ものづくりからイベントまで、空箱から価値を生むダンボールライフ!


ダンボールのカタチや印刷の面白さに魅了され、「みんなのダンボールマン1号」となった小仙浩司(こせん こうじ)さん。「リサイクルされる前にリユース」をテーマに、SNSやワークショップでさまざまな作家さんの作品と人をつなぎ、ダンボールでものづくりするおもしろさを広める活動を続けています。


公私ともに“ダンボール愛”に突き動かされている小仙さんの生き様を探りました。



ダンボールで建てられた“住まい”との出会い


―― ダンボールといえば、普通なら資源ごみとして“捨てられる物”ですよね。


いきなりですね(笑)。でも、そのとおりです。正確にはリサイクルだから捨てるわけではないけど、もう捨てるくらいの感覚になってますよね。とてもいい事なんですけど。



―― そんな捨てられているダンボールに魅力を感じたんですね。


ダンボールにのめりこむきっかけは学生の頃に出会ったダンボールの“住まい”。かつては駅の近くなどで雑然とした姿をよく目にしたものですが、その住まいはパンダのイラストが描かれた引越業者のダンボールだけを使ってて、その一角だけパンダがずらーっと並んでたんですよ。



学生時代を振り返る小仙浩司さん

 出典  Funmee!!編集部


―― パンダがずらり!?


はい(笑)。大学で建築の勉強をしていて、そういう住まいに元々興味があったのですが、ダンボールの住まいもグラフィックでこんなにイメージが変わるんだなって。



―― それは意外なきっかけですね。


ダンボールも捨てたもんじゃないなと。それ以降、気に入ったグラフィックのダンボールを集め始めます。­



小仙さんが収集しているダンボールグラフィックの一部

 出典  Funmee!!編集部

ダンボール熱が冷めやらず転職を決意


―― ダンボール愛あふれる小仙さんですが、仕事は建築にまつわるものなのでしょうか。


実は最初、建築事務所のグラフィック部門に入ったのですが、やっぱりダンボールのグラフィックに惹かれる自分がいて。それができる仕事って?……と検索したら、「ダンボール印刷」と「DTP」で募集をしている会社を見つけて、「ここだ!」と(笑)。



―― ダンボールをデザインする仕事ですか?


そうです。製版会社でダンボールの版のデザインをしていました。ダンボールって通常11色の標準インクから多くて3色を選んで印刷するのですが、紙色によって刷られたときに色が微妙に違ってくるんです。限られた条件でどんな表現ができるのかといった可能性を考える力が鍛えられました。



ダンボール用のインク見本。標準となる11色が、紙質によって異なる発色に

 出典  Funmee!!編集部

ワークショップでダンボールの可能性を広める


―― どんな経緯で「みんなのダンボールマン1号」として活動するようになったのですか。


印刷されたダンボールの新しい使い方を発信したいと考えて、すでにダンボールを使って創作活動をされている方たちに会いに行ったんです。



―― 会うことで人脈も知識も広がるわけですね。


ダンボールを思いっきり楽しんでる人とたくさん会い、印刷だけでない多種多様なダンボール愛に触れました。そんな様々なダンボール愛を、いろんな場でお話するとみなさん面白がってくれて。隠れダンボール好きもたくさんいました。

「ダンボールマン」という名前も、参加したプレゼン大会で審査員をされていた方からいただいたんです。「あなた、まさにダンボールマンですね」と。

それ以降、この名前で活動するようになりました。ほかの作家さんの作品も紹介するので、頭に「みんなの」を付けて(笑)。



ダンボールの魅力を伝える行商「ダンボール・キャラバン」を開き、その活用法や仲間なかまの作品などを紹介

 出典  Funmee!!編集部


また最近はダンボールなかまと、“手で考え、頭でつくる”新しいワークショップユニット「テアタマ~ズ!」をつくり、活動を広げています。メンバー6人は作風に合わせてイニシャルで呼び合っていて、僕はフレンドリーの「F」と名乗っています。



―― 007みたいですね……(笑)。


(笑)。リーダーは緻密な線を活かすシャープ「S」。そのほか自由で直感的なクレイジー「C」、やさしく力持ちなお姉さんドンキー「D」、ハイセンスなお母さんデザイナー「M」、とても愛らしいイラストを描く「I」といった感じです。それぞれの特徴を生かしたワークショップを開いています。



ユニットが参加したイベントのひとコマ。テアタマンCの作品に子どもたちは興味津々

 提供  小仙浩司(撮影 織咲誠:テアタマンS)

アナログな製版技術の習得へ


―― こうしてダンボールへの造詣を深めていったわけですね。


そうですね。でもまだまだ知りたいことがたくさんあり、より製造に近い現場で働きたいと思って、今はダンボール工場に勤めています。そこには今では少なくなった、印版を手で彫る職人さんがいて、その技術を習っています。



出荷を待つダンボールの山と小仙さん

 出典  Funmee!!編集部


―― 今の時代に手彫りですか?


とてもアナログな手法で手もかかるので、ダンボール製版の多くはデジタルへ移行していますが、緊急の現場対応の際には、手の方がかえって早く対応できます。ここでは手仕事の味よりも、スピードとデジタルと遜色のない精度が求められるんです。



ゴム版に下描きを転写し、ひと刃ごと手で彫って製版。職人になると線を手で見ることができるとか

 出典  Funmee!!編集部


―― そういった職人たちが今も活躍されているんですね。


昔はみんなそうだったみたいですが、今ではめずらしいと思います。僕もデジタル製版の知識と、昔ながらのアナログ製版の技術を身につけて、現場での対応力を高めていきたいです。そして、ダンボールのことならダンボールマンにって言われるくらいになりたいですね。


なんせ「みんなの」ダンボールマンですから(笑)。



ハンコ作りのスペシャリストの先輩たち(左・中央)と小仙さん(右)

 出典  Funmee!!編集部


■プロフィール

小仙浩司さん

みんなのダンボールマン1号。大学では建築学を専攻。卒業後は建築事務所を経て、ダンボール印刷関連の職場へ転職。10年間DTPデザイナーとして勤務するかたわら、ダンボールのカタチのおもしろさ、印刷のカッコよさや、サイズのちょうどよさに注目してリサイクル前のリユースにまつわるアイデアを集めはじめる。2016年にある大学のダンボールを使ったプロジェクトに参加するために上京。2017年よりダンボールをもっと詳しく知るためにダンボール工場内にある製版室に勤務する。また、手で考え頭でつくるWSユニット「テアタマ~ズ!」の一員として、日々ダンボールに関わるみんなとダンボールの新しい楽しみ方を探索中。



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企画・編集協力:枻(エイ)出版社

文・写真:末吉陽子(Yoko Sueyoshi)/やじろべえ

写真:齋藤ジン(Jin Saito)



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Funmee!!編集部

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