成功の理由は「好き」と「徹底した分析」! 『野菜を食べるカレーcamp』佐藤卓さんの、マーケティング術【前編】


大企業勤めから一転、カレー店『野菜を食べるカレーcamp』を開業した佐藤卓さん。
この人気店のオリジナリティの高いカレーは、どのようにして生まれたのか!? 
そのヒミツは、緻密なマーケティングを通して気づいた、「野菜感」と「ライブ感」という2つの異なる要素にありました。

ヒットの条件は「ヘルシー」で「ライブ感」 それをクリアするのはカレーだった

 Funmee!!編集部


――まずは『野菜を食べるカレーcamp』をオープンするまでのいきさつを教えてください。


僕はもともと日産自動車に勤めていて、1998年から2002年まで4年間、ロサンゼルスに駐在していました。

その頃、現地では日本食がリスペクトされていて、寿司や蕎麦が人気だったんです。そんな街で暮らしているうちに、「日本人が普段口にしているカジュアルな食べ物」を紹介したいという思いが芽生えまして。現地の水が肌に合っていたこともあり、将来的にアメリカで飲食店を出したいと考えるようになりました。



――もともと食に興味があったのですか?


食べることは昔から大好きでした。アメリカにいる間もいろいろな飲食店を開拓したので、日本から来るビジネスマンをアテンドする際には、頼りにされましたね。自分で作った飲食店のリストがあったのですが、それが評判になって、一度『ロサンゼルス・タイムス』から取材を受けたこともあるくらいです。



 Funmee!!編集部


――それはすごい! さて、そんな食通の佐藤さんが、数あるカジュアルな日本食の中からカレーを選んだ理由は?


素直な話をすると、前職の経験をいかしたマーケティング的なアプローチです。アメリカ人が思う日本食のポジティブな要素を拾い集めてみると、結果として残る共通意見が2つあって。ひとつは「ヘルシー」で、もうひとつは「ライブ感」。



――おお、ビジネスマンっぽい。


はい(笑)。なので、その2つの要素があって、なおかつ伝統的ではない日常食というところでカレーが浮かびました。カレーには野菜とスパイスがたっぷり入っているから、「ヘルシー」は難なくクリアできます。

問題はライブ感だったのですが、そこで「キャンプで作るカレー」というイメージに思い当たりました。僕はアウトドアが好きだったので、アウトドアで作る料理の代表といえばカレーだろう、と。

よくよく考えると、カレーは炒めたり煮たり食材を刻んだり、ありとあらゆる調理の要素が入っている。お客様の目の前で調理することで、ライブ感を出せるのではないかと考えたのです。



日本のカレー店を徹底リサーチ 出てきた方向性は「女性重視」

 Funmee!!編集部


――ある程度構想が固まったら、すぐオープンに向けて動き始めたのですか?


アイデアを温めながらも、しばらくは日産自動車にいました。その後、30代後半になって外食業界で働き始めます。入社するときには、「将来的にこういうコンセプトのカレー店をやりたいから、勉強させてください」「給料が安くてもいいので、現場で働かせてほしい」と伝えました。



――現場での経験を経て、本店がオープンしたのはいつ?


2007年です。店名は、先ほど話した「ヘルシー」と「ライブ感」を象徴する言葉にふさわしいものにしました。



――『野菜を食べるカレーcamp』ですもんね。まさに。


そして当初は、「ヘルシー」から連想する「野菜感」というキーワードを重視していましたね。なぜなら、女性のお客様に来てほしかったからです。オープン前に、日本の既存のカレー店の業態を調べ、3つの特徴に気づいたのです。それは、「ジャンク」「シンプル」「男性向け」。



 Funmee!!編集部


――確かに、カレーチェーンはそういうお店がほとんどですね。


そこで、「女性はカレーが嫌いなのか?」という問いを立て、当時のデータをあたってみました。でも、実際に調べてみると、96%超の女性が「カレーが好き」と答えていたのです。となると、「ヘルシー」で「野菜感」のあるカレーは、アメリカだけではなく、日本でもチャンスがあるかもしれない。そんな理由もあって、国内に本店をオープンしました。


――みごとなマーケティングです。


場所は代々木駅のそばで、既存のカレー業態のシンボリックな存在である某店の隣を選びました。なぜかというと、まったく方向性の異なるものが隣にあったほうが映えるだろうと思ったからです。僕のドン・キホーテ的な性格が出てしまったと思います(笑)。



成功の理由は「好き」と「徹底した分析」! 『野菜を食べるカレーcamp』佐藤卓さんの、マーケティング術【後編】


■プロフィール

『野菜を食べるカレーcamp』代表/本店マスター

佐藤 卓さん


「野菜感」と「ライブ感」の2つの要素を融合させた斬新なカレーを考案し、『野菜を食べるカレーcamp』にて提供。現在、30を超えるライセンス店を展開している。2016年2月にはタイ・バンコクに出店し、初の海外進出を果たした。最大の夢はアメリカ進出。

http://curry.camp/


===

企画・編集協力:枻(エイ)出版社

文:吉田 勉(Tsutomu Yoshida)

写真:上石了一(Ryoichi Ageishi)


最新情報はこちらから フォローやいいね!をして最新情報を受け取ろう

Funmee!!編集部

Funmee!!編集部