偶然が引き寄せた新しい世界。 『ビートイート』店主・竹林久仁子さんとマクロビの出会い


波乱万丈な人生を送ってきた竹林久仁子さん。交通事故がきっかけでマクロビオティックの存在を知り、生活がガラリと変わりました。竹林さんはマクロビに何を求め、何を見つけたのか。これまでの体験を含め、マクロビへのスタンスをうかがいました。

食べものは人間の思考を形成する


―― 竹林さんがマクロビオティックと出会ったのはいつのことですか。

 

11年前ですね。きっかけは交通事故です。スクーターに乗って信号待ちをしていたら、後ろから10tダンプに突っ込まれて。跳ねられた記憶もなく、気づいたら人に囲まれていて、病院に運ばれていました。左膝の土台が砕けちゃったので、そこにボルトを入れる手術をしました。入院期間が2カ月で、歩くのが困難になったので、車椅子と杖から離れるまで3年かかりました。

 


―― 大変な事故ですね。精神的にも落ち込みました?

 

落ち込みましたね。骨折だから、最初は1週間くらいで退院できると思っていたんです。でも、先生に「一生の問題ですよ」って言われて。交通事故のあとは3年引きこもっていたので、20kg太ったんです。運動もできないし、ただ食べてテレビを見て寝るみたいな毎日を送っていて、自分が歪んでいく感じがして。そのときに初めて生活を見直そうっていう気持ちが芽生えました。

 


―― そこからマクロビにつながるんですね。

 

ダイエットについて調べているときに、インターネットで知りました。それから単発でマクロビの教室に行くようになって、マクロビには深い哲学があることを知りました。食べものは自分の身体だけでなく、思考や環境にまで影響があることを知ったときに、すごくショックを受けたんです。クシマクロビオティックアカデミーに本格的に通って、数年かけてインストラクターの資格を取って。その頃は本当にストイックにやっていましたね。




 出典  Funmee!!編集部

玄米菜食で体も心もすこやかに

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―― 食生活を変えるとなったら、まずは玄米だけ取り入れようとか?

 

そうです。マクロビ関連の本を読むと「玄米を食べましょう」みたいなことが書いてあるので、量販店に玄米を買いに行ったんです。それで家で炊いて食べたら、じんましんが出てしまって……。農薬まみれの玄米だったので、逆効果だったんですよね。

 


―― 玄米はマクロビの基本なんですか?

 

マクロビを体感するための基本は、まずは玄米菜食。でも、絶対に動物性のものを食べちゃいけないわけではないんです。自分の体質やコンディションを見極めて、必要なものを摂ることが大切。私たちは生活のなかで多くの選択がありすぎて、自分に何が必要かを見極めて食べる感覚を忘れる事が多いんです。まずは身土不二、一物全体をキーワードに玄米とお野菜、穀物のおかずなどから始めてみてほしいです。シンプルな玄米菜食にすることで、感覚が呼び戻されていくと思います。




―― 体や感覚が研ぎ澄まされてきたなっていうのは、実感としてわかるものですか。

 

私はわかりました。ストイックに続けると転換期があって、壁に当たるんです。精神が不安定になったり、体調が悪くなったり。私は2年目でそうなったんですけど、そこを過ぎたらすごく楽になりました。

 


―― 体重もどんどん落ちて?

 

はい。体重が落ちて、健康管理は自分でやれるんだっていう自信がつきました。そこから逆に、だんだん緩めるようになって。常にストイックでいると、社会から孤立しちゃうんです。インストラクターの資格を取ってマクロビを世の中に広めたいのに、自分が門戸を狭めちゃっているような気がして。今はいざというときに体を調整できればいいかな、という感じです。

 


―― 話をうかがっていると、事故があったからこそ今の竹林さんがあるという感じがします。


そうですね。それまでは食事に興味はなかったし、社会とかどうでもいいって思っていたし(笑)。変わりましたね。



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マクロビの極意はバランスの調整にあり

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―― マクロビは、ライフスタイルとして捉えるのがベターでしょうか。

 

個人的にはライフスタイルとして理解してもらえると嬉しいですね。日本でマクロビというと、ヴィーガンやベジタリアンとイコールで考えられがちですが、私はそこに対してアンチでいたくて、「猟をして肉を獲るのも、マクロビです」って言ったんです。オーガニックミートだからありでしょっていう。滅茶滅茶バッシングがきましたけど、必要な分しか獲らないし。

 


―― オーガニック食品だけを食べる、というわけではないんですね。

 

自然により近いものを摂ることが体にとって良いことですよ、っていう考え方なんです。砂糖の原材料を例にすると、沖縄で収穫されるサトウキビは体を冷やす効能があるし、北海道で育つ甜菜糖は体を温める効能がある。身近で育った植物たちは同じ環境で生活する私たちに必要な栄養素をつくり上げてくれて、それを摂るとバランスがとれるんです。そして無農薬で品種改良をしていなくて、不自然に手を加えていないものを食べてほしい。



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―― 逆に言うと、マクロビの対極にあるものは?

 

極端であることですかね。マクロビはバランスをとることが第一前提です。戦場で食料が少ないとか、ファストフードのハンバーガーしか食べられないという環境だったら、そこでいかにバランスをとるかが大切。柔軟性を持って考えてほしいですね。ただ、今はこれだけ選択肢がある世の中だから、ファストフードではもったいないじゃんっていう気持ちはあります。探せば良いものがあるよって思うんです。



【後編】獲って、食べて、考えて。 『ビートイート』店主・竹林久仁子さんの豊かな狩猟ライフ


■プロフィール

『ビートイート』店主

竹林久仁子さん

 

交通事故がきっかけでマクロビオティックに出会い、インストラクターに。食を見つめる過程でオーガニックミートにも興味を持ち、狩猟免許および猟銃免許を取得。2016年3月『ビートイート』をオープン。

 

ビートイート

東京都世田谷区喜多見9-2-18 喜多見城和ハイツB1F

TEL:03-5761-4577

営業:12:00~15:00(L.O.14:30)、18:30~22:00(L.O.21:30)

休み:火曜日、水曜日、木曜日(不定休あり)



■クレジット

企画・編集協力:枻(エイ)出版社

文:吉田勉(Tsutomu Yoshida)

写真:山平敦史(Atsushi Yamahira)

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Funmee!!編集部

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