【ザ・使い込んでる部】#15 ベーゴマ復権!半世紀闘い続けた歴戦の“ペチャ”ベーゴマ


使い続けるのには理由がある。愛し続けられるのには想いがある。そんな趣味にまつわるこだわりの“私物”を紹介する「ザ・使い込んでる部」。

 

今回は、ベーゴマ名人として名を馳せる中島茂芳さんが、小学生時代から所有するベーゴマをご紹介します。こちらは勝負用というよりデモンストレーション用。薄くて軽いペチャベーゴマを回すと、見物人が大喜びするのだとか。



同級生から勝ち取った「巨人」印の宝物


今日持参したこのぺちゃんこなベーゴマは、小学校4年生のときに同級生のハルヤマカツミくんから勝ち取ったものです。ハルヤマくんとはしょっちゅう一緒にベーゴマをやっていて、カモにしていました(笑)。

 

当時は版権に大らかな時代だったので、各社が自由に野球チームや力士の名前を彫ったベーゴマを製造していました。人気チームだった「巨人」のベーゴマもたくさんの種類がありましたが、この書体はとても珍しく、どうしても欲しかったんです。



手前のペチャふたつは小学生時代からのコレクション(左が「巨人」、右が「江藤」)。後列は愛用のGシリーズ

 出典  Funmee!!編集部


ただ、彼も彼でこのベーゴマに思い入れがあるのか、勝負のときになかなか出してこない。それがある日、どんな風の吹き回しか、突然出してきまして。ここぞとばかりに勝負して、勝ち取ってからは彼の前で2度と出しませんでした(笑)。

 

その日から、このベーゴマは私の1番大切な宝物になったんです。

 

私は当時からベーゴマをヤスリで加工するのが好きで、錆びては削り、錆びては削りを繰り返して、大切に保管していました。もともと高さ10mmほどあったベーゴマも、50年を共に過ごして5mmほどにまで薄くなりました(笑)



長年の眠りから覚め、イベントで大活躍!

中島さんがベーゴマを回すと、紐のしなる「ヒュン」という音が聞こえます

 出典  Funmee!!編集部


小学校を卒業しても私のベーゴマ熱が冷めることはありませんでしたが、高校生にもなるとさすがにベーゴマで遊んでくれる人はいなくなります。このベーゴマも出番はなく保管したままで、進学で上京するときに持ってきました。

 

このベーゴマを再び使うようになったのは、大人になって就職してからです。

 

新聞記事で「ベーゴマサミット」の存在を知り、21年前に行われた第3回大会で優勝したことが転機となって、ベーゴマで遊ぶ機会が増えまして。大人になってもベーゴマに夢中な人がたくさんいることを知ったときは、本当に嬉しかったなあ。

 

その頃から、大会に参加する以外にもベーゴマを普及するためのイベントなどにも呼ばれるようになりました。そこでこの「巨人」や、同様に大切にしている「江藤※」のペチャを回すと、子どもたちはもちろん、大人も食いついてくるんです。



※江藤:1960年代~70年代に中日ドラゴンズなどで活躍した野球選手、江藤慎一の人気にあやかった(?)ベーゴマ。



ベーゴマは消耗品。勝負用は半年ですり減る

ぶつかり合うたび火花を散らして回転するベーゴマ。消耗するスピードは想像以上です

 出典  Funmee!!編集部


ただ、このペチャはあくまでデモンストレーション用。薄くても回せるということを知ってもらうためのものなので、勝負には使いません。ベーゴマは鉄でできているから長持ちすると思っている方が多いのですが、じつは消耗が激しいのです。

 

私は年間150日くらいベーゴマ関連のイベントにかかわっていて、一日中ひたすら回していることもあります。ベーゴマがぶつかり合うことで互いを削りあい、時に火花を散らすほど。だから早ければ半年も経たないうちに摩耗してしまいます。なので、勝負用には新品のGシリーズというベーゴマを使っています。

 

Gシリーズにかんしては、ひたすら使ってすり減ったら交換する。この繰り返しです。早いときは数カ月で摩滅してしまうこともあります。ちなみに、ベーゴマは紐も消耗品で、イベントが続くと1週間程度で使えなくなってしまいますね。



ベーゴマ同様、紐も消耗品。ちなみに中島さんは先端に糊付けしてある紐が好み

 出典  Funmee!!編集部

 

見る度に思い出すのは懐かしの少年時代

ベーゴマの話を始めると止まらなくなる中島さん。その表情は少年のようです

 出典  Funmee!!編集部


「巨人」のペチャと、Gシリーズ。使い込み方は異なりますが、私の人生に欠かせない大切なベーゴマであることに変わりはありません。

 

「巨人」のペチャを見ると、今でも少年時代のハルヤマくんの顔をありありと思い出します。ハルヤマくんから勝ち取ったモノが、今こうしてベーゴマの楽しさを伝えるのに役立っているのですから、感慨深いものがありますね。



ポケットには常にベーゴマをイン。いつでも臨戦態勢(?)です

 出典  Funmee!!編集部


Gシリーズは、常にポケットに入れていて、いつでも取り出せるようにしています。「今日は持ってるの?」って聞かれたときに、パッと取り出せないと悔しいじゃないですか。だから、冠婚葬祭のときもポケットに入れています(笑)。

 

持っていると安心する、というのもありますね。御守のようでもあり、勝負のための銃や刀のようでもあり。

 

あと、変な場所で回すのも好きです。これはだいぶ昔のことなので許してほしいのですが、温泉に入ったとき、浴場にある桶の裏で回したこともありました(笑)。「バカだねえ」って言われるけど、それが楽しいんです。




■プロフィール

中島茂芳さん


1959年、群馬県出身。4歳からベーゴマを始め、社会人になってから各大会のタイトルを総なめにする。2010年、趣味が高じて日本で唯一ベーゴマを製造する会社日三鋳造所に入社。営業兼ベーゴマ伝道師として活動している。

 


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文:吉田勉(Tsutomu Yoshida)

写真:山本祐之(Yuji Yamamoto)



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Funmee!!編集部

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