【こんなイベントあるんだ!】KVWTに集まるクラシックフォルクスワーゲンオーナーたち


世に数えきれないほどあるイベントの中から、「好きなこと」に特化したイベントを紹介する企画「こんなイベントあるんだ!」。

 

前回に続いて、日本屈指のヴィンテージフォルクスワーゲン(以下、VW)が集う、5.Klassisches VW Treffen In Japan(クラシシェス・フォルクスワーゲン・トレフェン。以下、KVWT)に潜入取材!

 

日本各地から集まったヴィンテージVWとそのオーナーに、VWとの暮らしをどのように楽しんでいるか聞いてみました。



ポルシェの心臓を持つカルマンギアクーペ

神奈川からエントリーの高山さん。これでカルマンギアは2台目というカルマンギア好き

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1台目に紹介するのは、神奈川県から参加の高山文治さんの愛車は、カルマンギアと呼ばれる1957年式モデル。

 

カルマンギアは、ビートルのコンポーネンツを使用し、イタリアのカロッツェリアギアがデザインした流麗なクーぺボディを、ドイツのカルマン社が架装したスペシャルモデルです。デビューは1956年なので、高山さんの愛車は非常に初期のモデルということになります。

 

高山さんは、そんな貴重なカルマンギアの雰囲気を損ねることなく、非力なオリジナルをパワーアップさせるべく、ポルシェ912のエンジンを移植。パフォーマンスアップを果たしました。



エンジンルームを開けるとポルシェ912のエンジンが収まっていた。当時のVWのエンジンが36馬力であるのに対して、ポルシェ912のエンジンは90馬力

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ポルシェのコンポーネンツの移植でパワーアップを図る手法は1950年代から行われています。こういった古いチューニング手法に則ったカスタムは「ヴィンテージ・パフォーマンス」と呼ばれ、ここ数年人気となっています。



エンジンルームを開けなければポルシェのパフォーマンスを持つことはわからない。外観上で唯一ポルシェを感じさせるのは、ポルシェ356のステアリングのみだろう

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実は高山さん、8年前にこのクルマを購入する以前にも1965年式のカルマンギアに乗っていたという大のカルマンギア好き。つい最近もこれまで異なる年式のシートが備わっていましたが、正しい年式のシートをようやく入手し、さらなるディテールアップを果たしてイベントへと参加。「一生モノです」との言葉通り、愛車の進化は常に続いています。   



1950年代のワーゲンバスを駆り、新潟から自走で参加

池田さんは、息子さんと二人で新潟から500km近い距離を自走してエントリーを果たした

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新潟に住む池田雅輝さんは、VWを何台も所有するVWフリークとして知られる人物。数ある彼のコレクションの中から今回のイベント参加の相棒に選んだのは、1955年式のタイプ2。

 

ワーゲンバスとして知られるタイプ2は、1949年に登場したビートルの派生モデルで、エンジンやトランスミッションはビートルと共有しています。

 

生産初期のタイプ2は、リアハッチが備わらない代わりに、後のモデルに比べて大きなエンジンリッド(エンジンルームのドア)を備えています。このエンジンリッドを納屋(バーン)の跳ね上げ戸のように開けることから、この年式のタイプ2は「バーンドア」という愛称で呼ばれます。

 

エンジンリッドを開けると、OKRASA(オクラサ)という当時のチューニングメーカーがリリースしていたパフォーマンスキットを装着したチューニングエンジンが顔を出しました。ギア比の関係からビートルに比べて高速巡航が苦手なタイプ2ですが、池田さんのタイプ2はこのエンジンのおかげでクルーズの列に遅れることなく走行が可能です。



エンジンはオリジナルの36馬力ユニットをベースにOKRASA製のチューニングキットを用いてパワーアップしている

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池田さん親子は、新潟から500km近い距離を走り、このイベントに自走で参加。さらに海老名サービスエリアからはキャラバンに参加し、多くのVWとともに会場までのクルーズを楽しみました。長い時間、子どもと一緒にドライブすることは親子の絆を深める大切なひとときとなっているのだとか。

 

「ヴィンテージVWは古くても実際に走って楽しめることが大きな魅力だと思います。60年以上前のクルマですが、こうやってちゃんと新潟から走ってエントリーできるのは素晴らしいことですよね」と池田さん。



誕生より60年以上経過していても高速道路も普通に走ることができるのは、VWが優れている何よりの証拠

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女性オーナーが乗るスプリットウインドー

滋賀県から350km近い距離を走って来たMさん。旦那さんや子どもを乗せて家族でエントリー

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滋賀県から自走で参加したのは、1951年式のビートルに乗る女性オーナーのMさん。旦那さんや子どもとともにファミリーで仲良くエントリーを果たしました。

 

彼女が乗るのは、スプリットウインドーと呼ばれ、戦前のナチスドイツ政権下で生まれた"KdF"のディテールを数多く受け継ぐタイプ1のなかでも初期のモデル。

 

スプリットウインドーという愛称は、楕円型のリアウインドーがセンターピラーで左右に別れていることにちなんでいます。その後1953年の初期にセンターピラーがない通称オーバルウインドーとなるため、通常街で見かけることはほとんどないといっていいほどの貴重なモデルです。   



前述の2台とは異なり、エンジンはオリジナルのまま。1951年式のエンジンは、なんと1,131ccで、たった25馬力しかない

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Mさんは20代の頃に1974年式タイプ1に乗っていたことがあり、ヴィンテージVWは大好きだったのですが、子育てや様々な理由で一度手放してしまいました。「いつかはヴィンテージVWにカムバックしたい!」という念願かなって、昨年再び入手したのが、この1951年式というわけです。

 

「私は元々アンティークが好きで、スプリットウインドーのダッシュにひと目惚れしてしまったんです。当然簡単に手に入るモデルではないのですが、ご縁があってこのクルマと出会いました」と嬉しそうに語ってくれました。



Mさんがひと目惚れしたというスプリットウインドー時代特有のダッシュ。フラワーベース(一輪挿し)に花を活けるのもVWの世界ではいまなお受け継がれている文化

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製造からすでに65年以上が経過しているクルマに乗って滋賀県から350km近い距離を走ってくるのは、決して簡単なことではありませんが、運転する彼女は満面の笑顔。ご家族の理解を得て、ファミリーでヴィンテージVWを楽しんでいる姿からは、ヴィンテージVWに乗る楽しさがひしひしと伝わってきます。   



満面の笑みでクルーズを楽しむMさん。現代のクルマとは比べ物にならないほど扱いづらいが、運転も非常にスムース

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■取材協力

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東京都目黒区にある創業41年の老舗VWショップ。世界中のVWパーツを扱うほか、現在では同社が生産するオリジナル製品が世界中で販売されている。

 

東京都目黒区鷹番1-1-5

TEL:03-3792-7151

営業時間:9:00〜19:00

定休日:日曜・祝日

 


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文:勝村大輔(Daisuke Katsumura)

写真提供:FLAT4

 


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Funmee!!編集部

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