山岳写真家・杉村航さんに聞く、ちょっとしたコツで一味違う山の写真を撮る方法


山岳写真やスキー写真など、山の中で写真を撮り続けている、山岳写真家の杉村航さん。

一人で山の中に入り、景色を撮るだけでなく、自撮りをすることも多いそう。

そんな杉村さんに、初心者でもちょっとの工夫で一味違う写真を撮れる、簡単なコツを教えてもらいました。

山岳写真に大切なのは、自ら動いていちばんよく見える角度を探すこと!


―― 山ではどんな機材を使っていますか?


山岳写真といっても特別な機材は使っていなくて……。デジタル一眼レフカメラの他に、防水のミラーレス一眼カメラとコンパクトデジタルカメラもよく使います。


機材は一般的ですが、水辺などを歩くので、防水のスタッフバッグにインナーケースを入れて、その中にカメラとレンズを入れています。小型の三脚を持っていくこともありますが、三脚なしで岩などの上に置いてしまうことも多いですね。



 出典  Funmee!!編集部


―― うーん、違いは機材ではなく、技術や感性なんですね。初心者が山で一味違う写真を撮るための、簡単なコツってありますか?


難しい質問ですね(笑)。例えば、いつも棒立ちで目線の高さで写真を撮っているのだとしたら、しゃがむ、這いつくばるなどして低めから撮ったり、段差の上など高い場所から撮ったりとか、アングルを変えるだけでもかなり雰囲気は変わります。自ら動いていちばんよく見える角度を探すことが、写真の基本なんです。



上から、高めからのアングル

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目線の高さ

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低めからのアングル

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―― それならすぐにでもできそうですね!


もう一つは、光の向きを意識することです。同じものを撮影するにも、順光(光が正面から当たっている状態)、逆光、斜光(斜め手前から光が当たっている状態)ではまったく雰囲気が違って見えます。


逆光というとよくないイメージを抱く人も多いですが、一概に逆光が悪いとは言い切れず、ふんわりと透明感のある印象的な写真が撮れることもあります。光の向きを意識しながら撮っていると、だんだんいい写真が撮れる光の条件がわかりますよ。



順光で撮影した写真

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逆光で撮影した写真

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―― なるほど。それは一眼レフでもスマホのカメラでも使えそうなコツですね!


はい。いちばんは、自分が好きなものの、好きだと思った部分を大事にして、撮影することじゃないでしょうか。



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山での自撮り極秘テクニック大公開!顔を光のほうに向け、動きをつけよ!


―― 杉村さんの写真は自撮りも多いですが、自撮りを始めた理由は?


それは本当に単純な理由で、モデルを手配するのは大変だし、自分がモデルなら一人で好きなスケジュールで行けるから。真面目に山の写真を撮るとなると、天気待ちをしたり、日の向きが変わるのを待ったりと、かなり人を待たせることになってしまいます。


その点、一人なら気楽です。ここに人の姿が入っていたらいいなと思ったときに、そこに自分が立てばいいだけなので。

 


―― なるほど。自撮り写真って、どうやって撮っているんですか?


実際に見せるとかなり地味でダサいんですが……(笑)。まずは三脚や岩の上にカメラを置いてのぞき、自分の立ち位置や構図をだいたい決めます。次に、自分の立ち位置にトレッキングポールを立てたり、足元にある岩を使ったりして、その場所にピントを合わせます。そして、セルフタイマーでシャッターボタンを押し、立ち位置までダッシュしてポーズをとります。



 出典  Funmee!!編集部

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―― けっこう地道な作業ですね! オススメの設定や機能はありますか?


インターバルタイマーなど、セルフタイマーで何枚も続けてシャッターを切れる設定があれば、それを利用すると成功率が上がりますよ。リモコンシャッターを使うこともあります。

 


―― かっこいい自撮りのコツってありますか?


カメラ目線をやめて、役者になりきることじゃないでしょうか。顔を光のほうに向けると、前向きなストーリーを表現できます。あとは、自分がアクションをつけやすい場所、臨場感の出る場所を選ぶことですね。写真は止まっているので、その中で動きをうまく表現すると、印象的な一枚に仕上がります。



 撮影  杉村航さん

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温度やにおい、音……見えないものを写真で伝えたい

 出典  Funmee!!編集部


―― 今までに撮影してきて、思い出に残っている一枚ってありますか?


いろいろあるんですが……、一枚ですか(笑)。例えば、ニュージーランドのマウントクック国立公園内にあるMt.Sefton(セフトン山)を撮影した一枚は、印象に残っています。



 撮影  杉村航さん


―― 大きく引き伸ばして見たいような、かっこいい写真ですね!


ありがとうございます。30代に一人で山の写真に向き合って、いろいろ撮っていたころの一枚です。現地の真冬である8月に、テント生活で一週間ほど周辺の山岳写真を撮っていました。寒さと寂しさに耐えつつ粘ったおかげで、想定以上の会心のショットが撮れたので、嬉しかったですね。





■プロフィール

杉村航さん

兵庫県出身、長野県在住。山岳写真家。幼少期から祖父や父親に連れられて山歩きを始め、高校生のころから写真部で山の写真を撮り始める。1994年、大学生のころにスキー写真撮影のアルバイトを始め、大学卒業後、スタジオアシスタント、出版社勤務を経て、2000年にフリーランスに。現在、雑誌や広告などで幅広い撮影を行いつつ、国内外の山におもむき、スキー写真や山岳写真などの作品を発表している。


 


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企画・編集協力:枻(エイ)出版社

文:山賀沙耶 (Saya Yamaga)

写真:岡崎健志 (Kenji Okazaki)




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Funmee!!編集部

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