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#17 メルセデスベンツ280<W114型>(ディテール編)
【趣味人ジドウシャ部】︎

#17 メルセデスベンツ280<W114型>(ディテール編)


クルマの新旧や機能だけでなく、趣味性の高いクルマ、さまざまな趣味への汎用性が高いクルマを紹介するこの連載。

 

メルセデスベンツのW114型は、1968年から8年間の間に、200万台を売り上げた史上稀に見る名車です。タクシーとしても世界中で活躍し、その堅牢性は折り紙つき。そんなW114型のフラッグシップ「280」から魅力をひも解いていきましょう。



細部まで美しい史上稀にみるベストセラー


今回紹介するW114型は、2018年登場からちょうど50年を迎えます。「半世紀前のクルマの割には古臭さを感じないな」というのが、多くの人の率直な感想ではないでしょうか?

 

当時のメルセデスベンツは、世界でも非常に高い水準を持ち、かつ最先端の技術を採用した世界でもっとも進んだクルマでした。それは技術面だけでなくボディデザインにも及びます。メルセデスベンツのデザインは「デビュー当初は斬新に見えるが、数年すると普通に見える」とよく表現されましたが、これはいかにデザインが世のなかのトレンドに先行していたかを物語るエピソードといえるでしょう。



小さなテールランプやホワイトリボンタイヤに時代を感じますが、ボディデザインには決して古さを感じさせません
 出典  Funmee!!編集部
小さなテールランプやホワイトリボンタイヤに時代を感じますが、ボディデザインには決して古さを感じさせません


W114型はそんなメルセデスベンツのなかでも特に落ち着いたデザインで、堅牢な構造を持っているモデルです。コンパクトと呼ばれるこのモデルは、ドイツはもちろん多くの国でタクシーとして数多くのクルマが活躍しました。嘘のような話ですが、いまだに途上国ではW114型が現役のタクシーとして活躍し続けている国があるそうです。走行距離も100万キロをオーバーすることも珍しくないんだとか。いかにしっかりとした作りだったかが判りますね。



三角窓はマイナーチェンジ時に廃止となるため、前期モデルの大きな特徴です。窓の下の丸いダイアルを回して開閉します
 出典  Funmee!!編集部
三角窓はマイナーチェンジ時に廃止となるため、前期モデルの大きな特徴です。窓の下の丸いダイアルを回して開閉します


W114型は1968年から1976年まで製造されましたが、途中1973年にマイナーチェンジを行います。同年に登場したSクラス(W116型)開発時に行った安全実験などからフィードバックされた結果をもとに、バンパーの装着位置を上方に変更し、泥汚れが付着しにくい凹凸を持つテールランプの採用などを行なっています。逆に三角窓はマイナーチェンジ時に廃止されてしまいました。



ワイパーアームが左右反対方向に動き、停止時は中央寄りに集まる、通称「ケンカワイパー」
 出典  Funmee!!編集部
ワイパーアームが左右反対方向に動き、停止時は中央寄りに集まる、通称「ケンカワイパー」


W114型は、後述するW115型を含めると、およそ8年間の製造期間で約200万台を販売したといわれています。これはメルセデスベンツの歴史のなかでも最大のセールスを誇った人気モデルでした。タクシーとして世界中で活躍したというのも頷けます。



凹凸のないテールライトレンズとクロームのトリムが備わるのが前期モデルの大きな特徴です
 出典  Funmee!!編集部
凹凸のないテールライトレンズとクロームのトリムが備わるのが前期モデルの大きな特徴です

 

現代車にはない堅牢な内装が魅力


続けてドアを開けて内装を見てみましょう。まず目に飛び込んでくるのは真っ赤なレザーシートです。メルセデスベンツのシートは決して派手な豪華さはないものの、座りやすく運転していて疲れないことに定評があります。


