サーフィンの技術とジャッジを「見分ける力」で、さらにおもしろくなる試合観戦


オリンピック種目に決まったサーフィン。WSL(世界プロサーフィン連盟)をはじめとした選手たちが集う大会を観戦するためのHow Toを紹介するこの企画。

 

後編はマニューバーのテクニックを見分けるポイントだけでなく、ジャッジの評価が変化する条件なども紹介します。



流れるようなライディングをしていると点数がつきやすい!

五十嵐カノアの1本のライディングを見ると、いくつかのマニューバーを繰り出しているのがわかる。しかも、それらをすべてで流れるようなサーフィンを展開している。これが「フロー」とか「流れ」と呼ばれる評価対象だ

 出典  Funmee!!編集部


次のチェックポイントは「流れ」だ。選手はほとんどの場合、キャッチした1本の波で何回もマニューバーを決めてくる。その一つひとつのマニューバーが流れるように繋がっているとスコアが伸びやすい。

 

例えばテイクオフから一連の技を、ほとんどトリミング(波のパワーがなくなってきたときに、ボードのスピードを落とさないよう左右にボードを振ってスピードを持続させる技)を入れずに連続して行えば、そのライディングには「フロー(流れ)」があることになり、高く評価される。

 

これにはもちろん波のセクションを読む能力も必要になってくる。逆に、技が途切れ途切れになって、マニューバーが独立してしまうと、スコアが伸び悩むことになってしまう。スムーズにマニューバーを繋いだライディングのほうが点数は高いということを覚えておこう。



ブレイクに合ったマニューバーを選択しているかというのも評価の基準!


サーフィンをやる人ならわかると思うが、正しくないポジションで強引にマニューバーを決めようとしてもまったく上手くいかない。サーフィンは自然相手のスポーツだからこそ、その波やブレイクに合ったマニューバーを選択する必要があるのだ。



長いリップが落ちてきている波に対して強引にリッピングを仕掛けても次に繋がらない。そんなときはフローターを選択したほうがスコアは伸びる

 出典  Funmee!!編集部


しかも、言うまでもなくサーフィンは常に動いている波の上で行われるので、一瞬で波のブレイクを理解し、正しいマニューバーを判断した上で、体を上手に使っていかなければならない。それらすべてを正確に行って初めて高い評価が得られるのだ。

 

それこそサーフィンのコンペティションの醍醐味と言えよう。たとえ行ったマニューバーが革新的でなかったとしても、正しい動きを選択していれば、それも点数として評価される。



テイクオフ後のファーストターンに注目せよ!


サーフィンコンペティションの基本は、厳しいポジションでマニューバーを仕掛けなさい、というもの。つまり波のショルダー側のフラットに近い位置でカットバックを仕掛けても点数は伸びないということ。それならホレたセクションにオフザリップで攻めていったほうが評価は高くなる。



テイクオフ直後のサイズが最も大きく、波がホレてくるセクションは、いわば「美味しい場所」。そこを逃している選手は勝つことができない

 出典  Funmee!!編集部


そう考えていくと、1本の波の中で一番厳しい場所がテイクオフ直後にある場合が多いのだ。高い確率でその場所の波のサイズが一番大きく、ホレているからだ。

 

だからこそ、テイクオフ直後にどんなパフォーマンスを見せるのか注目したい。ただし例外はあって、テイクオフ直後のブレイクが厚く、岸に近づくにつれてホレてくる波の場合は当てはまらない。



ジャッジのスコアリングには最初からスケールが分かれている!


サーフィンのコンペは採点競技だ。WSLでは1ヒート(競技時間)に5人のジャッジが採点するが、当然ながらジャッジにより採点が異なるケースも出てくる。それでも、なるべくわかりやすく誤差が少ないように、スコアリングには「スケール」が分かれている。



難易度の低いターンを何度続けても良いスコアが出ないのは最初からスケールが決まっているから

 出典  Funmee!!編集部


例えば、1本のライディングの中にエクセレントのスケールに入るマニューバーが入っていると、8.0から10.0の間のスケール(採点基準)内でスコアが付けられる。逆にアベレージのマニューバーを5回6回と続けても、6点以上のグッドというスケールで点数を付けられることはないということ。

 

これは相対的に、マニューバーの回数ではなく、難易度などの基準が採点に反映されやすいということを意味している。



波の大きさやコンディションによってジャッジ基準が変化する!


最高峰のチャンピオンシップツアーを例に挙げると、オーストラリアのスナッパーロックスからタヒチのチョープー、ハワイのパイプラインなど、コンテスト会場はさまざまだ。もちろんその場所その場所で波のサイズや形は変わる。同時に、スコアの付け方もコンテスト会場の波の大きさやコンディションによって異なってくる。



スナッパーロックスの波はブレイクが長く、大抵の選手が1本の波で多くの技を入れてくる。1マニューバーだけだと、難易度が高くてもスコアが伸びないことが多い

 出典  Funmee!!編集部


例えばパイプラインの波はチューブがほとんどで、だからこそテイクオフがどれくらい奥なのか、チューブライディングがどれくらい深いのかといった部分にスコアの重点が置かれる。一方、カリフォルニア・トラッセルズの波は比較的ソフトなので、「革新的」や「進歩的」という部分を重視して採点することになる。つまり、その波の特性に合ったジャッジをしているということなのだ。



スコアの付け方は相対評価と知っておこう!


最後に、サーフィンのスコアリングが相対評価だと知っておくことはとても重要だ。

 

簡単に言ってしまえば、コンテスト会場やその日のコンディション、ヒートごとの状況で波は変化するので、異なるコンテストやヒートの単純なスコア比較は意味をなさないということ。例えばスナッパーロックスの波である選手が9ポイントのライディングをしたからといって、それがチョープーの波で他の選手が出した7ポイントのライディングよりも優れているということにはならない。

 

ジャッジはそのヒートの中で優劣を判断するだけであって、コンテスト全体、もしくは年間を通した優劣を考えるわけではない。つまり、スコアはヒート一つひとつで独立しているということなのだ。



サーフィンコンテストのスコアリングで重要なのは、同じヒート内でジャッジの基準がブレないということ。だから異なるコンディションの下で行われる各大会のスコアを単純比較してもまったく意味をなさない

 出典  Funmee!!編集部


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文:中野晋(Susumu Nakano)

写真:Kenyu

 

 

■注記

本企画はサーフィン誌「Surf Style 2017(サーフスタイル2017)」(枻(エイ)出版社)の記事「10倍!!楽しくなる サーフィンの見方」の再掲載になります。



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Funmee!!編集部

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