自分らしく生きることをアウトドアが教えてくれた。「たき火ヴィレッジ<いの>」管理人・猪野正哉さん


華やかなファッション業界の最前線を経て、ジャンルとしては一見、正反対のアウトドア業界で活躍する猪野正哉さん。

山あり谷ありの人生を乗り越えて、自分のいるべき場所に気づかせてくれた、アウトドアとの出会いについて伺ってきました。



シティボーイに憧れ、ファッションモデルに。

 出典  Funmee!!編集部


—— 現在ライターとして、さまざまなアウトドア誌で活躍する猪野さんですが、元々は「メンズノンノ」のモデルさんだったとか。まったく正反対なジャンルのように思えますね。

 

浪人生だった頃、付き合っていた彼女に冗談半分で薦められて、応募したんです。あれよあれよと審査を通過し、見事、3000人近くのなかから合格してしまいました。結局、2年間「メンズノンノ」の専属モデルをさせてもらいました。今の僕しか知らない人は驚くし、昔の僕しか知らない人も今の姿を見て驚いています(笑)。

 


—— 当時から趣味でアウトドアを楽しんでいたんですか?

 

いえいえ。当時は、仕事が終わったらパチンコ屋に直行! みたいな生活でした。東京に住んでいて、人脈や仕事を増やすために毎日のように飲み歩いて、クラブに通っていました。当時の僕は、シティボーイを目指していたんで。

 


—— シティボーイ! そんな猪野さんにとって、ファッション業界はどんな世界でしたか?

 

千葉で生まれ育った僕にとって、東京のファッション業界というのは憧れの世界でした。実際、そこで働くようになって、運良くスタートから業界のトップの人たちが集まるような環境で仕事をさせてもらえたことは、今では大きな財産です。当時、周りにいた売れっ子のモデルたちは、みんな自然体でかっこよくて。でも、その中にいる自分自身に対して不安もあったし、違和感も常にありましたね。



どん底の時期に、“地味で辛そう”な山登りにハマった!

 出典  Funmee!!編集部


—— ライターの仕事を始めたのもその頃ですね。

 

モデルついでに原稿も、という仕事をたまにいただいていました。でもその当時、友人とアパレルブランドを立ち上げてお店も始めたのですが、結果的に失敗。大きな借金を背負ってしまったんです。モデルやライターの仕事をしながら、倉庫でも働くような悶々とした日々。もう極度の人間不信でしたよ。そんな時に、みかねた友人が山登りに誘ってくれて、渋々同行したのが初の山登りでした。

 


—— 初めての山登りはどうでしたか?


それまでは、完全に山登りをバカにするタイプでしたからね。地味だし、辛そうだし、根暗な感じがして……。でも、実際は見事にはまってしまいまして。

 


—— 山登りのどういった部分に惹かれたのでしょう?

 

山にいると、立ち止まったり、振り返ったり、座りこんだりという行為が多々あります。街にいると、そのことを忘れてしまい、がむしゃらに突っ走り、結果、失敗することもありますよね。「疲れたら休む」、「周りが見えなくなったら立ち止まる」、「同じ過ちを犯さないように振り返る」。山登りを通して、そんな当たり前のことに気がつかせてもらったんです。



アウトドアで、仮面はかぶれない。

 出典  Funmee!!編集部


—— その後、徐々にアウトドアの仕事が増えたとか。きっかけはなんだったのでしょう。

 

ちょうど同じ頃、ライターの高橋庄太郎さんと久しぶりの再会を果たしました。庄太郎さんは、実は僕がモデルになった時にメンズノンノの編集者だったんです。再会した時の庄太郎さんは登山業界ではカリスマになっていて、憧れの人的な感じでした。「彼と一緒に山に登って、誌面に出たい」っていうのがモチベーションになって、仕事が増えていきましたね。先日、やっとその願いが叶い、下山した際に握手をしたんですが、正直泣きそうになりました。大袈裟ですが、この歳でも夢は叶うんだと思いました。

 


—— 身近に大きな目標があったことが、すごく励みになったのですね。では、アウトドア業界で働くようになって、ファッション業界との違いを感じる部分ってどんな部分でしょうか。

 

仮面をかぶり続けないといけないのがファッション業界で、仮面をかぶりたくてもかぶれないのがアウトドア業界。自然を相手にすると自分の体力や技術が試されるので、常に素の自分でいられるところでしょうか。

 


—— なるほど。街での生活より自然体でいられる場所を見つけた、と。

 

しんどかった時期は、街で飲み歩いてお酒に逃げていました。お酒は目の前の問題を一瞬だけ忘れさせてくれるけど、結局何も解決はしてくれない。アウトドアでは、目の前で起こること自分の力で解決しないと先に進めないし、解決した力は身についてく。そういったところが、アウトドアをやるようになって、僕自身が変わった部分ですね。

 


 出典  Funmee!!編集部


■プロフィール

猪野正哉さん

千葉県千葉市出身。浪人生時代に応募したオーディションに受かり、「メンズノンノ」専属モデルを2年間務めたのち独立。ファッション誌を中心に、モデルやライターとして活躍するも、30を越えて活躍のフィールドを徐々にアウトドア業界へと移す。現在は、実家のある千葉市でアウトドアスペース「たき火ヴィレッジ<いの>」をスタート。焚き火を中心に、幅広いアウトドアアクティビティを通じて、自然や火の魅力と共存する怖さとの両面を伝える活動に勤しんでいる。エネルギー源は、お酒とカレー。趣味はサッカー。



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企画・編集協力:枻(エイ)出版社

文:池田 圭(Kei Ikeda)

写真:宇佐美博之(Hiroyuki Usami)



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Funmee!!編集部

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