書く快楽を求めて。愛好家に聞く、万年筆というオトナの世界


大人の趣味の代表格、万年筆。憧れの文房具ですが、「趣味として楽しむには少しハードル高いかも……」と考えている方もいるかもしれません。


そこで今回は万年筆のコレクターとして知られるアピオの代表取締役社長・河野仁さんに、遊び心溢れるオトナな万年筆の愛し方を教えてもらいました。



万年筆に恋をして、運命のものと出会う悦び

万年筆を持って、ご満悦の河野仁さん

 出典  Funmee!!編集部


書き心地の良さや、書いた文字が醸し出す独特の雰囲気だけでなく、それ自体のフォルムにも美しさがある万年筆。河野さんが手に取る万年筆はどんな逸品なのか、さっそくご自慢のコレクションを見せていただきました。



河野さん曰く、万年筆の魅力は「女性と似ている」のだそう。握りやすさを追求した美しい曲線、ひんやりとした胴軸部分はとても滑らかな肌触り。確かに万年筆のフォルムを形容する言葉は女性と似ているのかもしれません。


「この部分の色艶とか肌触りとか特に素敵でしょ」と言いながら河野さんが自分の万年筆へ向ける視線は、まるで愛する女性を見つめるようでした。


同じブランドの万年筆でも色や形は多種多様。

 出典  Funmee!!編集部


河野さんが万年筆を選ぶときは、とにかく直感重視! 直感で運命の一本を見つけるのも、醍醐味なんです。


万年筆と呼ばれるものを隅から隅まで収集するコレクターと違い、惚れ込んだ一本を手元に置く河野さんは“彼女たち”を満遍なく使ってあげるように心がけているそう。「それでも時期によって、ついつい偏りは出てしまうんですけどね」と申し訳なさそうに語っていました。



インクが紙に流れる気持ちよさ。書くことそのものが快感に


そもそも河野さんが万年筆に出会ったのは娘さんがきっかけでした。


「一人目の娘を育てているときはそこまで気が回らなかったけれど、二人目が生まれたときに何月何日に歯が生えたとか、つかまり立ちができるようになったとか、こと細かに成長日記を付けたいと思ったんです」


それ以来、10年間、日記をつけ続けていて、ちょうど10年目に当たる今年は、特に振り返ることも多かったそう。


「娘たちが成長していく何気ない日々も、それがいつか家族の思い出になると思う」


河野さんご自身も父親が日記をつけていた後ろ姿を見ていたとのこと。「今では万年筆を使う口実だけども」と仰っていましたが、まさか日記が愛情表現のひとつとは、日記を記す喜びを知っている人しか至らない発想ですね。



河野さんにとって、万年筆を集めることよりも、万年筆で書くことがなによりも幸福な瞬間

 出典  Funmee!!編集部


万年筆には私たちが普段使っているペンとは違って、使っていくうちに書き手の手や癖に馴染んでいく特徴があります。河野さんは、ひと目惚れした万年筆が、自分の手に馴染んでいく感覚が堪らない、とも。



自分好みの色を探すのも楽しい!

河野さんにとっては、惚れた万年筆にどんな色を入れようかと考えるのも楽しみの1つ

 提供 河野仁さん


実用性を重視するだけに、万年筆に入れるインクの色にもこだわる河野さん。“書くこと”への魅力に取り憑かれている彼は、黒のインクをほとんど使わず、万年筆の軸にあしらわれた美しい模様や軸の色に合わせてインクを選んでいます。



万年筆があれば、旅ももっとハッピーに

旅先でも、必ず日記をつける

 提供 河野仁さん


河野さんは万年筆と同じくらい旅も大好き。特に国内旅行では旅先で万年筆を購入することも少なくないとか。


新潟へ行ったときには、「ちょっと船の中で書きたいから」と、新潟港近くの文具店に立ち寄り、セーラーの万年筆を購入したそう。セーラーの万年筆にはキャップの頭の部分、天冠に錨のロゴマークがあしらわれていて、船旅でのテンションも上がります。


その万年筆で描いたノートは旅が終わったあとも楽しみとして残ります。しかも、旅先で買った一本はたとえ高価なものでなくとも、手に取るだけでその時の風景を思い出させてくれる大事なメモラビリアになりました。


集めるだけでなく、書くことに本当の楽しさがある万年筆。あなたもハマってみませんか?




■プロフィール

河野仁さん

1966年 岡山県倉敷市生まれ。家電メーカーのインダストリアルデザイナーを経て、1993年スズキジムニーパーツメーカー及び新車コンプリートカー販売を行うアピオ株式会社へ。2005年より同社代表取締役社長。ジムニーはもちろんオートバイツーリングやキャンプ。写真。シングルモルトと蕎麦好きにくわえて50歳からはじめた「書道」そして最近では急激に「日本酒」とより日本について興味が深まる日々。ライフスタイルのキーワードは「毎日が夏休み」。



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ライター: たなかもみこ(Momiko Tanaka)

写真:澤田聖司(Seiji Sawada)



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Funmee!!編集部

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