【僕のサン=サーンス II】#02 音の学び舎、国立音楽大学に突撃!(現役学生編)


いつの日かの憧れを叶えようとする大人の本気は常にコンフューズ!?

始めたばかりのチェロで名曲『白鳥』を弾きたい思いだけで突進する連載企画『僕のサン=サーンス』。

 

第2シーズンの幕開け第2弾は、前回に続き国立音楽大学探訪。

現役でチェロを弾く学生の過去・現在・未来をインタビュー!



こちらがチェロ研の部屋。ドアにかかる札は昔のままらしい

こちらがチェロ研の部屋。ドアにかかる札は昔のままらしい

 出典  Funmee!!編集部


トナオ:アキコ先生が学食訪問を望んだように、僕は現役のチェロ学生に会いたいのです。

アキコ先生(以下アキコ):なら、やっぱりチェロ研に行かなきゃ。

トナオ:チェロ研って?

キコ:早い話がチェロ専修の学生の練習室。

野崎(国立音楽大学広報センター/以下野崎):現在のチェロ研は3号館の3階です。

キコ:ここも内装がキレイになっちゃって。でも、この下げ札は昔のままかも。懐かし~。



ア:Lが一字欠けているのも変ってないかも?

ア:Lが一字欠けているのも変ってないかも?

 出典  Funmee!!編集部


野崎:ではご紹介します。全学年で7名のチェロ学生から、4年生の田中香帆さんと3年生の花島之彦くんです。ふたりは出身地が同じなんですよ。

田中:よろしくお願いします。

花島:ともに群馬県出身で、僕は小2から彼女を知っていました。

トナオ:約1,600人の在校生中、チェロは7名しかいなんだ。

キコ:比率的には昔からそんな感じです。



OGと4年生の先輩に見守られながら、「何か弾いて」のリクエストに応える3年生

OGと4年生の先輩に見守られながら、「何か弾いて」のリクエストに応える3年生

 出典  Funmee!!編集部

Tシャツを着せてケースに仕舞うらしい。アキコ先生は「そうなの?」と驚いておりました

Tシャツを着せてケースに仕舞うらしい。アキコ先生は「そうなの?」と驚いておりました

 出典  Funmee!!編集部

 

チェロ弾きは力持ちと勘違いしていた田中さんです

チェロ弾きは力持ちと勘違いしていた田中さんです

 出典  Funmee!!編集部


トナオ:まず聞きたいのは、なぜ音大を受験しようと思ったかです。田中さんの経緯は?

田中:子どもの頃、チラシか何かで習字教室と音楽教室の勧誘を見て、母に相談したら「楽器にしなよ」と言われて、それで音楽教室の発表会を見に行ったのがきっかけです。そのとき、私にはエンドピンが見えず、あんなに大きなチェロを自分で持ち上げて弾くんだ、何て力持ちでカッコいいんだと思いました。

トナオ:スゴい勘違いから始まったんだねぇ。

田中:もちろん音も好きですよ。チェロはすべての楽器のなかでいちばんいい音だと思います。

トナオ:音大受験を決めたのはいつ?

田中:高3です。チェロ以外にピアノや水泳や陸上もやりましたが、長く続いたのはチェロだけでした。音大に行くと決めてからは必死で練習しました。地元で教わっていた先生が国立音大の講師を務めていらっしゃったので、それでこの学校に。でも、音大受験って道から外れる感じでしたよ。特殊な選択だし、楽器を買うにもお金がかかるし。



音大で心が通う友人ができたと語った花島くん

音大で心が通う友人ができたと語った花島くん

 出典  Funmee!!編集部


トナオ:同じ質問を花島くんにもします。

花島:僕は小2でチェロを始めました。両親がクラシック好きで、自分も自然と興味を持つ中で演奏会に行ったのですが、初心者のバイオリンの音は耳障りに感じて、やるならチェロがいいなと思いました。

トナオ:バイオリンが耳障りって初めて聞いた!

