柔術歯科医・山崎さんが語る柔術の魅力「強く、美しく、無傷で勝つ」


歯科医として働きつつ、柔術道場『ストライプル世田谷』の代表、さらに有名大会のレフェリーも務める山崎明さん。柔術との出会いからあのヒクソン・グレイシーとのスパーリング、道場開設に至るまでの経緯などについて話を伺いました。



『グラップラー刃牙』のモデル、平直行に師事

論理的な説明でお弟子さんを指導する山崎さん。

 出典  Funmee!!編集部


―― そもそも山崎さんが柔術に興味を持ったきっかけは?


UFC※ですね。1回目と2回目の大会を見て、ホイス・グレイシーがほぼ無傷で優勝する姿に衝撃を受けました。それに、打撃系の格闘技とは違って、ホイスの戦い方は美しく感じましたね。

 

※アメリカの総合格闘技大会


 

―― すぐに自分でもやってみようという感じでしたか。


自分でブラジリアン柔術を始めたのはUFCを知った2年後です。僕の師匠は人気格闘漫画『グラップラー刃牙』の主人公・範馬刃牙のモデルとなった平直行さんなのですが、彼が日本に初めてブラジリアン柔術を持ち込んだのが96年で。


 

―― それまでの格闘歴は?


当時は極真会館の城西支部に籍を残していました。初めは空手家として柔術攻略を学ぼうと思っていたんです。でも、やってみたら楽しくて、気づいたら柔術家として指導する側に回っていました(笑)。

 


―― ブラジリアン柔術に魅了されたポイントは、先ほど話していた美しさですか。


そう、柔術に武道性を感じたんです。ただ強ければいいという価値観ではないし、相手をぶっ壊すという戦い方でもない。それに、無傷で勝つのもすごいなって。ただのスポーツというよりも、美学のある「道」とか「術」という考え方が結構好きで。ブラジリアン柔術は武道としてやっているし、道として教えているつもりです。


 

―― テクニカルな面以外から学ぶことがあったのですね。


そうなんです。たとえば護身術的な、「相手に掴まれた時はこうしましょう」という技術指導もできるんですけど、それとは別に「柔術に一番大事なことは?」って聞かれたら、「生き方」とか、そういう答えになりますから。



本業は歯科医、でも生活は柔術中心!

歯科医姿の山崎さん。「誕生日はブルース・リー、初代タイガーマスクの佐山聡さんと同じです(笑)」

 出典  Funmee!!編集部


―― ブラジリアン柔術を学び始めた頃は、すでに歯科医師として働いていたんですよね。


勤務医として働いていましたが、生活は柔術中心でした。当時通っていた道場は高田馬場にあったのですが、毎晩ヘトヘトになるまで稽古してから三茶の実家に帰るのが面倒で、馬場に部屋を借りましたから(笑)。

 


―― 柔術専門の道に進もうとは思わなかったのでしょうか。


このスタイルが僕なりの道だと思っています。歯科医師としての仕事は生活の糧としてやって、柔術でリフレッシュする。仕事と趣味を両輪で回していくと、生活に張りが出て、どちらもうまくいくんですよね。

 


―― 二足のわらじがどちらにもいい影響を与えているんですね。


そう。それに、野球やサッカーと違って、格闘技はリターンが少ないんです。チャンスに恵まれ、世界チャンピオンになったり大きなスポンサーがついたりすればビッグマネーを掴めますが、何も残らない場合もある。シビアですよ。



あのヒクソンとスパーリング!柔術の奥深さを実感

柔術における代表的な寝技の一つ、三角絞めの技術をレクチャー。

 出典  Funmee!!編集部


―― 山崎さんは、あのヒクソンとも手合わせをしたこともあるそうですね。


2000年頃に、彼が来日してセミナーを開いたことがあったんです。集まっていた人たちは、今考えると日本のMMA(総合格闘技)のトップ選手ばかりでした。で、「スパーをしよう」ってことになって、もちろん手をあげて。

                            


―― ヒクソンの強さは感じましたか。


もちろん。僕は当時からフィジカルを鍛えていて、簡単にスイープ※されたりしないという自信がありました。でも、ヒクソンには体勢を返されて。本気の本気で戦って返されたのって、生涯でそのときくらいじゃないかな。


※足の裏以外がマットに接地しているグラウンドポジションにおいて、下の選手が上の選手と体勢を入れ替えること。



―― 貴重な体験ですね!


ヒクソンとガチでスパーリングをやる機会なんて、なかなかないですからね。力強さは感じず、ふんわり返されたのが印象的でした。その時のスパーリングで、あらためて柔術の奥深さを感じましたね。



2017年の大会でも優勝するなど、選手としてもなお第一線に立つ。

 提供  山崎明さん

パンクラスなどの団体でレフェリーも務めている ©PANCRASE

 提供  山崎明さん


―― 全日本選手権や国際大会でも何度も優勝するなど選手として活躍する一方、2009年には自由が丘に道場を開いて。


当初は、尾山台にある知り合いのジムを借りて週1ペースで指導していたのですが、柔術の素晴らしさを周囲に伝えてくれるお弟子さんがどんどん増えていって。常設の道場をやってみようと背中を押されましたね。



道場には“タンキーニョ”の愛称で知られる柔術家、アウグスト・メンデスのサインも。

 出典  Funmee!!編集部


―― 現在では、レフェリーの他、格闘技を通した発達障害の支援活動もおこなっているとか。


はい。障がいの有無は、格闘技・柔術に打ち込む上では関係ないですから。ちなみにその支援団体はPRIDEで活躍した小路晃さんと平野厚雄さんが代表なのですが、平野さんの指導を私が行っていた縁で応援しています。人とのつながりを大切にしてきたし、これからもこうしたご縁を大事にしていきたいですね。




■プロフィール

山崎明さん

1970年生まれ。平直行氏に師事してブラジリアン柔術を学び、国内だけでなく海外の大会で何度も優勝するなど、輝かしい実績を残す。2009年には世田谷に道場『ストライプル世田谷』を開設。レフェリーとしてはパンクラス、THE OUTSIDER、GRACHANのリングで活躍中。また、格闘家による自閉症啓発イベント『Fight4u.』にも協力している。昼の顔は歯科医。

 


ストライプル世田谷

世田谷区奥沢6-28-11 牛山ビル1F

090-8300-5001

 


===

企画・編集協力:枻(エイ)出版社

文:吉田勉(Tsutomu Yoshida)

写真:加藤史人(Fumito Kato)



最新情報はこちらから フォローやいいね!をして最新情報を受け取ろう

Funmee!!編集部

Funmee!!編集部

TOP