アート
1本のチョークが描くアソビゴコロ! チョークグラフィックの魅力って?

1本のチョークが描くアソビゴコロ! チョークグラフィックの魅力って?


いま、おしゃれなレストランやコーヒーショップなどで、大きな黒板を設置する店が増えています。そこで注目を集めているのが、その黒板いっぱいに描かれるチョークグラフィック。

 

今回は、カフェのアルバイト時代に描いたチョークグラフィックが評判を呼び、ついにそれを仕事にしてしまったチョークボーイさんに、チョークグラフィックにハマるまでの経緯や、その魅力を聞きました!




バイトをサボりたくてチョークグラフィックを頑張ったら、評判に


―― どうしてチョークグラフィックを描き始めたんですか?

 

もともと音楽で生計を立てたくて、大学を卒業後、音楽活動のかたわらカフェでアルバイトをしていたんです。たまたまそのときのアルバイト先に、畳一畳より大きな黒板があって、そこにメニューを書く仕事がシフトで30分ほど割り当てられていて。


最初はサボりたくてダラダラ描いていたら、案の定怒られたので、じゃあ怒られないサボり方をしようと。描くこと自体を遊びにしてしまえって、じっくり描き始めたのがきっかけです。



実は高校時代やロンドンの美大で、グラフィックの勉強をしていた経歴も持つ、チョークボーイさん
 出典  Funmee!!編集部
実は高校時代やロンドンの美大で、グラフィックの勉強をしていた経歴も持つ、チョークボーイさん


―― 最初はサボるためのチョークグラフィックだったんですね(笑)。どんなものを参考に描いていたんですか?

 

黒板のある飲食店って昔から珍しくはなかったと思うんですが、当時の日本にはチョークグラフィック、チョークアートと呼ばれるものはなかったし、僕自身もチョークグラフィックだと思って描いていなかった。だから、お店にあるビールやワインのボトルを片っ端から模写したり、ネットで見つけた絵を真似したり、カフェに併設していた書店のビジュアル書籍をモチーフにしたり。


そこまでやると、誰も文句は言わなくなりましたね(笑)

 

 

―― それで、チョークグラフィックの楽しさにハマっていったわけですね。

 

はい。僕がチョークで描いていると、背中にお客様からの視線を感じることも増えて、それも気持ちよくて。そのうち社内でも評判になって、系列の新店舗ができるたびに、黒板のメニュー書きを任されるようになりました。だから、アルバイトなのに全国に出張があるっていう(笑)。


その後、アルバイト先以外でも、知り合いづてで声をかけてくれた店の黒板に描くようになって、ついにはカフェのアルバイトをやめて独立しました。



チョークボーイさんの仕事道具箱の中身を拝見
 出典  Funmee!!編集部
チョークボーイさんの仕事道具箱の中身を拝見

 

チョークボーイさんが発見した、消えないチョークとは…?


―― チョークグラフィックって、せっかく作品を描いても、すぐに消えてしまうはかなさがありますよね。

 

簡単に消したり書き換えたりできるのがチョークのメリットでもあるんだけど、その反面、欠点は固定できないこと。実際、僕の家に自分のチョークグラフィック作品って一枚もないですしね(笑)。だから、最初は消えないように、人の手の届かない場所に描こうとしたり、スプレーをかけたりしてみたんだけど、やっぱりチョークを固定するのは難しいとわかって……。



チョークボーイさんがアルバイト時代に描いたチョークグラフィック。「フルーツ・ブランデー・スプリッツァー」というドリンクの魅力をまとめたもの
 写真提供  チョークボーイさん
チョークボーイさんがアルバイト時代に描いたチョークグラフィック。「フルーツ・ブランデー・スプリッツァー」というドリンクの魅力をまとめたもの


―― それじゃ、チョークボーイさんにお願いするお店側としても、何度も頼まなきゃいけないですしね。

 

そうそう。それで、画材店に行って白い画材を100本ぐらい買ってきて、チョークに近いけど固定できそうなものを探したんです。


そしたら3本目ぐらいで出会ったのがこれ、サクラクレパスの「ソリッドマーカー」。もともとは鉄とか材木、ガラスなどの工業製品にメモ書きするためのものなんですが、描き味がチョークにそっくり。現在は店の内装を仕上げるお手伝いをすることも多いので、描いたものを固定させたいときには、チョークで下書きしてこれで清書しています。そうすればチョークの消し跡も残せますしね。



いろんなものに描けて、しかも消えにくいので重宝しているという、サクラクレパスのソリッドマーカー
 出典  Funmee!!編集部
いろんなものに描けて、しかも消えにくいので重宝しているという、サクラクレパスのソリッドマーカー


―― チョークを超える画材を発見しちゃったんですね!?

 

いや、いまでもイベント中のライブペインティングなどではチョークを使うんですが、やっぱり手に伝わる感覚はチョークのほうが気持ちいいですね。



意図しないズレ・ヨレ・ブレこそがチョークグラフィックの魅力

チョークグラフィック風に名前を描いたペンケースもおしゃれ
 出典  Funmee!!編集部
チョークグラフィック風に名前を描いたペンケースもおしゃれ


―― 黒板に描く内容は、どうやって決めているんですか?

 

仕事として依頼されるときも、僕の場合は「何か描いてください」とか、漠然とした注文を受けることも多いんです。そこで、見る側の視点に立って、ここに何があったらいいかなあって考えます。もともとチョークグラフィックって、お店のスタッフさんとお客様とをつなぐもの。だから、スタッフさんが書ける場所を作っておくことも多いし、僕自身、チョークグラフィックは完全にコミュニケーションツールだと考えています。

 

 

―― なるほど。いざ実際に描くときに、意識していることはありますか?

 

当たり前だけど、丁寧に描くことです。例えば、文字の留めの処理を丁寧にする。そういう細かいことって、見る人にちゃんと伝わると思うんです。一方で、チョークってコントロールのききにくい画材なので、丁寧に描こうとするといずれ限界がくる。でも、ズレ・ヨレ・ブレが強調されるのも、チョークの魅力。そこはあえて残すようにしています。

 


チョークボーイさんがよく使う画材のひとつが、太い万年筆。意図しない濃淡が出るところが、チョークに似て、手仕事感があって好きだそう
 出典  Funmee!!編集部
チョークボーイさんがよく使う画材のひとつが、太い万年筆。意図しない濃淡が出るところが、チョークに似て、手仕事感があって好きだそう


―― 今後、描いてみたいものはありますか?

 

大きいものを描きたいですね。先日、アウトドアショップのシャッターに描かせてもらったときは気持ちよかったです! 大きさって、感動の度合いに比例すると思うんです。大きいと、描いている間は「いつ終わるんだろう」ってすごくしんどいんですけど(笑)。描き終わったときの達成感は格別です!

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■プロフィール

チョークボーイさん

 

大阪・梅田のカフェ『ビブリオテーク』でのアルバイト時代に描いたメニュー黒板が評判となり、チョークの楽しさにハマる。ある雑誌の取材を受けたとき、チョークグラフィックを描く人だとわかりやすい名前にしようと、とっさに「チョークボーイ」を名乗り、そのままいまに至る。現在はロゴやイラストの作成、店舗内装の施工の手伝い、イベントの出展など、チョーク以外の分野にも活動範囲を広げている。著書に『すばらしき手描きの世界』(主婦の友社)、2018年3月1日に『すばらしき手描きの世界2』(主婦の友社)を発売予定。

 

 

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文:山賀沙耶 (Saya Yamaga)

写真:上樂博之(Hiroyuki Joraku)




2018年1月25日
Funmee!!編集部
Funmee!!編集部

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