【ヘンアイ国産自動車の会】#04 三菱・デボネア(邂逅編)


最近は路上で見かける機会も少なくなった、でも鮮烈に記憶に残る、少し変わった魅力的な日本発のクルマたち。

そんなクルマとの毎日を楽しんでいるオーナーさんに愛車の魅力を語ってもらう新連載が「ヘンアイ国産自動車の会」。第4回目は「三菱・デボネア」。オーナーの三井弘司さんに、デボネア愛を語っていただきました。

高度経済成長期の日本のフラッグシップを感じるクルマ


1960年代のアメリカ車のようなエッジが立ったボディ・デザインで、歴代の日本車の中でも異色の存在感を放つ初代デボネア。その時代錯誤なスタイリングや、ショーファードリブンとしての高級路線にこだわった結果、生産期間中は一貫して不人気モデルでしたが、生産が終了して時間が経ったいま、そのオールド感漂うデザインから旧車好きを中心に人気を高めている珍しいモデルです。



三井さんが勤める柘製作所の前に止まるデボネア

 出典  Funmee!!編集部


三井弘司さんは、若い頃からメーカーを問わず個性的なクルマやバイクを乗り継いできた大のメカ好き。このデボネアは三井さんが常務を務める喫煙具メーカー、柘(つげ)製作所の社有車として購入したもので、その前には海外メーカーのクルマを社有車として乗り継いでいたそうです。



ボディのサイドに配されるオーナメントも高級感のあるデザイン

 出典  Funmee!!編集部


「社有車として、最初はいわゆるなベンツやBMWにも乗ったのですが、日本製のパイプメーカーとして、日本を代表するクルマに乗ろうと思ったんです。さらにどうせなら普通のクルマでは面白くない、ということで見た目がユニークな初代のデボネアを探しました。なんといっても日本車らしからぬこのデザインが好きですね。GMのデザイナーを使った国産車なんてデボネア以外聞いたことがない。また、日本国内でしか販売されていないクルマなので海外のお客様には珍しいらしく、すごく好評なんですよ」


デボネアを選んだのには見た目のインパクト以外にも、まずお客さんを乗せることが多いため4ドア・セダンであることと、高度経済成長期の日本のメーカーのフラッグシップモデルであることの2条件がマストでしたが、特に後者の条件に加えデボネアには、現行車には見られないハンドメイドのデザインや昔ながらの丁寧な作り込みが、いまの柘製作所のモノ造りに活きるのでは……と考えたからです。



街を走れば、視線を集める

 出典  Funmee!!編集部


「靴を見れば人となりがわかる、と言われますが、ぼくはクルマもそうだと思うんです。そういう意味でデボネアは男らしいダンディズムが十分に感じられるクルマだと思うし、ディテールの作り込みはいま見ても面白いでしょう」

しかし、初代デボネアは22年間も販売されたにも関わらず、その異端なデザインが当時の一般消費者のニーズに合わず不人気モデルに終わってしまったため、そもそもタマ数が少なく、コンディションの良い車体はなかなか見つかりません。そこで、全国規模でリサーチを続けた結果、広島のショップでこの車体を発見し、三井さん自身が広島まで車両を見に行き、その日に購入を決めたそうです。


ボディのアウトラインがモールで繋がったデザインが三井さんのお気に入り

 出典  Funmee!!編集部


この車体は購入する時点で走行距離が10万kmを超えていましたが、プライベートでも数々の旧車を乗り継いでいる三井さんにとっては、むしろその走行距離は好都合だったそうです。「ぼくは旧いクルマを買うとき、必ず10万km以上走っているクルマを選ぶんです。値段が安くなっていることもありますが、そもそも当たりじゃないエンジンは10万kmも走れない。さらにそれだけ走っていれば、過去のオーナーが各部に手を入れている場合が多いんです。もちろん最終的には車体を細かくチェックしますが、ぼくにとっては10万kmオーバーの走行距離は一種の信頼の証でもあるんですよ」



パイプと旧車が大好きな三井さん

 出典  Funmee!!編集部


社有車として旧いクルマを選ぶこと自体が常識破りな考え方な気もしますが、旧いクルマにこそ、乗りながら気付いていく学びがあると三井さんは話します。

「クルマの選び方は直感でいいと思うんです。デボネアは僕が小さい頃街中で走っていたカッコいいクルマ。それだけで理由は充分。あとは体感しながら、その時代のクルマの乗り方や、当時のモノ作りを学んでいくのが楽しいんです。旧いクルマが好きなのは、所々に職人がハンドメイドで作ったであろうデザインが感じられるから。いまのクルマはデザイン設計もコンピューターでするのが当たり前だけど、ぼくはあくまでも人間の感覚で作ったモノが好きなんですよ」


■プロフィール

三井弘司さん

 

1964年生まれ、東京都武蔵野市在住

1936年創業の日本を代表する喫煙具メーカー、柘製作所の常務を務める。プライベートでは’80sのワーゲンキャンパーとハーレーのショベルヘッドを愛車に持つ生粋のオールドモーターフリーク。



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文:金原悠太(Yuta Kinpara)

写真:澤田聖司(Seiji Sawada)



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Funmee!!編集部

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