スマトラカレー共栄堂3代目店主 宮川泰久さんのカレーの奥義【後編】 食材にこだわり、街に思いを馳せ、カレーを食す!

共栄堂3代目店主 宮川泰久さんのカレーの奥義【前編】 90年以上続くスマトラカレーは進化する

食材へのこだわりは当然 美味しく仕上げることが腕の見せ所

━━食材はとても大切だと思うのですが、仕入れ先は決まっていますか。


だいたい決まっていますが、肉屋さんも2店、八百屋さんも2店。その方がいい素材が入るから。乾物も香辛料もほぼ2店ですね。あと、いつも「どこのブランド肉を使っていますか」と聞かれるのですが、ブランドだとおいしいのは当たり前だし、それなりの値段を取らないといけない。だから一般的なお肉でも、どうやっておいしく仕上げるかが、我々のがんばりどころですね。



 Funmee!!編集部
━━ちなみにスパイス、香辛料はどれくらい使うのですか。


スパイスは年間で100キロ以上。でもね、一番使うのはラッキョウと福神漬け。それぞれで2トンくらいです。きっとコスト的にもこれが一番高い。それぞれ甘めに作ってもらっています。



 Funmee!!編集部
━━2トン! それはすごいですね。お米はどちらのものを使われていますか。


福島の只見町の農家さんから取り寄せています。このお米が絶品で。それをずっと昔から付き合っているお米屋さんで精米してもらって、ブレンドして炊いています。そのときは、備長炭をいれて、ガス釜で3升ずつ少し「硬め」に炊き上げる。カレーとうまく絡まるようにね。



 Funmee!!編集部

危機を乗り越えたパワーの秘訣は「毎日カレー」

━━ところで、共栄堂の長い歴史のなかで、危機はあったのですか?


ありましたよ。一度、20年くらい前に、不作が続き新米が手に入らないことがあって。代わりに出てくるのは古米。そこで、炊く時にひと工夫して、油を入れて艶が出るようにしたりしてました。あと、狂牛病騒動でアメリカ牛肉が入らなくなった時も困りましたね。オーストラリア産とか国内産を仕入れましたけど、それ以降も値段が高くなって。タンも以前に凄く高くなった時があって、出せば出すほど赤字でした。その時は20食限定にしました。それでもマイナスですから。


 Funmee!!編集部
━━そうした危機を乗り越えて、確固たる地位を築いたわけですが、多忙のあまり、体調が悪くなったりはなかったのですか?


身体は大丈夫! 毎日カレー食べていたから。少しずつでも毎日食べ続けると、健康が維持できて、30年間くらい風邪もひいていない。ポークカレーとらっきょうを食べると相乗効果があって、血液がサラサラになるみたいです。



 Funmee!!編集部
━━最後に、ずっと営業されている神田について。本の街で、スプーン1つあれば、本を見ながら食べられるということで、カレー屋さんが多くなったと聞きましたが。


私が共栄堂にお世話になった頃は、カレーをメインとしたお店は「ボンディ」さんや「まんてん」さんで3、4店くらいでした。たしか7年前くらいでは30店くらいでしたから、ここ数年で一気に増えていますね。でも、同じ食文化がいっぱい集まりすぎちゃうと、良い街になりづらいと思うんですよ。どんどん新しい商売が出る街のほうが、活気づくと思います。ぜひ、様々な食の店が出てきてほしいですね。


共栄堂3代目店主 宮川泰久さんのカレーの奥義【前編】 90年以上続くスマトラカレーは進化する


■プロフィール

宮川泰久さん

大正13年に創業以来、スマトラカレーを提供する共栄堂の3代目店主。1951年生まれ。共栄堂に入って約30年、伝統の味を進化させている。黒濃色で香ばしさが癖になるスマトラカレーはテレビや雑誌などの各種メディアでも紹介されている。

営業時間は、11:00〜20:00(L.O 19:45)。

〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-6 TEL : 03-3291-1475

URL : http://www.kyoueidoo.com


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企画・編集協力:枻(エイ)出版社

文:岡﨑ヒデキ(Hideki Okazaki/TRYOUT)

写真:山田ヒロユキ(Hiroyuki Yamada)