ブッシュクラフト入門! アウトドアでナイフを愉しめ
プロダクトデザイナーでもあり、東京の水道橋にアウトドアをテーマとしたカフェ&バーBASE CAMPを経営するA-sukeさん。デザイナーとしてナイフを開発するなど無類のナイフ好き。
そんなA-sukeさんに、「ブッシュクラフト」というアウトドアでのナイフのアソビ方を教えてもらいました。
ブッシュクラフトの基本にチャレンジ!
ナイフの基本1 枝を削る
基本的に刃は自分のほうに向けずに、外へ押しやります。
ナイフの扱いは、指のサポートも重要です。力を入れてゆっくりと丁寧に材料を削ぎ、仕上がりの精度をあげたい時は親指を添えましょう。
ナイフの基本2 枝を切る
刃が厚く、ある程度重量のあるナイフを使えば枝を切り分けられます。こうすることで焚き火のときにちょうどいい長さの薪に使えたり、クラフト素材の長さを揃えたり、いろいろ便利です。
力を使う作業のとき、まずは下準備から。使う素材には枯れた落ち枝が切り分けやすくおすすめです。扱う素材の構造も理解しておくと効率が上がります。たとえば枝の節は非常に硬いので、節は避けて切り分けるほうが作業しやすいです。
そして安全を確保することも大切です。大きく振りかぶるため、握っているナイフが吹っ飛ばないようグリップ力のある革手袋を装着し、柄に紐をつけストラップとして手首にまわしておくなども大切です。
安全面が確保できたら、切りたい枝の下に枕木を用意。下に木材をおくことでナイフによる衝撃を吸収し刃が食い込みやすくなりますし、万一空振りしても、刃を傷めずに済みます。
ナイフの基本3 枝を割る
拾った枝が太すぎるとき、枝を縦においてナイフを当てて、他の枝でナイフの背を叩くことで縦に切り割れます。この作業を「バトニング」といい、薪を細くしたいときなどに活用できます。
利き手は木の棒(バトン)を握り、もう片方の手でナイフを持ちます。ナイフはスカンジナビアンやコンベックスタイプがおすすめ(前回記事参照)。このふたつなら、刃の側面を利用して割れるため、刃も傷みにくく、力も入れやすいです。
ブッシュクラフト実践編
火起こしと焚き火をする
キャンプの基本、焚き火。ナイフを使うとひと味違った深みが出てきます。焚き火では起こした火を細い枝から太い枝へ順序良く移していかなければなりません。
そこで大切な下準備としてさまざまな太さの薪を用意します。そのときに、基本で紹介したテクニックを使って細い枝を切り、太い枝を割ります。
着火剤には麻紐がおすすめ。ナイフで適当な長さに切った麻紐を丁寧にほぐすと、簡単に火がつくようになります。
小枝をたくさん拾い集め、片側を麻紐で束ねて箒状にしたものや、ナイフで枝を削りつくる「フェザースティック」も活用できます。フェザースティックは空気に触れる面積が大きくなるため、削っていない枝より燃えやすくなります。小さな火が安定したら、乗せる薪を少しずつ太くしていきます。

トライポッドを作る
鍋などを火の上で固定させるトライポッドを作るには、比較的まっすぐで強度もある長い枝を3本用意します。できれば、吊り下げる鍋の重さに負けない重量を持った枝をセレクトしたいものです。
焚き火の高さや吊り下げる鍋の大きさも勘案しながら3本の枝の長さを同じくらいに調節し、余計な節が気になるようならナイフで落とします。頂点に近い箇所を麻紐でくくれば完成。
節がある枝を使って鉤棒を作ります。麻紐を使ってトライポッドに吊り下げ、火力に合わせて鍋の位置を調節してみましょう。
串とソーセージフォークを作る
起こした火にソーセージなどを近づけて固定し、調理する。そんなときに便利なのがソーセージフォークです。
二股に分かれた枝を拾い、その先をナイフで削るだけで作れます。もし、二股に分かれた枝が見つからないならば、枝を縦に5cmほど割り、その間に小さな枝を挟み込んで二股にすることもできます。
魚などを焼くときには一本の枝の表面を15cmほど削り、それを刺して焼きましょう。枝の先を尖らせることで簡単に刺せます。
安全にナイフを使って、不便を楽しむキャンプに挑戦してみましょう!
カラーのイラスト・写真での解説が分かりやすいと評判のブッシュクラフト入門書。外遊びだけでなく、災害時にも役立つサバイバル術を楽しく学べます。
■プロフィール
A-suke
アウトドアをコンセプトにしたカフェ&バー「BASE CAMP」の店主。釣り、ハンティング、キノコ狩りなどアウトドアと「食」を結ぶアクティビティを中心に楽しむオールラウンドアウトドアマン。
■免責
ナイフの所持や移動にはルールがあります。また、使用に際しては怪我をしないよう細心の注意を払いましょう。
===
文:井上綾乃 (Ayano Inoue)
写真:加藤史人 (Fumito Kato)
