カヤックがあれば遊びのアイデア無限!冒険家・八幡暁さんが伝える海の魅力


人力では不可能とされてきたフィリピン~台湾間の海峡を初漕破するなど、数々の「世界初」記録も持っているシーカヤック冒険家・八幡暁さん。

 

彼が海を渡る理由は至ってシンプル。「この先に何があるのか見てみたいから」なのです。そんな好奇心いっぱいの八幡さんに、シーカヤックで旅をする楽しさを教えてもらいました。




知りたいから行く。やりたいからやる。ただそれだけ


―― 八幡さんはこれまでたくさんの冒険をされてきたと思いますが、危険を冒してまで、人力で海を渡る理由を教えてください。

 

自分では“冒険”という意識はまったくないんですよね(笑)。冒険家ってだいたい、前人未到とか世界初を狙ったりしますけど、そんなのは全然関係なくて……。僕の原点は多摩川の水源探しにあって、大学生の頃、ふと「この川の先はどうなっているんだろう?」と思って川原を歩いて上流まで行ってみたのが始まりなんです。

 

今までの旅もその延長で、「この海の先はどうなっているんだろう?」とか「誰がどういう暮らしをしているんだろう?」という単純な好奇心からスタートしました。



現在の拠点である石垣島をはじめ、八重山諸島はカヤックの楽園

 提供  八幡暁さん


―― カヤックと素潜りを駆使した旅がお得意とのことですが、始めたきっかけは何だったのでしょうか?

 

大学時代は体育会系だったんですけど、スポーツでは一流になれなくて、挫折して……。そんな時に多摩川の水源探しに出かけて、水辺の気持ちよさに改めて気づいたんです。

 

そして同じ頃、素潜りで漁をする人に出会うきっかけがあって。八丈島の漁師さんだったんですけど、海の中を自由自在に動いて、モリひとつで魚を獲る人間の姿を初めて見て、「こんなことができるんだ!」と感動して、挑戦したのが始まりです。



シーカヤック冒険家・八幡暁さん

 出典  Funmee!!編集部


―― カヤックより先に、素潜りと出会ったのですね!


そうなんです。そして大学の卒業を迎えるわけですが、「素潜りというやりたいことがあるのに、就職している場合じゃない」と思いまして(笑)。

 

卒業後はモリを持って世界中の海を3年間くらいかけて旅しました。その時、海の向こうに島が見えて、でも観光地じゃないから定期船がなくて渡れない……という経験が何度かあって。それで「何か自由に移動できる乗り物がないかな?」と考えるようになり、行きついたのがカヤックだったんです。



生きることに、特殊能力なんか必要ない

2009年、バリ島~モヨ島横断の途中で立ち寄ったスンバワ島で村人と一緒に

 提供  八幡暁さん


―― 2002年からスタートした『グレートシーマンプロジェクト』について教えてください。

 

「海と共に暮らす人々は、どのように生きているのか」をテーマに、オーストラリア~日本にかけての海域をいくつかに区切って旅しました。インドネシアやフィリピン周辺で立ち寄った島は、電気や水道が通っておらず、文明も入っていない場所がほとんど。上陸時はこちらも緊張しますが、現地の人もビビりますよね。見たこともない船でいきなり外国人がやってくるわけですから……(笑)。

 

言葉が通じないことも多かったですが、村の長レベルの人はたいていその国の母国語を話せるので、ある程度覚えて行ってコミュニケーションを取りました。



 提供  八幡暁さん


―― これまでの旅の中で、一番印象に残っているのはどんなシーンですか?


インパクトある出会いはたくさんありましたが、個人的には「普通の暮らし」をしている人が一番印象に残っています。「こんなに気楽に生きていいんだ」と気づかされたというか。「身の周りの資源を絶やないように獲る」という当たり前のことさえできれば、生きていくうえで特殊能力なんか必要ないんだと感じて、それが今の暮らしのベースにもなっていますね。食べ物はそのへんの川や海、山にいっぱいあるし、別に特別なことをしなくても生きていけるんです。



バリ島~モヨ島横断の際にはロンボク島にも上陸し、村人と交流を深めた

 提供  八幡暁さん


―― たしかに、生きるうえで本当に必要なモノや能力って意外と少ないのかもしれませんね。

 

未開の島に住んでいる人も、都市に暮らす文明人も、根本的にはたいした違いはないということもわかりました。村の長は権力を示すために大きな羽根を身につけたりしますが、都市に暮らす人もタトゥを入れたり、高いブランド物を持って他人より優位に立ちたがる。文化や文明に差異はあっても、結局、人間ってみんな一緒なんですよね。



カヤックがあれば、海遊びの幅がもっと広がる!

“海抜0m”のカヤックは、自然をダイレクトに感じられるという魅力も

 提供  八幡暁さん


―― 『グレートシーマンプロジェクト』と並行して、2011年からは『海遍路』もスタートしましたよね。


『海遍路』は、日本全国の漁村を訪問して漁師に話を聞くというプロジェクトで、これまでに3年かけて四国を一周したり、有明海を周ったりしました。“海抜0メートルの視点”で地域に生きる人々と出会い、暮らしを学ぶことができるのもカヤックならではですね。



自身のショップ『ちゅらねしあ』では、カヤックで石垣島の無人ビーチを目指すキャンプツアーも開催

 提供  八幡暁さん


―― 八幡さんにとってカヤックは、もはや必要不可欠なパートナーですね。これからカヤックを始めたい人に向けて、遊び方のアイデアがあれば教えてください。

 

カヤックの一番の魅力は、「陸の暮らしじゃない世界」つまり「魚の住む世界」へ簡単に行けること。海の上を自力で移動するだけでも十分楽しいと思いますよ。あとはキャンプもおすすめで、僕の石垣島のショップでは「カヤックで無人島を目指し、そこで3日間暮らしてみよう」というツアーをやったりもしています。カヤックなら、テントや食材、水など、暮らしの道具を全部積むことができますから。今はSUPなど手軽な乗り物もありますが、カヤックは積載力に優れ、移動スピードも速いので、海遊びの幅がもっと広がると思います。




■プロフィール

八幡暁さん

1974年東京都生まれ。大学時代より海に目覚め、八丈島で素潜りを始める。卒業後は各地の漁師の仕事を学びながら国内外を巡る。旅の途中でシーカヤックと出会い、2002年より「海と共に暮らす人々は、どのように生きているのか」をテーマに、オーストラリアから日本までの多島海域を舞台にした人力航海の旅『グレートシーマンプロジェクト』をスタート。また、2005年には“身の丈+10センチ”をサポートする手漕屋素潜店『ちゅらねしあ』を沖縄県石垣島にオープン。その後、日本全国の漁村を訪問し漁師に話を聞く『海遍路』、都市生活における水辺を取り戻す活動『じゃぶじゃぶ』なども展開。2016年より『一般社団法人そっか』の共同代表を努め、現在は沖縄と逗子をベースに活動している。

 

 

===

企画・編集協力:枻(エイ)出版社

文:古田朱美 (Akemi Furuta)

写真:上樂博之 (Hiroyuki Joraku)



最新情報はこちらから フォローやいいね!をして最新情報を受け取ろう

Funmee!!編集部

Funmee!!編集部

TOP