【こんなイベントあるんだ!】元祖電子楽器を奏でる宴に潜入!「全日本テルミンフェス」(前編)


趣味や遊びは人生を豊かにしてくれる。それがたとえ、一般的には理解し難いマニアックなものだったとしても。いや、むしろ万人の共感を得づらい変質的な趣味の世界こそ、それに没頭する者の愛や熱量はより深く、濃厚なものになるのかもしれません。


当連載では、そんな一風変わった趣味人が集まるイベントやコミュニティをレポートします!


今回は9月初旬に渋谷の東京カルチャーカルチャーで行われた「全日本テルミンフェス」に潜入してきました。


国内トップクラスのテルミン・プレイヤーが集結


テルミン。名前は聞いたことがあっても、どんな形をしているのか、どんな音を奏でるのか、ご存じでない方も多いでしょう。世界最古の電子楽器で、ロシアの発明家が作ったものだそう。


そんなテルミンに、「フェス」が開催されるほどの愛好家がいたとは驚き! しかも今年で3回目とのこと。


開演前から次々とテルミンファンが来場。最終的に満席に

 出典  Funmee!!編集部


こういったコアなイベントは、いわゆるマニアックな人たちばかりが集まり、ビギナーには敷居が高いイメージがありますが、来場者に話を聞いてみると、初心者層やテルミンを触ったこともない初心者も多かったです。




ご覧の通り、テルミンは楽器に触れずに音を奏でます。極めて珍しい演奏スタイルで、右手で音の高さを、左手でボリュームを調節します。空中で手を動かすだけで、「キュ~ン」「ブオブオ」「ビィヨ~ン」、なんとも擬音にしづらい様々な音が……! 多くの人が「魔法のようだ」と驚いていました。



開演前の入り口付近では初心者向けに、「テルミン演奏体験」が行われていました。

 出典  Funmee!!編集部


参加者の一人は、「楽器って、まずそもそも『音を出す』までのハードルが高くて諦めてしまうことも多い。でも、テルミンはとりあえず音だけは出せるから、初めてでも楽しかったです。ただ、指先の微妙な動きひとつで音が変わってしまうので、簡単なようでいて奥が深い。本気でやろうと思ったら、どこまでものめりこんでしまいそうですね」と話してくれました。


初テルミンにして、その楽しさ、奥深い魅力を感じとったようです。


開演! いざ奥深きテルミンの世界へ


そうこうしているうちに、フェスの幕が上がりました。




まずは、主催者でもある国際的怪電波ユニット「ザ・ぷー」の開会宣言。そのまま、街角マチコさん(ザ・ぷー)によるオープニングテルミンに突入します。



マチコさんはこの道15年のテルミン奏者。テルミン教室「テルミン大学」も主宰する

 出典  Funmee!!編集部


滑らかで繊細、時に激しい指の動き。背筋がピンと伸びた、凛としたたたずまい。そして、その優雅な音色。ヴァイオリンのようであり、胡弓のようでもあります。


続いて“哀愁の表現者”こと相田康一郎さんが登場。異名の通り、見た目も奏でる音楽も哀愁たっぷり。

 出典  Funmee!!編集部


息継ぎを必要としないテルミンは、「無限に」音を伸ばすことができるそう。そのため、伸びやかな音色のクラシック音楽などと相性が良いのです。まずはスタンダードなクラシックや、「コンドルは飛んで行く」といったテルミン向きの壮大なテーマで魅せていく演奏者たち。



個人的に、最も心に染み入ったのはクリテツさんの演奏。こんなの弾けたら楽しいだろうなあ

 出典  Funmee!!編集部

濱田佳奈子さん。映画「のだめカンタービレ最終楽章・後編」では、テルミン演奏のスタントも務めたスゴイ人。しかし、ステージを降りれば優しいおかあさんでもあるのです。この日の演奏後も、小さな男の子が一目散に駆け寄っていきました。おかあさんがテルミン弾けるなんて、そりゃあ誇らしいでしょうね。

 出典  Funmee!!編集部


かと思えば、三番目に登場した濱田さんは「実験的な試みです」と前置きしつつ、坂本龍一「千のナイフ」を披露。細かく複雑な音が幾重にも重なり合う難曲です。会場中が「そんなのできんの?」と疑いの目を向けるなか、激しい指さばきで完奏しきった濱田さん。テルミン音楽の可能性を広げんとする、気概に満ち溢れたステージでした。


そして、さらにぶっとんでいたのがこの人。




その演奏スタイルは「即興」。のっけから怪音を炸裂させ、曲ともつかない狂気じみた音色・ビートを刻んでいきます。



菊地誠さん。著名な物理学者でありながら、テルミン・サイケ・デュオ、andmo’でギターとテルミンを担当する異色のアーティスト。敬愛するテルミン・プレイヤーはジミー・ペイジ。ギターソロのように、縦横無尽にテルミンを操る

 出典  Funmee!!編集部


まるで、この世で表現できる「あらゆる音」を出し尽くさんとするような、凄味に溢れる圧巻のパフォーマンスでした。のんびりした平和な楽器だと思っていたテルミンが、ここまでの狂気を秘めていたとは……。



その直後には、宇宙からやってきたフェザード・シジュが登場。張り詰めた会場の空気が一気に弛緩します

 出典  Funmee!!編集部


続いては“宇宙鳥”のフェザード・シジュさんが登場。普段はWEBサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」で見習い勤務をしているシジュさんは、去年より街角マチコさんに師事し、テルミンを習っているそうです。狂気の後に癒しを。見事に練り込まれたステージ構成……。




ちょいちょい寸劇を絡めつつ、オリジナル楽曲でオーディエンスをぐいぐい盛り上げていく「ザ・ぷー」。気づけば会場はこんなことになっていました!



テルミンでこんなに盛り上がるとは!

 出典  Funmee!!編集部


そう、超盛り上がったのです。正直、失礼ながらテルミンってもっと地味な楽器かと思っていましたが、こんなにも人々を熱狂させる魔力を秘めていたんですね。


癒やし、笑い、狂気、さまざまな要素が詰め込まれたテルミンフェス。テルミンの楽しさがこれでもかと伝わってくる最高のイベントでした!



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文:榎並紀行(Noriyuki Enami)/やじろべえ

写真:鳥居健次郎(Kenjiro Tori)



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Funmee!!編集部

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