クラフトビールの「楽しさ」で業界地図を塗り替える。 上勝町『RISE&WIN』田中達也さん


徳島県上勝町にあるマイクロブリュワリー&ジェネラルストアの『RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store』は、各界のクリエイティブを巻き込んで完成した場所。

縁が結んだ物語と東京進出、今後の展望について、代表の田中達也さんにお話をうかがいました。

阿波踊りがクリエイティブチームを巻き込んだ


―― この建物ができたいきさつを教えてください。


クラフトビールのプロジェクトをやる前に、たまたま空間プロデュースで有名なトランジットジェネラルオフィスの中村社長の講演に行って知り合ったんです。それで「徳島は阿波踊りが楽しいから来て下さいよ」って誘ったら、面白そうだねって言って、本当に来てくれたんです。



ーー 徳島の阿波踊りの楽しさは体験しないと分からないって言いますよね。


もうすごいですよ。見るだけじゃないから。「躍る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損」ってマインドそのまま。中心市街地を全部ホコ天にして、商店街の中とか道路の真ん中とか、橋の上とかで4日間踊りまくる(笑)。リオのカーニバルみたいに。


阿波踊りで踊るチームのことを「連」っていうんですけど、そんなに面白がってくれるなら、と思って自分たちで連を立ち上げたんです。



 出典  Funmee!!編集部


ーー すごい行動力ですね。


そしたら中村さんが阿波踊りの時に色々な人を連れて来てくれるようになって。食事をしている時に上勝のこと話したら、2011年に来てくれたんです。すごいフットワークが軽くて(笑)。それで「ゼロ・ウエイスト」活動が素晴らしいって言っていただけて、一緒に来られたNAP建築設計事務所の中村拓志さんは、上勝の大ファンになりました。「上勝のことならなんでも協力するよ」って。


それで、上勝のクラフトビールを作る時に、「新しい箱を作りたい!」って相談したら実現したんです。



―― 徳島が繋いだ縁だったんですね。



地元の廃材を使って、街のみんなで作った。

 出典 RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store

―― 建物自体がアート作品のようですが、もともとのコンセプトは?


まず、上勝の建材でつくること。いま集めようと思ったら外国の安い材料でいくらでも集まるけど、「ゼロ・ウエイスト」は再利用を謳ってるんやから、できるかぎり町内で集めて町にお金が落ちる仕組みを体現しないと意味がないから。



―― まさに地産地消ですね。


外壁はほとんどが廃材です。ゴミステーションで机や棚を拾ったり、どこかで家を壊すって聞いたら駆けつけて集めたり、本当に大変でした。



 出典  RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store


―― 不揃いの窓が面白いです。


これ高さ8メートルあるんです。最初、中村拓志さんに設計図見せてもらった時「なんじゃこりゃ」って(笑)

中村さんも「小さくしようか」って言ってくれたんですけど、「いやこれは面白いから絶対このままいきましょう!」って言いました。


それでなんとか頑張って建材集めて、ベテランの大工さんにお願いしたら、窓の形も大きさも何もかも違うから「何さすんや」って(笑)。文句言いながらも、職人魂に火がついたみたいで、最後出来上がった時はみんな「こんなおもろい仕事、何十年ぶりや。お前ら頑張れよ!」って言っていたただきました(笑)


だから、街のみんなが作った建物なんです。



クラフトビールを産業として定着させる

 出典  Funmee!!編集部


―― のどかな町に、ある種異様な店ができて町の人の反応はどうだったんですか?


もともと僕は一番最初に町の人に来てもらいたかったんです。

だから町民の方優先のレセプションをやった時に、町の古い建築を守る運動をやっている方たちがいたんですけど、「自分たちの思い出がこんな素敵な形で残してくれて嬉しいです」と感激してくれたのが嬉しかった。


ビールも最初は「地ビールとどう違うん?」って感じでしたけど、いざ飲んでもらったら「え?こんなフルーティーなビールあるの」ってビールが苦手な女性にも喜んでもらえました。



―― ビールの多様性を体感してもらえた。


そうですね。その他にも、上勝の美しい景色をみながらBBQができるガーデンや、「上勝百貨店」の流れで量り売りも続けて、今は週末になると県外から来られるお客さんも多いです。



 出典  Funmee!!編集部


―― それでどんどんこの街の魅力を発信できますね。


それをやりたかった。まず町の人に受け入れられて、外の人も来たくなる場所を作って、自立する。大儲けを目指すんじゃなくて、本当に自分たちがやりたいクラフトビールを作って、産業として定着させる。それを見て若い人が自分もやってみたいと思ってくれたら、日本のビールも地方も、もっと面白くなると思いますね。



日本のビールの歴史を塗り替えたい

 出典  Funmee!!編集部


―― 東京のお店をオープンさせた経緯は?


上勝の魅力を伝える一環です。仕事で東京に来る機会がよくあって、上勝の店の話したら、みんな行きたいって言ってくれるけど、実際なかなかこない。じゃあこっちから行ったるわ、って。たまたま外資系の企業も多いこの場所を紹介してもらいました。



―― お店のイメージも上勝と同じですか?


上勝の店がそのままやってきたイメージです。ここに飾ってある現地の写真見て、上勝を知って、来てくれる人も多いです。



 出典  Funmee!!編集部


週末は外国人のビジネスマンが来て、「もう満員やから」って言ってるのに、スタンディングでいいからって店から溢れたり(笑)


こんな風景が日本で増えていったらええなぁと思います。


日本のビールの中心はまだ4大メーカーのピルスナーだけで、クラフトビールは総量の2%やけど、どんどん盛り上がっていって、ビール業界の地図を塗り替えたいですね。



 出典  Funmee!!編集部
【前編】魅了された土地を、愛するビールで再生。上勝町『RISE&WIN』田中達也さん



■ プロフィール

田中達也さん


1969年生まれ。1987年徳島臨床検査センター(現スペック)入社。97年、スペック代表取締役社長に就任。一般社団法人・地職推進機構設立などの地域活性化事業を推進。2015年上勝町に『RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store』をオープン。翌年、東京東麻布に『RISE & WIN Brewing Co.KAMIKATZ TAPROOM』をオープンし、クラフトビールを通して上勝町の魅力を伝える。


■ 住所

『RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store』

徳島県勝浦郡上勝町大字正木字平間237-2


『RISE & WIN Brewing Co.KAMIKATZ TAPROOM』

東京都港区東麻布1-4-2 THE WORKERS & CO 1F

http://www.kamikatz.jp





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企画・編集協力:枻(エイ)出版社

文:藤谷良介(Ryosuke Fujitani)

写真:上樂博之(Hiroyuki Jyoraku)


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Funmee!!編集部

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