ミスターNHK・宮本隆治さんの万年筆「心のベスト5」
コレクター

ミスターNHK・宮本隆治さんの万年筆「心のベスト5」


NHKで長らくアナウンサーとして活躍し、現在はフリーで活動する宮本隆治さんは、10代のころから万年筆を使い続けている筋金入りの万年筆マニア。


そのなかからとくに思い入れのある万年筆5本をピックアップ。一つひとつ大切に集め、使い続けてきたからこそわかる宮本流の思いを教えていただきました。



ロマンあふれる思い出が詰まった2本

宮本さんが手にするウォーターマン エキスパート スマート(左)と、パーカー21(右)
 出典  Funmee!!編集部
宮本さんが手にするウォーターマン エキスパート スマート(左)と、パーカー21(右)


ウォーターマン エキスパート


印象的な青を纏うウォーターマンを「ツタンカーメン・ブルー」と呼んで、大切にしている宮本さん。


「この万年筆は、エジプト・ツタンカーメン王の黄金のマスクの冠やアイシャドーの鮮やかな青を想起させてくれるんです。これまで5度、エジプトへ足を運び、カイロ博物館で拝見したあの青を思い出さずにはいられない一本なんです(笑)」


他の万年筆にはない色合いが、ツタンカーメンが生きた3,500年前のロマンを感じさせてくれ、普段から大切にしています。硬めのペン先と重い軸も気に入っているのだとか。




パーカー 21


昭和53年、赴任先のNHK京都放送局の近くの万年筆専門店で買い求めた一本。店の主人がうやうやしく奥から取り出してきた光景が忘れられないと話す宮本さん。じつはかつて宮本さんの父がアメリカ人からプレゼントされたパーカー21を愛用していたのだとか。


「父が万年筆を使うたび、小学生だった私のアメリカに対する憧れが増したものでした。私にとって、一番身近なアメリカがこのパーカー21だったんです」


父のパーカー21は当時大変珍しいモスグリーン。色違いながら、ペン先が隠れた独特なデザインの万年筆は、子どもの頃の情景を思い出させられる大切な相棒です。



若き頃、清水の舞台から飛んだ

モンブラン マイスターシュテュック149
 出典  Funmee!!編集部
モンブラン マイスターシュテュック149


モンブラン マイスターシュテュック149


「清水の舞台から飛び下りる気持ちって、経験したことありますか? 私はまさに京都でやったことがあります」と笑う宮本さんが手にしたのは、モンブランの名品のひとつ。


昭和55年、NHK京都放送局時代にパーカー21と同じ専門店で購入した「マイスターシュテュック149」。30歳のころ、ボーナスが支給された直後に購入したのだとか。


軸の太さと長さが自分の手に合っていて、とにかく書きやすい。48年間使い込んできたおかげで、ペン先が書き手の意思を確実に伝えてくれます。



日常の記録に欠かせないスマートなステンレス軸

モンブラン ノブレス。普段使いの手帳と一緒に持ち歩いています
 出典  Funmee!!編集部
モンブラン ノブレス。普段使いの手帳と一緒に持ち歩いています


モンブラン ノブレス


普段の生活のなかで字を書く機会のひとつに手帳があります。もちろん万年筆で書く宮本さん。いまでは毎日手にするこのモンブランも、じつはある時期まで控え選手だったといいます。


「ズングリとした重厚感のあるデザインが多いモンブランのなかで、軸がステンレス、しかも細身なことが珍しかったため手にしましたが、太字が好きだった私には使う機会が少なかったのです」


ところがあるとき、手帳のペン止めにぴったり収まることに気づいて……。


「いまではどんな予定もこのモンブランで書いています。ペン先は『細字』。手帳に書く文字は、すっきり見える細字がいいんです」


 

大先輩にいただいた想い

パーカー75 スターリングシルバー。大切なときに使う一本
 出典  Funmee!!編集部
パーカー75 スターリングシルバー。大切なときに使う一本


パーカー75 スターリングシルバー


昭和48年、NHKアナウンサーに就職が決まったとき、アナウンサーの大先輩、中島和三さんから就職祝いとしていただきました。


ペン先が硬く、中字。婚姻届け、人事用の自己申告書、土地の契約書など、人生の節目で心して字を書くときに使ってきました。


「『パーカー75』は、見るたびにアナウンサーの初心に帰らねば、と思わせる大切な一本です」



コレクター

雑誌「趣味の文具箱」編集部が贈る「書く」道具にスポットを当てた特別編。日本国内外約50のペンブランドがABC順に紹介されています。おそよ900点の万年筆・ペン・シャープペンシル・鉛筆などの中から、あなたの御眼鏡にかなう筆記具がきっと見つかるはずです。


■プロフィール

宮本隆治さん


昭和25年、福岡県北九州市生まれ。大学卒業後、昭和48年にNHK入局。「おはようジャーナル」、「NHKのど自慢」など数多くの番組を担当。6年連続で「紅白歌合戦」の総合司会を務める。平成19年、NHKを定年退職。現在、フリーアナウンサーとして活躍中。



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文:中島茂信(Shigenobu Nakajima)

写真:井原淳一(Junichi Ihara)



2018年7月20日
Funmee!!編集部
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