海とともに生きるウォーターマン・眞木勇人さんが語るスピアフィッシングの醍醐味


スピアフィッシングをご存知ですか? 日本語にすると、魚突き。つまり、素潜りで、銛や水中銃といった専門道具を使って、海を泳いでいる魚を突くアクティビティのことです。

プロサーファーという肩書きを持ちながら、このアクティビティに魅了され、現在暮らしている沖縄で日常的にスピアフィッシングを楽しんでいる眞木勇人さんに、その醍醐味を伺いました。

「後ろを振り向いたら、サメがいる……」そのドキドキ感がたまらない!

 提供  眞木勇人さん


—— 眞木さんといえば、プロサーファーとして専門メディアにたびたび登場していますが、海に潜って魚を突くスピアフィッシングもかなり本格的にやっていますよね?


スピアフィッシングは中学生のときにハワイで始めたんです。もともと東京出身なので、アウトドアといえば山に行くことが多かったんですが、中学2年生の夏休みにハワイに引っ越して、そこから海にどっぷり(笑)。


ハワイでは海が生活の一部でしたから。それで、学校が休みで波のない日に海で楽しめる遊びを探していて、手銛※1を持ってタコや根魚※2を獲りに行ったりしたのが最初ですね。それからずっと続けています。


※1スピアフィッシングで使う魚を突く道具。

※2海底の岩礁や海草などに棲む魚のこと。メバルやカサゴなど。



—— スピアフィッシングに魅せられた理由はなんでしょうか?


次になにが出てくるかわからないドキドキ感ですかね。潜っていて、「今日は全然ダメだな……」と思って振り向いたら、いきなり大きな魚がいた、なんてこともしょっちゅう。



—— いきなり大きな魚が飛び出してきて、怖さを感じたことは?


最初はサメを見て、びっくりしていましたけどね。今はサメがいても驚かないくらいには慣れました(笑)。ただ、もちろん怖くないと言ったら嘘になります。


海に潜る以上、いつでも多少の恐怖はあるし、それこそいつ死んでもおかしくないとは思います。けど、それってなにをしていても一緒ですから。クルマを運転していたってそうですし。



身軽にひと呼吸して潜れば、そこは宇宙

 提供  眞木勇人さん


—— 魚との出会い以外で、スピアフィッシングの魅力はありますか?


スキューバーダイビングみたいに重い機材を背負わずに、身軽にひと呼吸して潜るだけで海・自然と一体になれることですね。海の中は重力をほとんど感じない世界だから、漂っているだけでも宇宙にいるような感覚を味わえるんです。



—— 宇宙の感覚! ぜひ味わってみたいですね。使う道具は?


マスク、シュノーケル、長めの足ヒレ、ウェットスーツ、ウエイトベルト、ナイフ、手銛や水中銃、手袋くらいです。



—— その身軽な状態で、どれくらい深くまで潜って魚を突くんでしょうか?


スピアフィッシングのときは魚を求めて潜るので、深さを求めているわけじゃないんです。でも、今までに一番深いところで30メートルくらいまで潜って魚を突きましたね。時間にすると、だいたい3分半は一呼吸で潜れます。



—— 3分半! それは長い! 昔から潜水能力は高かったんですか?


いや、続けているとだんだん潜れる時間が長くなってくるんです。まず、呼吸法を覚えるだけで、長くなりますね。あと、肺活量も当然増えてきますし。そんな、レベルアップしていく過程も楽しめます。



呼吸と生命の尊さを、海の中で知る

 提供  眞木勇人さん


—— 実際に魚はどうやって突くんですか?


僕の場合は、海底でしばらく待ちながら、岩陰に隠れたりとか、岩をゴリゴリと擦って音を出したりとか、海底の砂を手に取って巻き上げたりとかしますね。そうすると、好奇心を持った魚が、「なんだなんだ?」とこっちに寄ってくるんです。そこを狙って突きます。



—— 魚を追うのでなく、おびき寄せるんですね。

そうなんです。こっちから追ってしまうと、魚は絶対に逃げてしまう。海の中で追いかけたところで、人間の泳力では到底追いつけないですからね。潜るときも魚に向かっていくんじゃなくて、離れて潜る。そして魚に来てもらう。それを“寄せ”って言うんです。



—— 奥が深いですね。


楽しいですよ。潜っていると、一呼吸にどれくらいの価値があるのか、肺いっぱいの酸素がどれくらいありがたいのか、身をもって知ることができます。


普通、人は無意識に呼吸をしているわけですが、“呼吸する”ということを改めて意識させられます。それに、狙った獲物だけを仕留めるわけだから、ムダにはしません。海や地球に優しく、貴重な資源を持続可能なペースで獲れて、しかも美味しく食べられるんだから、これ以上に楽しいアクティビティはなかなかないですよ。




■プロフィール

眞木勇人さん

1979年1月11日生まれ。東京出身。幼い頃から父親であるマイク眞木に連れられてアウトドア・アクティビティを楽しむ。中学生のときに移住したハワイでは兄・蔵人の影響からサーフィンを始め、さらに素潜りやスピアフィッシングにも目覚めた。現在は10年暮らした千葉を離れ、沖縄にベースを置きながら世界中を旅し、海をはじめとした自然と遊ぶライフスタイルを送っている。パタゴニア社グローバルアンバサダー、パプアニューギニア親善大使を務める。



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企画・編集協力:枻(エイ)出版社

文:中野晋(Susumu Nakano)

写真提供:眞木勇人さん



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Funmee!!編集部

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