【ザ・使い込んでる部】#19 文化を受け継ぐプジョーのヴィンテージ・コーヒーミル


使い続けるのには理由がある。愛し続けられるのには想いがある。そんな趣味にまつわるこだわりの“私物”を紹介する「ザ・使い込んでる部」。

 

今回ご登場いただくのは、フォトグラファーの加藤史人さん。7年前に購入したヴィンテージのコーヒーミルを、ほぼ毎日使っているそうです。



絶妙な中間色!ミントグリーンのボディ


このミルはプジョーの「Laque(ラッケ)」というシリーズで、2010年ころにフランスの蚤の市で購入しました

 

発見したときは、まず色と形に惹かれました。とくに気に入っているのは、ミントグリーンのボディカラー。ヨーロッパのプロダクトには絶妙な中間色を使っているモノが多いのですが、その好例と言えます。



購入の決め手となったのは、ミントグリーンのボディカラー

 出典  Funmee!!編集部


かつては日本でも似たような色が流行った時代がありました。たとえば、1950~60年代のさまざまな製品の写真を見ると、意外なことにミントグリーンが多いのです。

 

でも、現行のプロダクトには、残念ながら私の好きな中間色を使っているものが少ない。なので、このミルを探し当てた時の喜びは大きく、すぐに購入を決意しました。



前オーナーはフランス在住のおばあさん

グラインダーの刃が大きいため、コーヒー豆が挽きやすい

 出典  Funmee!!編集部


もちろん、良いのは色だけではありません。フランスから届いて実際に豆を挽いてみると、使い勝手も抜群でした。

 

蚤の市で売っていた方によるとこのミルは、現地在住のおばあさんが60年近く愛用したものでだったそうです。調べたところ、1950~1960年代に製造されたミルのようですが、内部の状態も良好でした。



前オーナーが大切に使っていたためか、内部の状態も良好

 出典  Funmee!!編集部


特徴としては、グラインダーの刃が大きく、豆が挽きやすい点が挙げられます。実際に、湯を沸かしてからコーヒーを飲むまでの時間を計測したことがありますが、6~7分程度しかかかりません。まあ、淹れ方は雑ですけどね(笑)。

 

グラインダーの刃は豆を挽いた後に長時間放置すると錆びますが、7年間ほぼ毎日使っているからか、分解してメンテナンスしたことは一度もありません。豆の油脂が刃に付着して錆びつくのを防いでいるのかな、と推測しています。



アナログな作業のひと手間で暮らしが豊かに

「挽きたての豆で淹れたコーヒーの味に勝るものはないです」と語る

 出典  Funmee!!編集部


私の一日は、豆を挽くことから始まります。朝起きると、仕事に行く前に4、5杯分の豆を挽き、多めにコーヒーを淹れます。1杯は飲んで、残りはポットに入れて持っていきます。そして、帰宅後も同じように豆を挽いてコーヒーを飲みます。

 

もともと朝は弱かったのですが、自宅では豆を挽かないとコーヒーが飲めないので、以前に比べて早起きになりました(笑)。おいしいコーヒーを飲みながら煙草を吸う時間は、とてもリラックスできますね。



淹れたてのコーヒーを飲む時間は、加藤さんの至福のひととき

 出典  Funmee!!編集部


手でコーヒー豆を挽くという行為は、生活様式としては「退化」かもしれません。ただ、日々使うことで、ミルの仕組みや調子を理解できるようになり、豆の固さや香りを感じることで五感は「進化」します。


一度、自分のスタンダードにしてしまえば、手間なことも苦にならなくなりますよ。




モノを次世代に伝える文化を根付かせたい


ライフワークの取材も兼ねてヨーロッパへ訪れ続けているうちに、アンティーク・コーヒーミルが増えていきました。そこで2017年6月にショップをネットで開業しました。

 

ショップを始めた理由はいくつかありますが、今回紹介するコーヒーミルからの影響も多分にあります。実際に自分が使い込むことで魅力がわかり、その良さをより多くの人に知ってほしいという思いが強くなったのです。



加藤さんが世界各地で集めた数々のアンティーク・コーヒーミル。ショップ「secondisco(セカンディスコ)」で扱っているものの一部

 出典  Funmee!!編集部


それに、ヨーロッパのアンティークのなかには、現行のプロダクトにはない魅力を感じられるものがたくさんあります。自分よりも若い世代のひとたちが、ヴィンテージ・カルチャーに触れるきっかけになれば嬉しいですね。

 

ヨーロッパでは、市民が家庭で使わなくなったモノをバザーなどで売り買いし、次世代に伝える文化が根付いています。私はおばあさんから受け継いだこのミルをずっと大切に使っていきたいし、年老いたら若い世代に手渡したい。そして、ショップでもその役割を担っていくつもりです。




■プロフィール

加藤史人さん


フォトグラファー。1978年生まれ、愛知県出身。雑誌や広告などを中心に活躍。趣味が高じ、2017年6月にコーヒーミルなどを扱うネットショップ「secondisco」をオープンした。

 

 

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文:吉田勉(Tsutomu Yoshida)

写真:上石了一(Ryoichi Ageishi)



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Funmee!!編集部

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