きらびやかに大進化!?メダカ育種家・馬場浩司さんがメダカにハマった理由


メダカというと、子どもの頃の理科観察を思い出す方も多いかもしれませんが、水田に囲まれた小川やため池に棲む昔ながらのメダカとはひと味もふた味も違うド派手なメダカがいるそうです。そんな噂を聞き、千葉県柏市へ向かいました。


そこにあったのは数えきれないほどの水桶と、その中を軽やかに泳ぐ銀色や赤、黒などきらびやかなメダカたち。飼い主であり、メダカ愛好家で専門店「めだか夢や」オーナーの馬場浩司さんに、メダカに魅入られてしまった理由や美しいメダカの正体について教えてもらいました。



体長2cmに秘めたチカラから新しい姿を生み出す

 出典  Funmee!!編集部


―― この桶一つひとつに異なるメダカが泳いでいるのですか!? すごい数ですね。


入口の近くは販売用のメダカでして、ここは育てるための場所です。数は時期によって多少増減ありますが、80品種で、160交配くらいいますよ。



―― こんなにいろいろな見た目のメダカがいるって、知りませんでした。昔から親しまれているメダカと、ここにいるような華やかな見た目のメダカ、本当に同じメダカなんでしょうか?


昔からよく飼われてきた「クロメダカ」とここにいるメダカたちは、見た目の形や色がずいぶん違いますが遺伝子的には同じだそうです。だから見た目の異なるメダカを一緒の桶で育てていると、そこで生まれた卵のなかから少し違う特徴を持った子どもが生まれることがあります。



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―― あ、このメダカ、背中がキラキラ光ってますよ!


いい目をしてますね! 「クロメダカ」など昔から飼われていたメダカたちを何度も掛け合わせて、こういった特徴をもった子どもを増やしていくことで、背中にラメの入ったメダカや、尾びれや背びれの長いメダカを育てていくんです。これを僕たちは観賞用メダカなどと呼んでいます。



―― なるほど。池や川に棲むメダカとは異なるわけですね。


鑑賞用メダカは、ヒレが長い「ヒレナガ」、形が丸っこい通称「ダルマ」、体の色が三色の「三色メダカ」など、見た目が個性的なものが主流です。出目金のように目が出ているメダカの「デメダカ」や、パンダのように目の周りが黒くなっている「パンダメダカ」、鱗が透明で身体の内側が光っているように見える「ミユキ」など特徴はさまざまです。



ヒレナガ

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―― このメダカはまるでグッピーのような雰囲気できれいですね。


「ヒレナガ」と呼んでいるメダカです。この尾びれの姿をもっとかっこよくできたらと思っていますが、まだまだこれからと思っています。



始まりは「ザリガニの餌」として増やしたこと

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―― そもそも何がきっかけで、メダカの世界に魅せられたんですか?


10年以上前にザリガニを飼ってまして。実はきっかけはザリガニの餌なんです。



―― え? ザリガニ??


はい。ザリガニを飼うには餌としてメダカがちょうどよかったんですよ。だけど食われちゃう餌メダカを店で買ってくるのがなんだか変な感じがして、自分で増やそうと思っちゃったんです。よくよく考えると安いメダカを購入した方がコストは低いんですけどね(笑)



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―― なるほど(笑)


それでメダカ飼育の情報をインターネットで調べていたら、ちょいちょいオレンジ色のきれいなメダカが検索結果に出てくる。それで「こいつは何者なんだ!?」ってなって、検索し続けていたら「楊貴妃」って名前の付いた観賞用メダカだってことがわかったんです。飼ってみたくて探したのですが、どこ行ってもびっくりするほど高くて……。結局、1年ほどかけて特売の楊貴妃を見つけて入手しました。観賞用メダカとの出会いはそこからですね。



―― 入手して愛でているうちにこれほどの種類と数へ増えていったんですか


一口に観賞用メダカといっても、いろいろな楽しみ方をしている人がいます。僕はもともと凝り性なところがありまして、種類と数を増やしながら、自分の求める姿のメダカを生みだす方向へハマっていきました。人によっては特徴を持った観賞用メダカに特化して育て続ける方もいるし、育種など気にせずいろいろなメダカを一つの水槽で育てて、そのカラフルさを楽しむという方もいる。はたまた、コケ類やシダ類を生やしたアクアリウムを作ってメダカを育てて楽しむ方もいるんですよね。



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情報交換で世界を広げ、気づけば各地に仲間ができた


―― それでメダカ飼育の趣味が高じて、専門店を開くまでになってしまったわけですか?


