【趣味人ジドウシャ部】#09 初代フィアット・パンダ(スペック編)


クルマの新旧や機能だけでなく、趣味性の高いクルマ、さまざまな趣味への汎用性が高いクルマを紹介する連載「趣味人ジドウシャ部」。9台目に登場するのは「フィアット・パンダ」です。

 

現在でも2011年から3世代目にあたるパンダが販売されていますが、今回はその初代モデルである、1980年から2003年までの23年にわたって製造されたパンダをとりあげます。スペック編では、そのヒストリーやメカニズムなどについてご紹介します。



ジウジアーロがデザインしたスモールカー

典型的な3ドアハッチバックスタイルのクルマです

 出典  Funmee!!編集部


このクルマ、どの角度から見ても、“カクカク”してます。曲面を多用したいまのクルマに見慣れた目からすると、非常に斬新に感じるかもしれません。そしてアラフォー世代以降の人からすると、懐かしく感じることでしょう。1980年代から'90年代にかけては、四駆に限らずこうした角張ったデザインがトレンドでしたから。   



グレードや装備によって多少の違いはありますが、ボディサイズはおおむね全長3,405mm×全幅1,510mm×全高1,485mm

 出典  Funmee!!編集部


この初代「フィアット・パンダ」のデザインは、イタリアのデザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロによるものです。クルマだけでなく、ニコンのカメラやSEIKOの腕時計などをデザインした、日本にも非常に縁の深いデザイナーです。

 

1970年代半ばから1980年代にかけて彼がデザインを手がけたクルマには、初代「フォルクスワーゲン・ゴルフ」、「いすゞ・ピアッツァ」、「デロリアン・DMC-12」、「ランチア・デルタ」などがあり、いずれも角張ったデザイン。パンダもそうした傑作車のひとつです。



ほとんど平面だけで構成されているのに、“カッコかわいく”まとまっているところが不思議です

 出典  Funmee!!編集部


パンダは、「フィアット・126」に替わるモデルとして1980年に生み出されたクルマです。126は「フィアット・500(チンクエチェント)」の後継的な存在でしたが、オイルショックなどのため、より経済的なコンパクトカーが求められていました。当時のフィアットは経営状況が思わしくなかったため、開発は外部に委託されることとなりました。そこでジウジアーロのカロッツェリア・イタルデザインに白羽の矢が立ったというわけです。



コストダウンのため、リアハッチの裏は化粧パネルもなくむき出しです

 出典  Funmee!!編集部


平面のパネルとガラスで構成されたパンダの角張ったデザインは、当時のジウジアーロの好みでもあったのでしょうが、その時代に大衆車としてコストを安くすませるためでもありました。また最近の軽自動車のミニバンなどにも言えることですが、車体を角張らせることで、室内空間を広く取ることができます。

 

コンパクトなボディの車重はわずか700kg足らず。大人4人が余裕を持って乗れて、キビキビと走れて、それでいてリーズナブル。そんなパンダはフィアット社の経営を立て直すほどのヒット作となったのです。



1986年を境に前期型と後期型に分けられる

初期モデルのグリル。左右非対称の鉄板があしらわれていました

 出典  Funmee!!編集部


1980年にデビューしたパンダは、652cc空冷直列2気筒OHVエンジンを搭載した、イタリア国内向けの「30」と、903cc水冷直列4気筒OHVエンジンの「45」の2タイプが用意されました。ネーミングはともに最高出力にちなんだものです。



初期モデルのリアシートはポールに布を貼ったハンモックシート。ポールを固定する位置を変えることで形状をアレンジできました

 出典  Funmee!!編集部


その後1982年に、843cc水冷直列4気筒OHVエンジンの「34」と、45をベースに内外装をアップデートした「スーパー」が加わり、「ダブルサンルーフ」の名でキャンバストップ仕様がオプションで選べるようになりました。スーパーでは、それまでの鉄板グリルに替わって樹脂グリルが採用され、ボディ下半分の樹脂カバーが廃止されました。また後席はハンモックシートから一般的なシートになっています。



1982年から登場したダブルサンルーフ。前席上、後席上それぞれキャンバスを畳んでオープンにできます

 出典  Funmee!!編集部


そして1983年には、オーストリアのシュタイア・プフ社と共同開発したパートタイム4WDシステムを組み込んだ「4×4(フォーバイフォー)」が追加されました。   



セリエ2以降は全車種とも樹脂グリルが採用されています

 出典  Funmee!!編集部


1986年には、ビッグマイナーチェンジが行われ、外装はスーパーと同様のものとなり、三角窓も廃止されました。また内装も後席がスーパーと同じ一般的な形状となり、インパネのメーター類が大型化されました。さらにリアサスペンションがそれまでのリーフリジッド式からコイルスプリング式に変更され、乗り心地が大きく改善されました。



リアシートには大人ふたりがゆとりをもって座ることができます

 出典  Funmee!!編集部


エンジンも一新され、FIRE(Fully Integrated Robotized Engine)と名づけられた、769ccと999ccの直列4気筒SOHCエンジン、そして1,301ccのディーゼルエンジンに。同時にグレード名も「750」、「1000」、「1300D」と改められています。またトランスミッションは4MTから5MTに変更されました。このマイナーチェンジを境に、それ以前のモデルはまとめて「セリエ1」、以降は「セリエ2」と呼ばれます。



撮影車両は1996年式「CLX」。正規輸入モデル最終仕様のスタンダードモデルで、50馬力の1.1LFIREエンジンが搭載されています

 出典  Funmee!!編集部


エンジンは、1987年に1LのFIREエンジンがインジェクション採用の「i.e.」となり、これがさらに1991年には1,108ccへと拡大されています。また1991年からは富士重工業製のCVTオートマチックミッションを採用した「セレクタ」も選べるようになりました。そしてこれ以降は大きな変更はなく、2003年途中に2代目パンダにバトンタッチしました。

 

パンダは日本では1983年から1999年まで正規輸入されました。'80年代末からイタリア本国では、4×4以外の二駆モデルは豪華版の「ホビー」と、廉価版の「ヤング」の2グレードが設定されていましたが、日本の正規輸入車は基本的にホビーに当たるグレードです。




■取材・撮影協力

アウトパンダ

 

1996年創業のイタリアン・スモールカー専門ショップ。名前の通りフィアット・パンダをメインに扱っており、パンダ愛好家にとって心強い味方。一般的なメンテナンスから、ATモデルのMT換装までさまざまなニーズに応えてくれる。パンダは常時数台の在庫があるので、興味を持った方はホームページへ。


東京都国立市青柳3-12-2

TEL:042-527-5522

営業時間:10:30〜19:30

休み:火曜

 

 

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文:和田達彦(Tatsuhiko Wada)

写真:銭田豊裕(Toyohiro Zenita)



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Funmee!!編集部

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