
【燻製ビギナー向け】下準備なし! 10分でできる燻製料理で、キャンプを楽しもう
アウトドア料理といえば、BBQや煮込み料理が定番ですが、今回はいつもと違う料理もしてみたい。そんなときは、独特の風味が魅力的な「燻製料理」はいかがでしょうか。
「燻製すると、普段食べている味から劇的な変化をとげるんです」と教えてくださったのは、200種類以上の燻製メニューを作成し、出版も手掛けた燻製ブロガー、燻製道士さん。
今回は、初心者でも簡単に楽しめる燻製レシピやポイントを教えてもらいました!
煙の準備。初心者にはまずはサクラのチップがおすすめ!

使用したスモーカーは、APELUCAの「テーブルトップスモーカー」。
燻製道士さんが商品開発にも携わったというこちらは、コンパクトで持ち運びやすく、燻製に便利な機能を備えています。このスモーカーを使って、燻製づくりを始めていきます!

まず、スモーカーにスモークチップをひと握り(約6g)入れます。
チップは、ウィスキー、リンゴ、クルミなどいくつか種類がありますが、今回使用したのは最もポピュラーなサクラチップ。桜の木の香りがしっかりと食材につきます。

チップを入れたらフタを密閉し、煙が出るまで強火でスモーカーを熱します。
意外においしい! 野菜やドライフルーツも燻製料理に
燻製料理というと、たまごやチーズを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、今回燻製道士さんが用意したのは「ミニトマト」と「イチジク」。
「水分の少ない食べ物や、表面が乾いているものは基本的になんでも燻製できます。今回用意したミニトマトとイチジクは、食材表面の水分を拭き取り、スモーカーにいれて10分間、いぶすだけで出来上がりです!」
甘みが増す! 燻製トマト

煙が出たら、表面の水分を拭き取ったミニトマトをスモーカーにセット。
そのままフタをして10分間いぶします。

火を通さなくても食べられる食材は、煙が消えない程度の中火で。
コンパクトなスモーカーは煙の回りも早いため、すぐ食材に香りがつけられます。煙が充満しすぎると味が強くなってしまうので、煙を逃がしながらいぶしていくのがポイント。

5分程経ったら一度フタを外し、食材の表面についている水滴をキッチンペーパーで拭きます。
「燻製は水分が大敵。水分と煙が融合すると、酸っぱくなったり、えぐみが出てしまうので、きちんと水分を取ることがポイント」と、燻製道士さんからアドバイスをいただきました。

再びフタをして、待つこと5分。

燻製トマトの完成です!
……でも、見た目はあまり変わらないかも? 本当にこれで完成なのか、燻製道士さんに聞いてみました。
「色の強い食材はあまり変わらないんです。でも、きちんと煙は染みてますよ。燻製は色ではなく、香りが大事。このスモーカーで10分いぶせば十分ですので、いぶしすぎに注意が必要です」

お皿にとって食べてみると、トマトの甘みに加え、燻製の風味が口の中で一気に広がるのを実感! 10分でもしっかり香りが定着していました。
できたてももちろんですが、少し冷まして食べると燻製の味が引き立つとのこと。
燻製道士さんいわく、黒ビールの香ばしさと相性抜群だそうです。
おしゃれな気持ちになれる!燻製イチジク

次はイチジクに挑戦です!
イチジクは干したものを使い、それぞれ離して、網に並べます。

同じ要領でいぶすと……

燻製イチジクの完成! 少し熟れたような見た目が食欲をそそります。
食べてみると、おしゃれなバーで出てきそうな上品な味。ウィスキーやシャンパンのおともにぴったりです!
ド定番! ベーコンとカマンベールも10分で絶品燻製に
「次は定番のベーコンとチーズです。こちらも市販のものを使うと10分で作れます」と言って取り出されたのは、スーパーでよく見かけるブロックベーコン。


煙がしっかり付くよう、半分に切って表面積を広げます。

こちらでも、表面の水分をしっかりとることを忘れずに!

今回はサクラチップに加え、ローズマリーを2本入れました。
「チップの代わりにほうじ茶を入れることもあります。ほうじ茶でタラコをいぶし、お茶漬けにしたり、リンゴチップと紅茶でクッキーを燻製するなど、食材に合わせて香りを選ぶようになると、もう燻製マスターですね」と、燻製の楽しみ方もさまざまなようです。

ベーコンは火にかけると油が多く出てくるので、チップに油が落ちないようアルミホイルをかぶせます。
アルミホイルは軽く乗せるように入れるだけでOKです。
準備を整え、10分間いぶすと……。

ピンク色だったベーコンがとてもきれいなきつね色に変身!

サクラチップと、ローズマリーのスッキリした香りがベーコンとよく合い、とってもジューシーな仕上がりに。
食べる手が止まらなくなるおいしさです。

最後は市販のカマンベールチーズを使った、燻製チーズフォンデュ。

パンとパプリカはチーズにつけて食べやすいように、ひと口サイズで切っておきます。

スモーカーに入れ10分経ったら、チーズの表面をナイフで丸く切っていくと……

中からとろけるようなチーズが顔を出しました!

トロトロのチーズにパプリカ、パンをつけて、燻製チーズフォンデュの完成です! 燻製されたチーズがパプリカのフレッシュさとよく合います。
いぶされたチーズは燻製の香りをまとって、そのままいただいても普段とは異なる味わいを楽しめます。中はトロトロ、表面はパリパリ。ひとつのチーズでふたつの食感を味わえる贅沢なひととき。
こちらは白ワインのおともにピッタリだそうです。
「お酒をおいしく飲みたい!」から始まった燻製づくり

もともと「山登り」と「お酒」が大好きだった燻製道士さん。
仕事の都合で全然山に登れなくなってしまった時期に、「お酒のおつまみを」と思って作り始めたのが燻製だったそうです。
「いぶすだけで、どんな食べ物でもお酒に合う味に大変身するんです。それほど高価な食材でなくても高級感のあるおつまみになるのも、燻製づくりへやみつきになってしまう理由のひとつです」と、燻製の魅力を語っていただきました。
燻製料理がどんなお酒に合うか尋ねると、「香りのよいお酒」とのこと。
「燻製料理には、ウィスキーのような香りの良いお酒と一緒に楽しんでみてください。なかでも、スコットランドのアイラ島で生産される『アイラ・モルト』は、燻製と香りが似ており相性抜群です。燻製は木のチップを使っているため、他のお酒でも木の樽を使って作られているものは、香りの共通項があって、深みが増しますよ」
普段のおつまみに燻製料理をプラスして、ちょっぴり洒落たアルコールタイムを楽しんでみてはいかがでしょうか。
■プロフィール
燻製道士さん
日夜おいしい燻製に想いを馳せ、“修行”と称した燻製を実践するほか、燻製料理のあるバーやレストランを巡ってはそのおいしさの秘訣を探る。簡単燻製の道を求道する士、すなわち「燻製道士」。燻製とウイスキーやワインのマリアージュもこよなく愛す。著書に『男の手作り燻製』(世界文化社)、『手作り燻製ハンドブック』(世界文化社)、「燻製の基本 改訂版」(エイ出版社)などがある。
▼燻製記
▼燻製入門
