「事故でどん底にいた俺を救ってくれた」クリフ大岩さんがヴィンテージエアストリームを愛する理由


千葉県のとある山奥にある秘密基地、「HEAVY-DUTY(ヘビーデューティー)」。

広々としたおよそ500坪の土地には、エアストリームという宇宙船のようなフォルムをしたキャンピングトレーラーが9台も並んでいます。

このエアストリームはレンタルルームとして貸し出ししており、現在9台中7台が入居中!

 出典  Funmee!!編集部


このレンタル秘密基地を運営しているのがクリフ大岩さん。彼は以前、テーマパークのステージマネージャーとして活躍していたものの、事故に遭ったことがきっかけで、これまでの仕事ができなくなってしまいました。

今回はそんな絶望的な状況から生まれた、アメリカンで楽しい秘密基地とエアストリームの魅力についてお話をうかがってみました。

半永久的な素材を使うエアストリームだからこそ出てくるタイムトラベル感

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―― なぜ秘密基地を作ろうと思ったのですか?


幼い頃からずっと秘密基地を作りたいという夢はあったんです。以前、テーマパークでステージマネージャーをやっていたときは女性や子どもたちが楽しめるようにと思っていました。交通事故に遭って、今までの仕事ができなくなったとき、これまで考えてきたこととは逆に男性同士が楽しめる場を考えたんです。


そのときに思い出したのが幼いころに憧れていた秘密基地でした。ただ今は男性だけでなく、アウトドア好きの女子にも楽しんでもらってますけどね。


―― 秘密基地にあるエアストリームはヴィンテージとのことですが、どれもピカピカですね。


このジュラルミンという素材は航空機のボディにも使われていて、鉄や木材と違って錆びたり、腐ったりせず半永久的に残るのが特徴で、古いエアストリームも愛情をかけて磨けば鏡のようにピカピカになるんです。

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―― 愛情をかけているエアストリームですが、何がきっかけで知ったのでしょうか?


昔から映画を見るのが好きで、エアストリームのことは映画で知ったんです。特に好きな映画は『ギルバート・グレイブ』という作品。エアストリームで旅する母と娘が登場するのですが、何度観ても感動してしまいます。




ヴィンテージトレーラーの魅力は、時間と共に過ごしてきた人々との思い出をそのまま引き継げること

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―― 大岩さんの思うエアストリームの魅力を教えてください。


実はエアストリームならなんでも好きというわけではなく、1980年代にエアストリーム社が買収されるまで貫かれてきた全て手作業で作られるデザインが好きなんです。当時のエアストリームは金持ちの道楽だっただけあって、シートや内装に有名ブランドの最上級品が使われていました。


ただ、その時代のいいものって値は張るけど、長く使えるんですね。今は経済を回すために作る側がモノの寿命を決めて、短期間で使えなくなることも多いけれど、昔のいいものは今でも使えたりする。壁紙も貼ってあるので、車内温度も保ててトレーラーハウスとしてとても優秀なんです。


アメリカから輸入して、日本国内に販売する会社もあるのですが、僕が扱うエアストリームは基本的には自分とかなりマニアックな友人で買い取りをしています。もしくは信頼をおける現地スタッフに仲介を頼んで、個人から譲ってもらうようにしているんです。


そうすることで、以前その車に乗っていた人のエピソードを知れますよね。新車ではなくヴィンテージのものを選ぶのも、そういうストーリーを持っているからです。

 

何かしらのバックボーンを持っているものが好きだという大岩さんのガレージには宝物がいっぱい。イタリアの航空機メーカーのエンジンを積んだハーレーダビットソン。他に世界限定3000台強しか生産されていないバイクもある。

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――例えばどんなストーリーがあるのでしょうか?


エアストリームを買い取るときは手放す理由を必ず聞くようにしているんです。あるおばあさんはおじいさんが亡くなって、おじいさんの趣味でだったキャンピングトレーラーを手放すことになりました。維持もできないし、保険のないアメリカで、おばあさん自身の医療費を支払うために売るとのことでした。


ただ、このエアストリームの中には子どもや孫との思い出がたくさん詰まっていて、車内には日本家屋でいう柱のように背比べをした跡が残ってたりするんです。また、そういう話をしたあとにアメリカから渡ってきたエアストリームの中を見るとおばあさん手作りのクッションなどが入っていて、愛情のこもっていたものだとわかります。


