70歳やOLも! みんなの「エベレスト行きたい!」を叶える国際山岳ガイド・近藤謙司さん
標高8,848m、世界最高峰のエベレスト。遠い存在のように思えますが、あなたもエベレストに登頂できるんです。
今回はエベレストへのガイド登頂回数6回、80人もの一般人を8,000m級に導いている国際山岳ガイド・近藤謙司さんにお話をうかがいます。
取材にお伺いした日は、2017年エベレスト隊が出発する直前でしたよ!
70歳からOLまで! 一般人がエベレストに挑戦する

―― まさにエベレストツアーの直前なんですね。
2017年4月9日にエベレスト隊が出発するんですよ。2カ月くらいかけて、エベレストの手前にあるロブチェ・イースト(6,000m級)とエベレストとローツェにいきます。参加者は全員一般人です。
―― 参加者のみなさんは、全員エベレストに挑戦するのでしょうか?
エベレスト登頂に挑戦する人もいれば、ベースキャンプに滞在するところまでの人もいます。本気で登山をする人も、トレッキングをしならがベースキャンプ滞在する人も、同じグループ、同じタイミングで同じ時を共有するのです。
日本の登山って、ハイキングやクライミングとかジャンルごとにグループ化されちゃって、異なるジャンルとの横のつながりがないんですよね。僕はジャンルを越えた山好きな人が集まって、時間を共有するのが究極の形だと思ってる。

―― どんな人が参加されるんですか?
70歳近い人から、OLさんや学生まで幅広く。OLさんはスキーがきっかけで登山にも興味をもってくれてたんです。ここ2年くらい雪山の勉強やトレー二ングを続けていて、ついにエベレスト登頂まできましたね。
―― そんな短期間でエベレストに登れるようになるとは驚きです。
もちろん、エベレスト登頂に参加するための条件はありますよ。でも、その条件も講習会や実際のツアーでサポートしているので、できちゃうんですよね。「やるか」、「やらないか」ただそれだけの違いなんです。

―― エベレスト登頂に必要なものって何でしょうか?
圧倒的な体力、モチベーション、負けない気持ちの3つですね。自分の足で歩いてもらわないといけないので、歩ける能力だけは持っていてほしいです。あとは、何でも食べれられる、どこでも寝れる、ちょっとくらいお風呂に入らなくても大丈夫とか。トレーニングというよりは、考え方を変えるだけですよね。
登ったから変わるわけじゃない。エベレストに行くと決めた時点で、変わりはじめている
―― たくさんの一般人をガイドとして導いてますが、みなさん登頂されて何か変わったりしますか?
エベレストに登頂したから変わるのではなくて、「エベレストに行こう」と決めたときから変わっているんだと思います。以前に比べて生き生きしているし、年齢に関係なく魅力的な人間になっていきますね。

―― 決めたときから、というのはすごく納得できますね。
30年くらい前までは、めんどうな登山のステップみたいなのがありましたよね。ハイキング、縦走、雪山、岩登り、アイスクライミングとレベルをあげて、やっと海外の山みたいな。これもひとつのスタイルだけど、だからといって「私はまだまだ」と思わなくていいんです。
きっかけは何でもいい、Noフェンスで山に入ってきてほしい

―― なんだか私もエベレストにいきたくなってきました。
僕は「Noフェンス」と言ってるんだけど、自分がやりたいアウトドアを、登山とかスキーとかキャンプといったジャンルごとで考える必要はなくて、自由にやりたいことをやっていいと思うんです。「こういうルールだから」とか「お前にはまだ早い」とか、そういうのは誰かが勝手に作ったフェンスなんですよね。
登山にしても、始めるきっかけは何でもいい。スノーボードで行った雪山が楽しかったとか、音楽フェスでテントはってる人をみかけたとか。ルールがないところが、山や自然の楽しいところですから。
「一般登山者でもエベレストに」を日本で初めて実現。
技術、メンタル、費用……エベレスト登頂の前に立ちはだかる壁を全力で取り払うべく力を尽くす国際山岳ガイド・近藤謙司さん。
本書では、エベレストを含む世界七大陸最高峰の登頂をサポートする彼と登頂者たちのストーリーを追い、彼を一流のガイドたらしめる理由を紐解くべく、おいたちにもフォーカス。
高峰登山の魅力とそれを裏でサポートする「国際山岳ガイド」の魅力に迫る一冊。
■プロフィール
近藤謙司さん
(公社)日本山岳ガイド協会公認 国際山岳ガイド、山の日アンバサダー、株式会社アドベンチャーガイズ 代表取締役。山岳ガイドの仕事をベースに、講演・出演・執筆・教育活動、自然や山岳スポーツを対象としたイベントの企画・運営・コーディネイトなどを手がける。日本人では数少ない国際山岳ガイドの資格を持ち、1998年、冒険と山岳ガイドの旅行会社アドベンチャーガイズを設立。ごく一般の人々を極限の自然へ案内する事に喜びを感じ、夢を実現化させる請負人。
