部

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