ヴィンテージは理解ある人にとっては、すごく価値があるんです。

 


“生きるためのDIY”を楽しむ秘密基地

――古いものには、その分多くのストーリーが詰まっているという魅力がありますが、経年劣化で壊れてしまうことも多いのではないでしょうか。


確かに年代が古いものであれば、ある程度は壊れやすくはなるし、部品の数も少なくなっていきますね。


特に窓やランプなんかはガラス製だから壊れやすく、エアストリームの丸みを帯びたボディには国内で売られている四角いガラスが合わないから、部品を見つけたらすぐ集めています。修理用の工具も物置1棟分ありますよ。


修理用の道具が並ぶ。

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修理やメンテナンスは基本的に全部1人でやりますね。そのほうがお金も節約できるし、手間はかかるけど、手をかけた分だけその車が可愛く見えます。車の修理も、レンタルスペース全体のインフラも全て独学で整備していったので、失敗も沢山しました。

ただ、自分なりにいい方法を見つけて成功したものを残しておけばいいから、できるだけ全部自分でやりたいですね。

大岩さんのガレージでは、猫もくつろいでいる。

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――これまでのキャンピングカーのイメージで考えると、居住には向いてないように思いましたが、大岩さんのお母様もエアストリームで暮らしていると聞いてびっくりしました。


エアストリームのようなキャンピングトレーラーは、自走式のキャンピングカーと違って広いんですよ。また、1本の導線上に全ての家財道具があるので、究極のバリアフリーとも言えるんですよ。


エアストリームが楽しい仲間と新しい居場所を与えてくれた

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―― HEAVY-DUTYの住人のみなさんは、どんな生活を送っているのでしょうか?


自宅として住んで、ここから都内に仕事に行く人もいれば、複数人で借りて、週に何回か訪れてはアトリエとして利用する人もいます。エアストリーム内の内装は借りた人が自由にリフォームできるので借りた人によって個性が出るのが面白いですよ。


もちろんリフォームのノウハウは教えてあげます。ここにあるエアストリームを借りる人は、HEAVY-DUTYにあるもの全て無料で使えるようになっていて、ガレージにある音楽機材とか、ステージなども全部タダ。


エアストリームの中にはシャワーしかないから、湯船に浸かりたい人のために、ガレージの隣にはお風呂も用意しています。


撮影時点で居住3日目という男性。千葉県内から引っ越してきたそう。HEAVY-DUTYを知ってから住むまでの期間は約2ヶ月という行動派だった。

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―― HEAVY-DUTYでの印象的な出来事を教えてください。


ここで作った思い出はたくさんありますが、近隣に住んでいる小学生たちが夏休みになると、秘密基地に集まってお泊まり会をするんです。ステージ上に巨大なスクリーンを張ってテレビゲームをしたり、近所で肝試しをしたりして、寝るときは女子はエアストリームで、男子はガレージで雑魚寝。


HEAVY-DUTYの周辺には大きな建物や街灯がほとんどないので、星もよく見えるんですよ。あと、ちょっと離れたところに花火の倉庫があるので、運がいいと花火の試しうちも見れるんです。


子供のころにこんな経験するの、最近ではなかなか無いと思いますよ。

元々音楽エンジニアもしていた大岩さんがこだわり抜いて作ったガレージ内のステージを使ってイベントもできる。

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―― 確かに、子どもの頃にそんなお泊まり会の経験ができたら、大人になっても思い出せる素敵な思い出になりますね。大岩さんが今後、楽しみにしていることはありますか?


今はここにある西洋のヴィンテージであるエアストリームに、和のヴィンテージを組み合わせてみようと思って、エアストリームの内に茶室をつくる計画を進めています。


和と洋を組み合わせようと考えたのは、僕の母親が着物のリメイクをする仕事をしていたから、その影響が強いのかもしれません。HEAVY-DUTY自体もそうだったけど、アイデアはある日突然降ってくるんです。それを計画として頭の中でいろいろ練っていくのはワクワクしてすごく楽しいです。

 

 出典  Funmee!!編集部

ここでは楽しむためというよりも、生きるためのDIYをします。それは向いてる人と向いてない人がいるけど、向いてない人や苦手な人、嫌いな人を否定する気はない。よく否定はされるけどね(笑)


そういう人もいるけど、俺はこの生活が大好きだし、将来的にも必要だと思うので、この生活はやめられないですね。