「猫耳」と呼ばれる左右が飛び出した形状のヘッドレストは、乗員の頭部保護を考慮して後期モデルから採用されたものです。取材車両は前期型ですが、内装を張り替えた際に後期型のヘッドレストに交換してあります。



美しい赤いレザーシートは座り心地もよく、長距離の移動も快適です
 出典  Funmee!!編集部
美しい赤いレザーシートは座り心地もよく、長距離の移動も快適です


ステアリングにはサークル状のホーンリングが備わります。このホーンリングは、中央のボタンの代わりにリングを押すことでホーンがなる仕組みです。中央のパッドは内装色に合わせて赤でコーディネイトされています。

 

またオートマチックのセレクターレバーがコラムに備わる、所謂「コラムシフト」になっています。センターコンソール周りがスッキリするだけでなく、当時のアメリカ車などでは多くの車種に採用された方式です。



前期モデルのステアリングは、サークル状のホーンリングが備わるレトロなスタイルです
 出典  Funmee!!編集部
前期モデルのステアリングは、サークル状のホーンリングが備わるレトロなスタイルです

 

現代の路上でも普通に使えるW114型の底力


W114型のエンジンは基本的にガソリンの直列6気筒で、2.3ℓと2.5ℓ(ともにシングルカム)、そして取材車両に搭載されているツインカム2.8ℓがラインナップされています。ちなみに同じボディにガソリン直列4気筒やディーゼル直列4気筒、そしてディーゼル直列5気筒を搭載するモデルも存在し、こちらはW115型となります。



搭載されるエンジンは、このモデルの最大排気量となるツインカム2.8ℓユニットです
 出典  Funmee!!編集部
搭載されるエンジンは、このモデルの最大排気量となるツインカム2.8ℓユニットです


この2.8ℓツインカムユニットは、160馬力を発生。さらに3速のオートマチックとの組み合わせによって、驚くほどキビキビ走ります。50年も前に誕生したクルマですが、現代の路上でも普通に走ることができるのは、さすがドイツ車、さすがメルセデスベンツといったところでしょうか。



スティールホイールにホワイトリボンタイや、そしてホイールキャップというレトロな組み合わせが逆に新鮮ですね
 出典  Funmee!!編集部
スティールホイールにホワイトリボンタイや、そしてホイールキャップというレトロな組み合わせが逆に新鮮ですね


足回りもまだドラムブレーキが多い時代にW114型はすでに4輪共にディスクブレーキを採用しています。ホワイトリボンタイヤにホイールキャップというレトロな見た目とは裏腹にストッピングパワーはしっかりと確保されています。

 

ここまで紹介してきてもうお気づきかもしれませんが、W114型は半世紀も前に登場した車両にも関わらず、エンジンなどの駆動系はもちろん、足周りやインテリアなど、しっかりと整備された個体であれば、街乗りに普通に使うことができるだけのポテンシャルを持っています。

 

また製造台数が多いため、現在でも主要なパーツの供給には困らないとガレーヂ310代表の水戸さんはいいます。しっかりとしたパーツの供給体制があり、ガレーヂ310のような頼もしいショップがある限り、W114は安心して乗れるファーストカーになり得るのです。



誕生から半世紀が経過した現代の路上でも、走りに全く問題はありません
 出典  Funmee!!編集部
誕生から半世紀が経過した現代の路上でも、走りに全く問題はありません
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■取材協力

ガレーヂ310


メルセデスベンツのなかでも特に’90年代以前のモデルを中心に取り扱うビンテージメルセデス専門店。創業1964年というから2018年で54年の老舗だ。今回紹介したような比較的手頃な入門モデルから、博物館級のレアモデルまで幅広く取り扱っている。

 

東京都世田谷区下馬4-19-5

TEL:03-3422-1966

営業時間:9:00〜18:00

休み:日曜日、祝日(ただし予約をすれば対応可)

 


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文&写真:勝村大輔(Daisuke Katsumura)



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2018年1月17日
Funmee!!編集部
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