#15 日産 パオ(スペック編)
自動車
【ヘンアイ国産自動車の会】︎

#15 日産 パオ(スペック編)


最近は路上で見かける機会も少なくなった、でも鮮烈に記憶に残る、少し変わった日本発のクルマたち。そんなクルマとの毎日を楽しんでいるオーナーさんに愛車の魅力を語ってもらう「ヘンアイ国産自動車の会」。日産 パオは、バルブ時代に販売されたパイクカーシリーズの中でも最も販売台数が多かった一台です。



最も売れたパイクカー三兄弟の次男坊


「パオ」は、以前このコーナーで紹介したBe-1に続く日産パイクカーシリーズの第2弾として’89年に登場しました。Be-1は台数限定の販売だったのに対し、パオは当初から台数を限定せず、発売期間を限定した車両として、3カ月の受注期間に受けた注文数を全て販売する方式を採用し、Be-1、そして後に登場する第3弾のフィガロと、それらの中でも最も多い51657台の予約を受けることとなります。



丸みを帯びたレトロデザインのボディに、丸いテールランプが並ぶシンプルなスタイルは、いまなお多くのファンがいます
 出典  Funmee!!編集部
丸みを帯びたレトロデザインのボディに、丸いテールランプが並ぶシンプルなスタイルは、いまなお多くのファンがいます


パオのデザインは一連の日産パイクカーシリーズに関わったコンセプター、坂井直樹氏の「都会の中にもリゾート気分を感じさせるアドベンチャー感覚あふれるクルマ」というコンセプトのもと、日産デザインセンターで他のパイクカーデザインにも関わった古場田良郎氏によってデザインされました。パイプ状のバンパーや外ヒンジ式のドア、三角窓、そしてフラップ式に開閉するリアクォーターウインドーなど、全体的にレトロな要素を盛り込み、アーシーカラーと呼ばれる専用の淡いボディカラーが4色設定されました。



必要な装備しかないインテリア


インテリアも外観に負けないインパクトを放っています。麻布風の素材を使った簡素なシートに、大きなスピードメーターがひとつだけ備わるシンプルなダッシュパネル、レトロな雰囲気の2本スポークステアリングと、いずれも非常にシンプルかつ必要最小限の装備となっています。ウインドウの上下も手動で、オーディオやクーラーすらオプション設定だったそうです。




’60年代のクルマを彷彿させるシンプルかつレトロなインテリアは、豪華装備競争に明け暮れる自動車業界へのアンチテーゼだったのです
 出典  Funmee!!編集部
’60年代のクルマを彷彿させるシンプルかつレトロなインテリアは、豪華装備競争に明け暮れる自動車業界へのアンチテーゼだったのです


これらシンプルな装備は、年々豪華になる当時の自動車と対極をなし、これが一般大衆の心をつかむことになります。ところが同時に年々安全基準が厳しくなり、エアバッグなどの装備が急速に一般化していた時代でした。そのため一連のパイクカーは、企画が5年遅かったらここまでシンプルな作りで販売することはできかっただろうといわれています。バブル景気と自動車の進化の間を縫って発売されたパイクカーは、まさに日本の’90年代初頭を象徴する一台といえるでしょう。



シートバックには特徴的なマップポケットを備えるのが特徴です
 出典  Funmee!!編集部
シートバックには特徴的なマップポケットを備えるのが特徴です

マーチと同じタフな1ℓエンジン


エンジンはBe-1同様にK10型マーチをベースとしているため、52馬力のMS10S型987ccを搭載します。トランスミッションは3速ATまたは5速マニュアルが選択可能でした。実はレトロなスタイルとは裏腹にボディ各部には熱可塑性樹脂やSMC成型樹脂、FRPなど、最新のプラスティック系素材を積極的に採用し、車重は最も重いキャンバストップ付きAT車でも800kg以下と非常に軽量でした。そのため、スペック以上にキビキビ走るのが特徴です。生産から四半世紀が経過していますが、シティコミューターとしては未だに現役で使用できる優れたクルマでもあるのです。



Be-1同様フロントヒンジを採用したフードを開くと、マーチと同じ1ℓエンジンが顔を見せます
 出典  Funmee!!編集部
Be-1同様フロントヒンジを採用したフードを開くと、マーチと同じ1ℓエンジンが顔を見せます

レトロカーへの憧れがまたひとつ膨らむ!レトロカーの選び方や維持費、燃費などリアルな情報も入手でき、おしゃれな写真とともに楽しむ事ができる一冊です。


■プロフィール

髙木惇史さん


茨城県在住。つくば市内で『トタンコットンカフェ』を夫婦で営む30歳。子供が生まれたため、ISO FIXチャイルドシートを装着できる某フランス車と、パオの2台体制に突入。

 

 

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文&写真:勝村大輔(Daisuke Katsumura)

 


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2018年5月11日
Funmee!!編集部
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