少年の頃の憧れを手に!ヴィンテージスロットカーで始まる大人の青春


「子どもの頃は高くて買ってもらえなくて、ずっと憧れてたんだよ」


おもちゃ売り場やホビーショップで、こんなセリフを言った経験がある人いませんか? 今回ご紹介するスロットカーは、まさにそんな代物。

 

1960年代に流行したスロットカーが、いま再びジワジワと盛り上がりをみせ、東京・銀座のトイショップ、博品館のサーキットにも多くの人が集まっています。


最新型の国産スロットカーももちろん楽しいですが、大人たちの中には、ヴィンテージスロットカーにこだわりを持っている人たちもいます。その奥深い世界を雑誌「モデル・カーズ」の編集に携わっていた山田剛久さんに教えてもらいました。



幼少期に憧れていたスロットカーが忘れられなくて

雑誌「モデル・カーズ」の編集にも携わっていた山田剛久さん

 出典  Funmee!!編集部


ヴィンテージスロットカーを楽しんでいる皆さんに共通しているのが「幼少期の憧れ」というキーワード。スロットカーが日本で流行ったのは1960~'70年代なので、ミニ四駆よりもずっと前ですが、その当時遊んでいた層が「あの時、買えなかったモデルで最初に遊びたい!」とアメリカ製のヴィンテージスロットカーを手にしているそうです。



コースを走るスロットカー

 出典  Funmee!!編集部


山田さんの場合も当時まだ幼く、そもそも自分のスロットカーを買えなかったんだとか。それゆえに憧れが一層募り、「上京したら、スロットカーをやるぞ!」と心に決めていたほど。この言葉を聞いただけで、どれだけ憧れていたのかが伝わってきます。



手前からタミヤ製フェラーリ330P2、K&B製フェラーリ250GTO(’ 64)など、ヴィンテージスロットカーのフェラーリ達

 出典  Funmee!!編集部


当時、中・高校生だった人たちも、子どもの小遣いではアメリカ製は高価すぎて買うことができず、「いまなら買えるじゃん」と少年時代の夢を実現しているんだとか。ちなみに当時国産スロットカーでアメリカ製品と互角に競争できたのは「タミヤ製ぐらいだけ」だったようです。



’60年代のアメリカで作られたスロットカーは、あらゆる面で贅沢で、希望にあふれている

1960年代のアメリカ製スロットカーを代表するブランド、COX(コックス)のチータ。チータは当時のアメリカのレースカーで、スロット・レーシングを象徴する車種として人気が高い。

 出典  Funmee!!編集部


山田さんは元・雑誌編集者という職業柄もあいまって、スロットカー本体もさることながらパッケージのグラフィックや塗装の色など、すべてが好きなんだそう。


「アルファベットに弱いんですよ。当時はパッケージのロゴも手書きだし。たまんないよね!」と、スロットカーだけでなく、パッケージやシール、ワッペン、それにスロットカーのカタログや雑誌など、いろいろなものを見せてくれました。



山田さん自慢のワッペンたち

 出典  Funmee!!編集部


「上手な人たちは昔のモノを買って綺麗に塗装しなおすけど、僕はこの車体のプラスチックの色も好きでね。こういう色は、いまの製品にはないから」と山田さんは語ってくれましたが、確かにレトロで、どこか昭和の懐かしさも感じられる水色は、現代のおもちゃにはない色味。



こちらもアメリカのCOX製スロットカーで、ディノラチャ(Dinoracha)。ボディのモチーフはフェラーリのディノだが、高性能シャシー使用。DinorachaとはDinoとCucaracha(メキシコ語でゴキブリの意)を合わせた造語で、ゴキブリのようにすばしっこいDinoという意

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60年代、ベトナム戦争がいまだ泥沼化する前で、アメリカがまだまだ元気だった時代のマスプロダクションは、作りが凝っていて贅沢、それに夢や希望を感じるんだとか。



まるで部活?!再び訪れた、大人の青春

山田さんの仲間たち

 出典  Funmee!!編集部


取材の日もそうだったのですが、山田さんたちは2カ月に1度のペースで新横浜にあるサーキット場に集まります。「このメンバーの中では僕なんて下手くそすぎて」とはにかむ山田さんですが、諸先輩方に会える日は本当に楽しみなんだそう。


スロットカーという共通の趣味でつながる人たちだけあって、車の話しかしないそうですが(笑)、情報交換や部品交換などもすれば、教えてもらったり、時には苦言を呈されたりすることも。



スロットカーは少年時代を思い出させてくれる

 出典  Funmee!!編集部


「みんなすごい人だから、彼らから改造など教えてもらえるのは嬉しい。この年齢になると自分が1番年上になっちゃうことの方が多いけど、ここだと若造だもん」としみじみ語ってくれました。


確かに年齢があがると仕事でもプライベートでも教わる機会は減りますが、”若造”の山田さんにとっては、ただ遊ぶだけじゃない、もっと大切なものがスロットカーを通して築き上げられているようです。



大人だからこそ楽しめる、スロットカーの魅力

整備した分だけ、走らせたときに結果が出てくる。

 出典  Funmee!!編集部


ヴィンテージのかっこいい車を持っていても実際に走れないのではダメ、SHOW&GOが大切。スロットカーの世界では、綺麗に仕上げたクルマを走らせてなおかつ速いというのが最高にカッコイイと言われます。



スロットカーはコントローラーのトリガーで、スピードを調整したりブレーキをかける。

 出典  Funmee!!編集部


スロットカーはコントローラーのトリガーで、スピードの調整やブレーキをかけたりするのですが、テクニックだけで勝てるものではないそうです。


車の整備も重要で、「整備した分だけ、走らせたときに報われる」のだそう。子どもの時はわけもわからずただ走らせていただけだったけど、大人になると経験や知識もあるし、知識や原理を理解したうえで整備ができるから昔より楽しいと皆さん笑っていました。



大人になったいまこそ、子ども時代に欲しかったあの一台を

1960年代アメリカのK&B製スロットカー、フェラーリ250GTO(’ 64)。

 出典  Funmee!!編集部


時間的にも金銭的にも余裕がでてきたいまだからこそ遊べるヴィンテージスロットカー。仲間同士でサーキットに集い、レースを楽しむことでコミュニケーションも生まれ、“憧れの車で遊べる”以上の価値があるようです。




■プロフィール

山田 剛久さん

クルマ模型、玩具マニア。ネコ・パブリッシング「モデル・カーズ」編集部、「ホビダス」編集部を経て、2010年に独立。現在は、古い自動車、モータースポーツ、自動車模型、玩具の歴史などを専門とするライター・編集者として活躍中。幼少期に憧れていたスロットカーへの思いが捨てきれず、大人になってからヴィンテージスロットカーを手にとる。デザインも含め1960~'70年代のアメリカ製プロダクトが好きで、当時のスロットカーやカタログ、部品などを収集。先輩諸氏と共にヴィンテージスロットカーを楽しんでいる。


 

■撮影協力     

有限会社バン・プロジェクト

神奈川県横浜市港北区新羽町412-2



■ヴィンテージスロットカーに関するお問い合わせ

ガレージハウス・クゲヌマ Tel.0466-50-4807



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ライター:荒木翔子(Shoko Araki)

カメラマン:澤田聖司(Seiji Sawada)



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Funmee!!編集部

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