花島:それからずっとチェロを続けて、高校は進学校に進んだんですけど、そのまま普通に受験するのも何かつまらないと思いました。そこで、僕もついていた田中さんと同じ先生に相談して、チャレンジしようと決め、国立音大を受験しました。

キコ:ドロップアウトする感覚、ちょっとわかるなあ。

トナオ:実際に国立音大に入ってみてどうでしたか?

花島:ようやく心が通う友人ができました。高校まではコミュニケーション能力が低かったというか、好きなこと以外で友達がつくれなかったんです。



「今日は珍しくスカートなんですよ」と言って田中さんに睨まれた花島くん。幼馴染です

「今日は珍しくスカートなんですよ」と言って田中さんに睨まれた花島くん。幼馴染です

 出典  Funmee!!編集部


野崎:花島くんは最近彼女ができたそうですよ。

キコ:あらま。

トナオ:じゃ、好きなチェロができて彼女もいて、最高じゃん。

花島:でも大学では自分の興味以外の曲も弾かなければなりません。そこは将来的に必要だろうと考えて勉強しています。

トナオ:田中さんの学生生活はどうですか?

田中:完全にチェロ中心の生活です。楽しいけれど、辛いレッスンも多くて、しょっちゅう心が折れそうになっています。先生に言われてもすぐにできないのが悔しくて。

アキコ:そうだよねぇ。先生は厳しいもんねぇ。

田中:けれど簡単にはあきらめたくないので、何とか頑張っています。

アキコ:ああ、いい子!



屋上まで続く新1号館の階段で音大生の将来を聞きました

屋上まで続く新1号館の階段で音大生の将来を聞きました

 出典  Funmee!!編集部


トナオ:将来はどうしたいですか? 田中さんは4年生だから卒業間近でしょ。

田中:進学を考えています。まだレッスンを続けたいから。いまの目標はオーケストラに入ることです。夢のまた夢ですけど。

トナオ:いやいや、頑張ってほしいなあ。花島くんは?

花島:音大卒としてはオケに入れば安定した暮らしができますけど、相当に狭き門です。フリーの演奏家も考えますが、それで家庭が持てるかどうかも難しい。なので、一般企業の就職説明会も受けてみます。

野崎:やはり卒業してすぐにプロの演奏家になれるのはほんのひと握りで、国立音大の学生でも3割以上は一般企業に就職します。ちなみに田中さんのように勉強を続けるという進路も約3割です。

キコ:リアルでしょ。

花島:とはいえせっかく音大に通ったので、できれば音楽関係の会社、たとえば楽器店に勤められたらいいですね。



音大生活を謳歌されんことを願うばかりです

音大生活を謳歌されんことを願うばかりです

 出典  Funmee!!編集部


トナオ:アキコ先生、母校を訪ねてどうでしたか。

キコ:校舎は新しくなったけれど、懐かしさはありましたね。

トナオ:カレーの味も変ってなかったしね。

キコ:あれはうれしかったなあ。トナオさんはどうでした?

トナオ:なぜ音大が不思議に思えるかというと、趣味ではなく教育で音楽を経験する場というのがあまりに特殊に感じられるから。ちゃらちゃらギターを楽しんできた身としては特に。けれど学生たちは意外に冷静でしたね。決して特殊な存在ではなく、どちらかと言えばおっとりしていた。あれはチェロの学生だからかな。

キコ:否定はできないかなあ。けっこうマイペースですからね、チェロ弾きは。



「私の時代の写真が残ってる!」とチェロ研で歓喜爆発のアキコ先生でした

「私の時代の写真が残ってる!」とチェロ研で歓喜爆発のアキコ先生でした

 出典  Funmee!!編集部


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文:田村十七男(Tonao Tamura)

写真:伊藤博幸(Hiroyuki Ito)

取材協力:国立音楽大学



■注記

本記事は国立音楽大学の許諾を得たうえで取材・撮影を行っています。学生や大学関係者を除き、無断での立ち入りはご遠慮いただいております。



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Funmee!!編集部

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