共栄堂3代目店主 宮川泰久さんのカレーの奥義【前編】 90年以上続くスマトラカレーは進化する

インドネシア発スマトラカレーが ここ神田に根付くまで

 Funmee!!編集部

━━共栄堂といえば、スマトラカレーが代名詞。創業当初から出されている看板メニューです。カレーといえばインドというイメージがありますが、インドネシアのスマトラカレーにはどんな特徴があるんですか?

スマトラカレーの特徴は小麦を使わないところ。だから、さっぱりとしています。インドにはそもそもカレーというカテゴリの料理はないし、カレー粉自体はイギリス経由で日本に入ってきたからね。


━━スマトラカレー誕生の由来を教えてください。

明治末期に、東南アジアで香辛料の効いたカレーに惚れ込んだ伊藤友次郎さんという方がいまして、その方から初代店主がレシピを教わったことから生まれたようです。2人の間にどのようなつながりがあったか、詳しいことはわかりません。でも、スマトラ島のカレーの作り方を教わったことは確かで、そこで日本人の口に合うようにアレンジをし、提供したようです。当初はカレーだけでなく、洋食全般を手がけていました。


━━伊藤さんは、せっかく日本に紹介したスマトラカレーをなんとか広めてほしかったのかもしれませんね。その後1970年から、カレー専門店に変わりましたが、その理由は? 

海老などのシーフードやステーキはどうしても原価率が高くなってしまう。そうすると、お客様に提供する価格も高くなってしまうので、庶民的なカレーを選んだようです。

 Funmee!!編集部

伝統の味を少しずつ進化 どの世代が食べてもおいしいカレー


━━3代目が店を手伝うようになり、カレーのレシピはどのように学びましたか。

私が店を手伝うようになったのは30年くらい前から。2代目はシェフにならずに経営者だったので、カレー作りはおかみさんから学んだ。記録になったレシピはなく、言葉で香辛料のグラム数だけを教えてもらって、あとは見よう見まねで始めました。


━━まさに昔ながらの学び方ですね。スパイスは何種類あるんですか?

20数種類。約1時間かけてじっくりと炒めます。

 Funmee!!編集部

━━それが、靖国通りに漂うかぐわしい香りの正体――スマトラカレーのスパイスの香りですね。メニューは、ポーク、チキン、ビーフ、海老、タン、それに店の隠しメニューであるハヤシライスの全7種類ですね。

カレーというくく括りでは一緒だけど、それぞれのカレー別にブイヨンやフォンドボー(牛・鶏と野菜を煮込んだ出汁)を具に合うように変えています。海老カレーも頭から出汁をとったり、バターや白ワインを加えていたり細かなところに気を配っています。一日の7割は仕込み。朝は6時からスパイスを炒めることから始まります。




 Funmee!!編集部

━━老舗の料理は味が変わらないといわれますが、秘伝のスマトラカレーもそうですか。

「変わっていません」といいたいところですが、正確に言えば、わからないように少しずつ変えていきました。4世代にわたって来て下さるお客さんもいらっしゃって、ひいおじいちゃんからひ孫さんまで「おいしかった」と言ってくれます。昔からのお客さんは「変わっていない」と感じているようですが、若い方々に合うように、アレンジは加えている。


━━4世代に納得の味を出すって大変だと思います。

いえ。どんな世代が食べても「おいしかった」と言ってもらえること。それが基本ですから。


スマトラカレー共栄堂3代目店主 宮川泰久さんのカレーの奥義【後編】 食材にこだわり、街に思いを馳せ、カレーを食す!


■プロフィール

宮川泰久さん

大正13年に創業以来、スマトラカレーを提供する共栄堂の3代目店主。1951年生まれ。共栄堂に入って約30年、伝統の味を進化させている。黒濃色で香ばしさが癖になるスマトラカレーはテレビや雑誌などの各種メディアでも紹介されている。

営業時間は、11:00〜20:00(L.O 19:45)。

〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-6 TEL : 03-3291-1475

URL : http://www.kyoueidoo.com


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企画・編集協力:枻(エイ)出版社

文:岡﨑ヒデキ(Hideki Okazaki/TRYOUT)

写真:山田ヒロユキ(Hiroyuki Yamada)


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Funmee!!編集部

Funmee!!編集部