そうだ、小津安二郎を観よう。小津マニア・志らく師匠のおすすめ作品たち


今年で、小津安二郎没後55年。独特の映像世界を生み出した巨匠である小津ですが、若い頃に観て、その世界観になじめず、ハマれなかった諸兄も多いはず。


今回は小津マニアの落語家・立川志らくさんに、おすすめの作品を紹介してもらいました。


※ネタバレあり



妻に先立たれた主人公・平山は娘・路子を嫁にやるのはまだ早いと考え、家事をすべて任せていた。ある日、同窓会でかつての恩師と再会し、酔った恩師を家まで送っていくと、婚期を逃した恩師の娘が迎えてくれた。それ以来、路子の縁談を真剣に考えるようになる。

妻に先立たれた主人公・平山は娘・路子を嫁にやるのはまだ早いと考え、家事をすべて任せていた。ある日、同窓会でかつての恩師と再会し、酔った恩師を家まで送っていくと、婚期を逃した恩師の娘が迎えてくれた。それ以来、路子の縁談を真剣に考えるようになる。

 出典  Funmee!!編集部


小津安二郎の最後の作品で、父親と娘の関係性とともに、妻に先立たれた主人公の老いへの不安や孤独が描かれています。


「映画のクオリティで言えば、『東京物語』や『晩春』のほうが高いのですが、小津の世界観が熟成されているのが『秋刀魚の味』なんです。いろんな小津の作品を観てきて、彼の面白さをわかった人にとってはたまらない作品!」


志らくさんによると、ポップな音楽とコミカルな演出も注目なんだとか。


「軍艦マーチを聴きながら、みんなでおちゃらけて海軍の敬礼をするシーンがあるのですが、それが意味がわからないんです。だけど、『得体の知れない面白さ』ってあるじゃないですか。たとえば将棋のひふみんって、なにをしていても面白い。『秋刀魚の味』もそんな作品だと思う」


結婚にあまり興味のない28歳の紀子と、そんな娘を心配する家族の物語。当の紀子は、「売れ残り」と冷やかされながらも、会社で秘書としてバリバリ働く。しかし、紀子にもついに上司の紹介で縁談が舞い込んでくる。高学歴で、商社の常務で、旧家の次男という好条件にまんざらでもない紀子。そんなある日、亡き兄の友人である矢部が秋田に転任することになる。出発の前の晩、彼の母に「あなたのような人にお嫁に来てほしかった」と言われて……。

結婚にあまり興味のない28歳の紀子と、そんな娘を心配する家族の物語。当の紀子は、「売れ残り」と冷やかされながらも、会社で秘書としてバリバリ働く。しかし、紀子にもついに上司の紹介で縁談が舞い込んでくる。高学歴で、商社の常務で、旧家の次男という好条件にまんざらでもない紀子。そんなある日、亡き兄の友人である矢部が秋田に転任することになる。出発の前の晩、彼の母に「あなたのような人にお嫁に来てほしかった」と言われて……。

 出典  Funmee!!編集部


原節子が「紀子」の名前でヒロインを演じた「紀子三部作」の二本目。食べ物や飲み物の描写が多いことでも有名な作品ですが、志らくさんはこの作品を「日本人的な作品」と語ります。


「社会への深い切り込みはないけれど、『麦秋』には日本人の心がきめ細かく描かれているんです。日本人が小さな小さな世界で生きているという感覚は、外国の方にはきっとわからないと思う。この作品を理解できるひとは日本人の心がわかる年齢になってきているんじゃないかな」



尾道から周吉ととみという老夫婦が東京へ遊びにきたが、子どもたちは忙しくて両親をかまってやれない。戦死した次男の妻・紀子だけが二人を観光に連れていき、老夫婦は満足して尾道に帰っていく。ある日、とみが死んでしまい、葬式が終わると紀子以外の子ども達はそそくさと帰ってしまう。周吉は実の子どもではない、紀子の優しさに深く感謝するのだった。

尾道から周吉ととみという老夫婦が東京へ遊びにきたが、子どもたちは忙しくて両親をかまってやれない。戦死した次男の妻・紀子だけが二人を観光に連れていき、老夫婦は満足して尾道に帰っていく。ある日、とみが死んでしまい、葬式が終わると紀子以外の子ども達はそそくさと帰ってしまう。周吉は実の子どもではない、紀子の優しさに深く感謝するのだった。

 出典  Funmee!!編集部


海外からの評価も高い作品ですが、志らくさん曰く、この作品がその後のホームドラマの流れを作ったのだとか。


「のほほんとしたホームドラマを描きながら、そこに鋭い社会性がある作品がありますよね。そんな作風の元祖は小津の『東京物語』です。さらに、それを喜劇に昇華したのが山田洋次の『男はつらいよ』。ホームドラマの中に人間の醜さや、もっとどろどろしたものを凝縮したものが向田邦子の作品。さまざまなホームドラマの流れを作ったのが、この一作だと思うんです」



鎌倉で暮らす、周吉とその娘・紀子の二人の親子。周吉の妻が他界してしまってから、親子は二人で暮らしており、父の世話ばかりで紀子は婚期を逃しそうであった。父親を心配する紀子に「幸せになれ」と説得する周吉であるが、紀子の結婚式の夜、寂しさを痛感する。

鎌倉で暮らす、周吉とその娘・紀子の二人の親子。周吉の妻が他界してしまってから、親子は二人で暮らしており、父の世話ばかりで紀子は婚期を逃しそうであった。父親を心配する紀子に「幸せになれ」と説得する周吉であるが、紀子の結婚式の夜、寂しさを痛感する。

 出典  Funmee!!編集部


「この作品は世界中の父親がどう生きるべきかを教えてくれる。最後の林檎の皮を向くシーンがじわじわ悲しくなってしまうんです。いつもは娘が林檎の皮を剥いてくれていたけれど、娘がいないので自分で不器用ながらも剥くしかないんです」


この作品では、主人公を演じる笠智衆がはじめて小津の演出に逆らったラストシーンも見所なのだとか。


「ラストシーンで小津は、笠智衆に号泣するよう求めました。しかし、笠智衆ははじめて小津の指示を拒否したんです。『九州男児だから号泣できない』といろいろ理由をつけて。それで、結果うつむくだけになったんです」


このラストシーンのおかげで、映画を観終わったあとも「あのとき、お父さんはなにを考えていたんだろう」「もし、自分だったらどうするかな」などと考えてしまうので、年頃の娘がいるお父さん世代には特におすすめだそうです。



 出典  Funmee!!編集部



小津監督の作品は、蓮實重彦さんを筆頭に映画評論家や学者からさまざまな評価がされていますが、志らくさん曰く、「難しく考えずに観る」ことが大切なのだとか。


テレビではホームドラマが放送されなくなってきた昨今ですが、懐かしくて温かい小津の世界に触れてみては?




■プロフィール

立川志らくさん

1963年生まれ。落語家、映画監督(日本映画監督協会所属)、映画評論家、劇団主宰、TVコメンテーター。寅さん博士、昭和歌謡曲博士の異名も持つ。現在弟子20人をかかえる大所帯。


映画『リュミエール!』(ギャガ)日本版ナレーション 公開中。

『妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ』(松竹)山田組初参加(2018年5月25日公開)

舞台 主宰の下町ダニーローズ第20回公演は6月公演。


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文:ほかりゆりな(Yurina Hokari)

写真:鳥居健次郎(Kenjiro Torii)



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Funmee!!編集部

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