そこには一つきっかけがありまして……。メダカを増やしていく過程で、孵化したばかりの幼魚はとても弱りやすいんです。その幼魚たちをどうやって育てていくのがいいかを知るために愛好家のブログをチェックしていました。でもやっぱりわからない……。そこでいろいろな人のブログにメッセージを送って直接会いに行ったんです。そうして各地に情報交換をする場ができました。



―― メダカ仲間ですね。


はい。そうやってメダカの飼育や交配をしていくうちに、僕が交配させたメダカを欲しいという仲間が出てきて、お互いお世話になっている仲なので、最初は無料で譲っていたんです。ところがなかにはすぐ死なせてしまう人がいる。半端なものは譲れないと、自分でも自信を持ったものを贈っていたのですが、次に会ったら「あー、あれね……実は……」となる。そこで大切にしていただく意味を込めて無料で譲るのをやめて、どなたに対しても一律で値段をつけてみたところ、明らかに死なせてしまう人が減ったんです。でも値段をつけるということは、商売になってしまう。当時は会社員だったのですが、周囲の仲間の応援や妻の理解もあって、一念発起して独立することにしました。



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―― ご家族も応援してくれてますか。


妻は最高の理解者です。もともと釣りが好きな僕と同じ趣味を持ち、メダカもおもしろがってくれています。先ほど伝えたザリガニも、実は妻がきっかけで飼いはじめたんです。ときどきイベントなどでメダカの展示販売をしていますが、そこで売り上げができることを楽しんでくれています。だから、今の僕がこんな風に好きなことをして暮らせているのは妻のおかげとも言えます。逆に2人の子どもたちは「またメダカぁ?」といった感じで、あまり興味なさそうですけど(笑)



―― (笑)。そうやって店を開いて変わったことはありますか?


もともとのメダカ仲間だけではなく、いろいろなお客様が来てくれますね。はじめてメダカを飼いたいという方と飼育の話をすることもあるし、愛好家たちと新しいメダカの情報交換をすることもあります。そういったやりとりの中から新しいアイデアややりたいことも出てくるのでおもしろいですよ。



―― メダカ愛好家ってどんな人が多いんですか?


僕のお店に来られるのは、女性も多いですし、遠方からはるばる来てくださる方もいらっしゃいますよ。メダカ飼育は、飼う数に対して適した容器と水草があればスタートできて、そこまで手間をかけなくても育てられるので、忙しい方が日常の中で少しほっとするひとときを作るきっかけになるんだと思います。また、交配や繁殖など積極的に取り組んで楽しむこともできるので、浅くも深くも楽しめるのが魅力ですね。




■ プロフィール

馬場浩司さん

メダカ育種家、メダカ専門店「めだか夢や」オーナー。

日本メダカ協会の理事、メダカ愛好家団体・観賞メダカ愛好会の発起人の一人。メダカの展示会などを開催し、観賞用メダカの普及活動に努める。書籍『メダカ生活はじめませんか?』(ナツメ社)監修。


めだか夢や

千葉県柏市逆井1849-24

TEL:090-2727-0066



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企画・編集協力:枻(エイ)出版社

文:井上綾乃(Ayano Inoue)

写真:増川浩二(Koji Masukawa)



■免責

育種された観賞用メダカに限らず、すべてのメダカを河川や湖沼へ放すことは、その地域に元から住んでいたメダカの個性を変化させることにつながりかねません。決して行わないでください。



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Funmee!!編集部

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