RCカーの第一人者・前住諭さんに聞く、最初の”愛車”との出会い


世界のRCビッグレースで活躍しているTRF(タミヤレーシングファクトリー)の前住諭さん。日本を代表するドライバーとなった今でも、はじめてRCと触れた10歳の頃のフレッシュな気持ちを忘れていません。


なぜ、RCは子どもからオトナまで夢中にさせるのか!? その魅力を語っていただきました。



少年漫画からはじまったRCカーの道

 出典  Funmee!!編集部


―― 前住さんがRCカーと出会ったのはいつ頃ですか?


小学4年生の時ですね。当時少年誌に『ラジコンボーイ』というマンガが連載されていて、それを見て「欲しいな」と。そこで、お小遣いを貯めてタミヤの『グラスホッパー』という、一番安いオフロードバギーを買いました。弟と一緒にお店に行ったんですが、弟は僕より貯金が多くてグラスホッパーのグレードアップ版『ホーネット』を買っていましたね。



グラスホッパー

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ホーネット

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ーー 兄弟でいっしょにスタート。やはり競いましたか?


はい。組み立てて走らせてみたら、グラスホッパーより大きなモーターが搭載された弟のホーネットのほうが速かったので、父に「僕のをもっと速く改造して!」とねだったんですよ。ある朝起きてみたらチューンナップされた僕のグラスホッパーと、その隣にはもう1台のRCカーが。父が買った『マイティフロッグ』でした(笑)。



マイティフロッグ

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―― お父さんもハマっちゃった! 前住家は一気にRCブームですね?


はい。それから名古屋のRCカー専用サーキットでレースが開催されることを知って、親子で勇んで初出場。でも初心者なのでコース通りに全然走れなくて、予選落ちした記憶があります。それで「もっと上手くなりたい!」と。そこで近所の公園で線を引いたり空き缶を置いたりしてコースを作り練習するようになったんです。


その甲斐あって、3週間後の2度目のレースで初優勝することができました。賞品でトロフィーやキットがもらえて、最高にうれしかったですね。



猛練習を重ねて、18歳で全日本王者に!

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―― 早くも翌年には、RCカーの全日本大会に参加されたとか。


1986年の『第一回電動オフロード全日本選手権』ですね。結果は50位くらいだったかな。それがすごく悔しくて、少林寺拳法や部活の水泳などの習いごとを辞めて、授業が終わったらサーキットに直行する日々。走行用バッテリーを充電している間に宿題をやって……夜11時くらいまで毎日RCカーの練習をしていたんじゃないですかね。



―― お父さんはそんな前住さんを見て、どんな反応でしたか?


サポートしてくれました。父はすごく頭の切れる人で、サーキットではコーナーをうまく抜けるための走行ラインを路面に描いたりして、速く走るための課題を与えてくれました。“ちゃんとイメージをもって練習することの大切さ”を、小学生の僕に教えてくれたんです。



―― まさにRC漬けの親子鷹ですね! それほどハマってる子どもは珍しかったのでは?


そうでもないんですよ。当時は僕たち以外にもそうやって親子でRCをやっている家庭が多かったんです。その時に競い合っていた人のなかには、現在RC業界の中心で活躍している人もたくさんいます。よきライバルとして切磋琢磨できたので、環境的には恵まれていましたね。



―― 中学・高校と、その生活は続いていくわけですか。


小学6年生の時と中学2年生の時に全日本4位、高校1年生で初めて世界選手権に出場してトップ10に入賞したほか、とにかくその頃は暇があったら愛知県内に限らず各地のレースに参加していました。初めてのコースに行っても最初からコースレコードを出すつもりで。


ただ勝つのではなく、2位に1周差をつけて勝とうなど、自分の中で目標を設定していました。そして94年、18歳の時に電動オフロード全日本選手権2WDクラスで優勝して初めて全日本タイトルを獲得することができました。



親子でも、多世代でも。RCを通してコミュニケーションが促進

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―― そこまでRCに心を奪われた理由はなんだったのでしょうか?


まず“楽しい!”ということが根本にあります。RCカーの場合、走らせたら終わりじゃなくて、そこからさらに『修理する』『メンテナンスする』『改造する』『セッティングする』『レースをする』といった、様々な楽しみ方があります。さらに、RCカーはひとりだけで楽しむのではなく、周囲とのふれあいを楽しむ『コミュニケーションツール』としての魅力もあります。



―― と、いいますと?


僕自身、今でも父と一緒にRCをやっていた時期が一番楽しかったと思っているんです。そんな風に、普段日常で接点が少ない父と子でも、“RCを組み立てて、走らせる”という共同作業をすることで、相互理解が自然と深まります。また、親子のみではなく、RCカーというのはサーキットだったりショップだったり、必ず同好の士が集まる場所があるんです。



―― 確かに、RCサーキットはいろんな年代の方々が楽しんでいるようですね。


一般的に、小学生ならせいぜい5~6歳上、中学生なら2歳上くらいまでの先輩後輩たちとしか、出会いはありません。ですが、RCサーキットに行けば子どもだけでなく大人もいて、最近では女性も増えてきています。そこで色々な世代の、様々な職業の人とRCという共通の話題でコミュニケーションができるので、同世代の子よりも多くの経験をしたり学んだりするきっかけになると思います。



―― 前住さんもそうでしたか?


はい。実際に僕も「世の中にはいろいろな人がいて、いろいろな考え方や生き方があるんだなぁ」と子どもながらに人生勉強をすることができました。それがRCカーというホビーの持っている楽しみ方のひとつだと思います。




■プロフィール

前住 諭さん

1975年8月23日生まれ、愛知県出身。10歳の頃からRCをはじめ、94年電動オフロード全日本選手権2WDクラス優勝、96年・99年電動ツーリングカー全日本選手権エキスパートクラス準優勝。99年に(株)タミヤ入社、営業部営業課に所属。TRF(タミヤ・レーシング・ファクトリー)メンバーとしても、国内外のレースやイベントで活動する。RC専門誌「RC WORLD」(枻出版社)での人気記事「TRFサトシのセッティングアドバイス」は通算200回以上、掲載17年目という連載記録を更新中。



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企画・編集協力:枻(エイ)出版社

文・写真:長谷川貴洋(Takahiro Hasegawa)

写真:土屋幸一(Koichi Tsuchiya)



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Funmee!!編集部

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