【趣味人ジドウシャ部】#07 三菱・ジープ(スペック編)


クルマの新旧や機能だけでなく、趣味性の高いクルマ、さまざまな趣味への汎用性が高いクルマを紹介するこの連載。7台目は「三菱・ジープ」。

 

第二次世界大戦で活躍したアメリカのジープを、戦後からライセンス生産によって日本で製造・販売したものです。スペック編では、ドライビングフィールやヒストリーなどについてご紹介します。




フルオープンだからこそ味わえる開放感

撮影車両のJ58のボディサイズは全長3,490mm×全幅1,665mm×全高(幌をした状態)1,920mm。迫力あるルックスの割に、実寸は非常にスリムでコンパクト

 出典  Funmee!!編集部


幌を取り去ってフルオープンにすれば、ワイルドなスタイリングとなる三菱・ジープ。さらにフロントウインドウを前に倒すと、シルエットからしてもう明らかにフツーのクルマでない外観です。ちなみにフロントウインドウが倒せるようになっているのは、輸送時に運搬しやすくしたり、戦地で草むらに身を隠しやすくするため、また銃火器を使用しやすくするためと言われています。

 

そんな三菱・ジープは、見た目だけでなく中身もハード。今どきのクルマに乗り慣れている人にとっては、そうしたハードさはいまひとつ実感できないかもしれません。確かめるには、乗ってみるのがイチバンです。




フロントウインドウはこのように前に倒すことができます。倒して走る場合はウインドウとボンネットの端をベルトで固定

 出典  Funmee!!編集部


ステップを踏んで乗り込むと、四方に窓がない状態で目に入る景色は何とも新鮮。開放感バツグンです。そしてエンジンをかけると、鉄板むき出しのフロアを伝って振動が響いてきます。


オフロードでの走行をメインに作られたクルマなので、エンジンはトルク重視で高回転型ではありませんが、交通の流れに乗るには十分。またフロントのウインドウがないと、スピード以上に速さを感じ、時速40〜50kmでも豪快に飛ばしている気分になれます。




走る姿は何ともワイルド

街なかを走れば注目を浴びること間違いなし

 出典  Funmee!!編集部


裸眼では目を開けていられないので、風を巻き込みにくい眼鏡かゴーグルは必須ですが、風を受けて走るのはめちゃくちゃ爽快。思わず笑いがこみあげてしまうほど。ハンドルを握っている方が楽しいことで言えば、大きさこそ違えど、オートバイに近い感覚で運転できるクルマと言えるかもしれません。



ウインドウを立てるとこんな感じ。下向きのワイパーがじつにユニーク

 出典  Funmee!!編集部


ステアリングはノンパワステですし、ブレーキはドラムブレーキなので、通常のクルマとはかなりフィーリングが異なります。ただ特殊な機構を用いているわけではないので、慣れてしまえば運転自体は難しくはありません。


「今のクルマに比べれば、とっても扱いづらい。でも乗るとゴキゲンになれるクルマです」と、三菱・ジープ専門ショップ「イワモトモータース」の岩本雄次さんは語ります。




米国ウイリス社のシビリアン・ジープを国産化

フルオープンにしてフロントウインドウも前に倒したシルエットはまさに軍用車のたたずまい

 出典  Funmee!!編集部


第二次世界大戦中に、アメリカ陸軍の要請によって開発された「ジープ」。道なき戦場を駆け抜ける走破性と、すぐ修理して走り続けるタフさを備え、大きなインパクトを残しました。戦後さまざまな国でジープにインスパイアされたクルマが作られたことからも、ジープは現在のクロスカントリー車やSUVの原点と言えるクルマです。

 

日本では、1950年に警察予備隊(後に陸上自衛隊となった組織)が設立され、ジープを採用。完成品を輸入するのではなく、日本でノックダウン生産(部品を輸入し、組み立てる方式)することに。

 

ジープの開発・製造元であるウイリス・オーバーランド社の提携先に選ばれたのは、中日本重工業(GHQの財閥解体によって三菱重工業が3分割されてできた会社のひとつで、後に他の2社と合併して再び三菱重工業となった)。そして1953年からノックダウン生産が開始され、「三菱・ジープ」が誕生したのです。




ジープ独特のフロントマスク。7本スリットのグリルの上には三菱のスリーダイヤマークが刻印されています

 出典  Funmee!!編集部


ウイリス社は、戦後間もないころから軍仕様のジープ「ウイリスMB」とは別に、民生用の「CJ(シビリアン・ジープ)」の製造販売を行っていました。三菱・ジープの元もCJで、最初にノックダウン生産されたのは「CJ-3A」というモデルでしたが、本国ではすでに次モデルの「CJ-3B」が登場していたため、三菱・ジープもすぐに切り替えられました。また同時にライセンス生産による国産化の体制が整えられ、1953年後半からフロントグリル上に三菱のスリーダイヤマークが刻印された三菱・ジープが生産されるようになりました。

 

その後、1954年にはエンジンも国産化され、1956年に100%日本製の三菱・ジープが作られます。生産台数も大きく増え、自衛隊向けだけでなく建設業や林業関係を中心に官公庁から民間まで幅広く活用されるようになりました。そしてそれとともに日本オリジナルのバリエーションが次々に増えていきました。

 

'70年代後半のピーク時には年間生産台数1万台を超えた三菱・ジープでしたが、1982年の「パジェロ」登場を機に、三菱の主力4輪駆動車としての地位を譲りました。J50系のみを残してラインナップは整理され、そのJ50系も1986年にはガソリンエンジン車が生産中止に。そして1998年、ついにその歴史の幕を閉じました。





■取材・撮影協力

イワモトモータース

 

祖父の代から自動車の解体業や販売業を家業としてきた岩本雄次さんが、2004年ごろからweb販売メインの三菱ジープ専門店に転換。程度のよいガソリンエンジンの三菱ジープを豊富に取り揃える。また一方でロシアのUAZ、ロンドンタクシーの輸入販売も手がけている。

 

東京都新宿区新宿2-2-1

TEL:03-3341-1190

営業時間:10:00〜20:00

休み:無休

 

 

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文:和田達彦(Tatsuhiko Wada)

写真:銭田豊裕(Toyohiro Zenita)



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Funmee!!編集部

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