「暮らし」と「アウトドア」はボーダーレス。ネイチャークラフト作家・長野修平さんのアウトドアな日常


ネイチャークラフト作家、焚き火&野外料理人として、雑誌やWEBメディア、ワークショップなどで活躍している長野修平さん。神奈川県相模原市の里山に自宅兼アトリエを構え、ご自身の作品や愛用のアウトドア用品に囲まれた生活をしています。


そんな長野さんのアトリエにおうかがいして、ご自身のアウトドアライフやアウトドア用品への思いを語っていただきました。



地図で見つけた「等高線の広い場所」がその日のキャンプ地

 出典  Funmee!!編集部


―― 自然にある素材でクラフト作品を生み出したり、焚き火を使って料理を作ったりされているので、アウトドアは小さいころから楽しまれていたのでしょうね?


実はアウトドアを始めたのはけっこう遅くて、30歳のころです。そのころに知り合った人たちと、いろいろなところにキャンプへ出かけました。今ではちょっと難しいと思いますが、キャンプ場ではないところでキャンプを楽しんでいたんです。


どうやったら安全にキャンプができるか、地図を見て等高線の広いところを探して出かける。そんな場所なのでトイレや水道もないし、水と食料を調達するところから始まるんです。



―― 昔は今ほどキャンプ場も多くなかったですし、そんなキャンプを楽しむ人も多かったですよね?


でも見つけたところが危険な場所だったり、私有地だったりすることもあるので、地元の人に確認はしていましたね。


例えばスーパーで買い物をするついでに「あの場所でキャンプしたいと思っているんだけど、どう?」なんて聞いて「あそこなら大丈夫だよ」と言われれば、そこでキャンプする。



長野流キャンプのベースは憧れの映画のワンシーン


―― どうしてそんなにワイルドなキャンプから始めることにしたのですか?


ジャングルでウサギを捕って焚き火で焼いて食べたり、肉を吊るしてナイフで切って食べたりする、映画の中のワンシーンに憧れて「こんなことをやりたい!」とずっと思っていたんです。


だから仲間と一緒に、月に1回はそんなキャンプをやっていました。雪中キャンプもしたし、山頂でキャンプもした。道具に頼らず、ビバークのようなキャンプを楽しんでいましたよ。



 出典  Funmee!!編集部


―― 道具に頼らないのであれば、それなりのテクニックは身につけておかないとなりませんよね?


僕の場合は実家が山菜料理屋だったこともあって、山菜採りやその料理を多少知っていたし、好きなクラフトの経験値もあったので役に立ちました。忘れ物も多かったので、そのへんにあるものでよく代用しましたよ。


パンはカゴに入れたほうがおしゃれかなと思えば、そのへんのツルでカゴを編んだりもしました。“ザル網”という初歩的な編み方だけれど、そのざっくりとした仕上がりがパンによく合うんです。それ以降、ツルで編むのはザル網だけですね。


編み方はステップアップすればするほど精度が高くなるので、材料もピシッと整っていないと編めないんです。だから太さがそろっていないツルしか手に入らないキャンプでは、ザル網が最適なんですよ。



キャンプ用品は思い出が詰まったアルバムのようなもの

 出典  Funmee!!編集部


―― そういえば長野さんのご自宅兼アトリエでは、カゴなどの手作り作品もそうですが、キャンプ用品もたくさん利用されていますよね?


リビングのディレクターチェアは、僕が20歳のときに買ったものです。昨年生地を張り替えましたが、フレームはそのまま。金具もいいものが使われているので持ちがいいんです。



 出典  Funmee!!編集部


キャンプで使っているダッチオーブンやスキレットは、家でも使っています。食器もキャンプ用品が多いですね。ほとんどのものがホーロー製。ウチの土間はコンクリートだから、食器を落とすと簡単に割れてしまう。でもホーローならコーティングがはがれる程度ですみますから。



 出典  Funmee!!編集部


外で行う夜の宴会では、もちろんランタンに明かりを灯しています。そのためには、いつでも使える場所に置いておくのが重要なんです。



―― クラフト作品と同様、長野さんにとってはキャンプ用品も日常的に使うグッズなんですね?


キャンプ用品はただのグッズではなく、楽しかったり、大変だったりした思い出が詰まっているアルバムのようなもの。それをずっと見ていたいし、使いたいんです。身近に置いておくだけでその記憶がよみがえる。一緒に苦労して旅をした道具は魅力的です。


だから同じ古いものでも、希少価値がついて高額になっているアンティークや、美術品になっているアートには興味がないんです。そうではなくて、使用感や実用感を伴う道具が好きなんです。お金を出せばだれでも手に入る道具には魅力がないですよ。



「文化」としてのアウトドアを育んでいきたい

 出典  Funmee!!編集部


―― 使えば使うほど味が出て愛着がわくというのは、こんなことをいうのでしょうね。


アウトドア業界で有名な堀田貴之さんがよく「アウトドアを“文明”ではなく“文化”にしよう」と言っています。使い捨て食器を使うのではなく、My箸・My皿・Myカップを持参してアウトドアを楽しむ。それが当然の“文化”としてのアウトドアを育んでいこうと。


少し違うかもしれないけれど、製品のエネルギーに頼るのではなく、ものを通じての暮らし方・過ごし方・使い方が重要だと思うんです。その道具のスペックではなく、自分の感覚が生活には大事だと思うんです。



 出典  Funmee!!編集部


―― 日常の暮らしとアウトドアレジャーが一緒になっている、そんなライフスタイルは素敵ですね。


僕の生活は、暮らしとレジャーが溶け込んでいる感じですね。都会に暮らす人のように、オンとオフとで暮らしを分けたりしない。分けるのはもったいないじゃないですか。


それって、1日のうちに自分じゃない自分を作って過ごすような気がするんですよね。



雑草だって晩のおかず。ネイチャークラフト作家・長野修平さんが語る、豊かな「里山」の暮らし


■プロフィール

ネイチャークラフト作家・焚き火&野外料理人

長野修平さん

アトリエNATURE WORKSを主宰。捨てられるもの、そこにあるものを暮らしやアウトドアに取り入れた独自のスタイルを表現するネイチャークラフト作家であり、野草を使った料理を得意とする野外料理人。雑誌やWEBメディア、イベントなどでそのスタイルを発信している。著書に『里山ライフのごちそう帖』(実業之日本社)、『東京発スローライフ』(オレンジページ)がある。



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文:牛島義之

写真:後藤 秀二



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Funmee!!編集部

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