【僕のサン=サーンス】#04 ところで“チェロ”ってどんな楽器?


いつの日かの憧れをモノにすべく、いいオトナが本気で遊びはじめたら……。

 

名曲『白鳥』をチェロで弾くために七転八倒する無茶な連載企画「僕のサン=サーンス」の第4話は、読者のみなさまの“そもそも、チェロって何?”という疑問に、弾き始めたばかりの素人があれやこれや説明を試みます。



楽器だけは身銭を切らなきゃダメだ宣言!?

前回購入したチェロ。27万円也

 出典  Funmee!!編集部


まずこの時点でお伝えしたいのは、前回の記事で購入したチェロは“自腹”だということ。本当はそんなのどっちでもいい。だが、ある方面から「どうせタイアップか何かでもらったんでしょ」という邪推が入ったと聞いた。

 

趣味の領域というか楽器だけは身銭を切らないと自分のものにならない。かつて会社員をしていたころ、見栄っ張りな社長が買ったままで弾かなかったナイスなギターをボーナス代わりにもらったが、何となく愛情を注げず、乞われた友人に貸したままになった。ちなみに高校1年生のころに買った5万円のヤマハは今でも持っている。少なくとも僕にとって楽器とはそういうものなのだ。

 

そんな覚悟を証明するために領収書を見せるなんて大人気ない?! 「そんなことよりチェロを弾け!」がおよその正解である。



弦の名は、「アー」「デー」「ゲー」「ツェー」??

今回は編集部からお題をいただきました。「そもそもチェロって何?」。ふむふむ、なるほど。確かにチェロという楽器があることは知っていても、その特徴はと問われるとあまり知られてないかも。『白鳥』が弾きたいだけの僕も明確な知識を持ち合わせていない。やれやれ、困ったことだ。




ヘッドと呼ばれる部分の渦巻きデザインがクラッシク楽器の証

 出典  Funmee!!編集部


ざっくり言えば「管弦楽に欠かせない楽器」。

 

アンサンブルにもソロにも対応可。形状はバイオリンと似ているが、ボディの全長が125cmほどあるので、基本的に座って弾く。さらにボディの下部にはエンドピンと呼ばれる金属の棒が差し込まれ、その長さ調節で個々に最適の演奏姿勢がつくれる。



こちらが金属製のエンドピン。楽器を立てて演奏する点で、コントラバス(ウッドベース)にも備わっているようです

 出典  Funmee!!編集部


これはチェロに触れてから知ったのだが、エンドピンを床に立てるとチェロ本体の響きが床に伝わり、ステージの床まで楽器の一部として利用することがあるらしい。へぇ、である。じつはこのエンドピンはチェロが生まれた当初は付いておらず、脚でボディを挟んで固定していたようで、背の低い奏者がほとほと困ってエンドピンを生み出したという逸話もあるとか。へぇ、へぇ、である。



“fホール”と呼ばれる穴やボディ全体の共鳴で音が出ます

 出典  Funmee!!編集部


弦は4本。高い音を出す細いほうから1弦~4弦という番号があるが、調弦が高い順にA(ラ)、D(レ)、G(ソ)、C(ド)なので、ドイツ語読みで「アー」「デー」「ゲー」「ツェー」になる。その呼び方、昔の芸能人みたいでちょっと慣れ難い。

 

呼び方と違い、中低音の響きは素晴らしい。特に『白鳥』はゆったりしたメロディなので、真っ白で柔らかい羽毛に包まれるようなうっとりした気分になる。男性の声に近い周波数を発生するとか。むむ、オスの白鳥に抱かれるのか? いや、女性が聞いたらうっとりしちゃうってことか。



「ぼくはきみにドレミファを教えてまでいるひまは……」


日本でもっとも有名なチェロを扱った文学作品と言えば、宮沢賢治の『セロ弾きのゴーシュ』だろう。セロとチェロは同一。宮沢賢治自身もチェロを弾いたそうだが、交響楽団のチェリストに「3日で弾けるように」と頼み、そのせっかちが災いしたのか腕前はそこそこだったらしい。



本棚にあった短編集の中に『セロ弾きのゴーシュ』はありました。中まで日に焼けていた昭和五十二年九月三十日 三十刷の新潮文庫。定価200円!

 出典  Funmee!!編集部


金星音楽団でセロを弾く係のゴーシュは、来たる音楽会に向けた練習で楽長に怒鳴られてばかり。たいそうヘコみつつも帰宅後にセロを弾いていると、夜ごと動物たちが訪れて、あれを弾け、これを弾けとせがむ。うるさいと思いつつも従っているうちに上達し、音楽会ではたったひとりでアンコールに応え拍手を浴びた、というお話。

 

本棚を探したら古い文庫が見つかった。冒頭に出てくる楽長の叱責が刺さった。「ぼくはきみにドレミファを教えてまでいるひまはないんだがなあ」。これを初めて読んだ中学生の僕はそのセリフを気にも留めなかったろうが、現在の僕はそりゃ言い過ぎだろうと心底思う。



映画やドラマでも大切な役割を担うチェロ


2008年に公開された映画『おくりびと』は、楽団の解散でチェロ奏者を諦めた主人公が納棺師になるというストーリーだった。主人公を演じたのは本木雅弘で、彼は完成披露試写会で実際にチェロを弾いてみせたらしい。

 

直近では2017年1月から放送されたTBSの火曜ドラマ『カルテット』だろうか。劇中では俳優たちが楽器演奏するシーンがかなり多かった。



今回の質問を投げかけた担当編集者が買い付けてきた『別冊カルテット ドラマ「カルテット」公式メモリアルBOOK』(角川SSCムック)より。すずめちゃんだ! 担当の彼も満島ひかりファンらしい

 出典  Funmee!!編集部


「実際に弾いていたのか?」などと勘ぐるより、すずめちゃんを演じた満島ひかりがステキで、女性のチェロはかなりセクシーだと気付かされたことのほうが大事だ。「もしやそれでチェロ?」とまたしても邪推されそうだが、それはない。ただ、満島ひかりとチェロについて語り合うのをひとつの目標にしてもいいかなと今は思っている。

 

そんなこんなで次回もよろしくどうぞ。



次回、ついにレッスンを始めます!

 出典  Funmee!!編集部




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文:田村十七男(Tonao Tamura)

写真:小澤義人(Yoshihito Ozawa)、田村十七男(Tonao Tamura)

制作協力:ヤマハミュージックリテイリング ヤマハ銀座店



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Funmee!!編集部

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