• ツリーハウスクリエーター・小林崇さんから 「好きなことだけをして生きる」強さを知る

世界でも珍しいと言われる小林さんのつくるツリーハウスは、「好き」という純粋な心を表現したようなもの。アートのように自由な作風が魅力的。「好きなことだけをして生きる」その自由と強さを感じさせるインタビューです。


日本を代表するツリーハウスクリエーター・小林崇さん。
小林さんが作るツリーハウスが人々を魅了するワケ、自然観に人生論。
ツリーハウスを通して広がる世界について迫ります。 

ツリーハウスクリエーター・小林崇さんに聞く “ツリーハウス”が今の私たちに必要な理由とその魅力。

いつも“素敵”を目指して オートクチュールを作っている


——世界と比べて、日本のツリーハウスはどうなんでしょう?


海外では学校はもちろん、ワインのテイスティングをする場所や宿泊先など、さまざまなところでツリーハウスが取り入れられています。日本では、ツリーハウスの上に泊まることは法律で禁じられていたりと、正直まだまだその文化は浸透していないと思います。



 出典  Funmee!!編集部


——小林さんの作るツリーハウスは、世界でも珍しいと言われているようですね。それはどうしてですか?


僕は、自分の中にある「大人になりきれなかった自分」を大事にしていて、その感情をそのまま表現の手段にしています。通常のツリーハウスは家を木の上に乗せる、いわゆる伝統的なものですが、僕の作るツリーハウスはアートのように見えるみたい。確かに、必要と言われる以外はスケッチ程度しか書かないし、その時の状況でどんどんと形を変えていきます。作っている最中で、美しい夕日に出会えたら、その方向に窓を移動する。板を丸くするのは時間がかかるから四角のままでいいんだろうけど、手間を省けばファストフードみたいになるし、そんなのは好きじゃない。オートクチュールをいつも作っていたいと思っているからでしょうか。



 出典  Funmee!!編集部


——そんな小林さんのツリーハウスに心惹かれる人は多いと思います。


それは、とても嬉しいです。僕は昔から女の子のような感性で、“素敵”と思えるものが好きでした。学校の制服ってどうして黒とかグレーなんだろう。もっと素敵な色だったらいいのに。とか、思ってた。今もそんな考えのまま生きていて、例えば青という色ひとつにしても、種類は数えきれないほどあるし、その色は太陽の光によって表情も変える。そういうことも念頭に置いて作っています。大きなプロジェクトになるほど人も増えて意識を共有するのが難しくなるけど、“素敵”を目指して、いつもベストを尽くしたいです。



 出典  Funmee!!編集部

木は生きている。だからこそ、学ぶことも多い。

 出典  Funmee!!編集部


——今では小林さんの人生とも言えるツリーハウスですが、実際に長く携わってきて、どんなところが魅力ですか?

 

木は生き物だから、毎回その木に合わせたアイデアを絞りださなくてはいけない。前回のことが活かされないことも多くある。それが面白いのかもしれません。植物の上に作っている訳だから、面倒をみないとダメになってしまう。お金を出せば絶えず治るのではないんですよね。その危うさも含め、自分自身の感情にフィットしたことに出会えた感があります。木だからいつかなくなってしまうのだけど、それもまたいいかなと思ってる。

 


——自然の中に身を置くことは、やはり心にとってもいいんでしょうか?


例えば瀬戸内海の優しい海を見た人と太平洋の大きな海を見てきた人では性格が違うでしょ? それって当たり前で、自然というか目に見えるもので、人は育つんじゃないかなと思っています。そういう意味では、混雑した電車やビルよりも、大きな自然の中で過ごす時間の方が健全なのかなという気がします。



 出典  Funmee!!編集部


——そんな小林さんにとってツリーハウスとは?


実はツリーハウスを始めた時、仕事にしちゃってつまらなくなったらどうしよう。と思っていました。僕にとって最大の憧れでもあるツリーハウスが面白くなくなったら、もう逃げ場がないと……。でも、実はこれ以上に面白いことにまだ出会ってないんですよね。

 


——それって素晴らしいことですね。


そうですね。ラオスやマダガスカルやオーストラリアのカンガルーアイランドなど、ツリーハウスを作っていなければ行けなかったような場所にもたくさん訪れることができました。あとは、仕事道具と遊び道具を積んだ車を持って、いつでも旅ができるような暮らしがしたいなあ。



好きなことだけをして生きていたい。その思いが僕を突き動かす。

 出典  Funmee!!編集部


——小林さんは根っからの旅人なんですね。


僕のルーツはきっと定住型の農耕民族ではないんだろうな。実はツリーハウスも東南アジアの狩猟民族、イリアンジャヤの家から生まれたものなんです。狩猟採集のための家だから、なくなったらまた移動する。そこで生きているというより、エスケープ感がある。だからツリーハウスが好きなのかもしれないですね。

 


——小林さんと話していると、誰でも、いつでも、好きなことをすればいいんだなと思えます。


僕は好きなことだけをやってきたつもりだけど、もう還暦。今でも全然時間が足りないです。人生は思ったよりも短いから、少なくともやりたくないことに手を触れてはダメ! とは思います。今後は、3年ほど前にLAにもオフィスを構えたので、拠点を少しアメリカ側に移して、もっといろんな国でツリーハウスを作ってみたいです。「面白いことをやりたい! 面白いところに行きたい!」。そんな思いだけで、日々暮らしていければ最高ですよね。



ツリーハウスクリエーター・小林崇さんに聞く “ツリーハウス”が今の私たちに必要な理由とその魅力。


■プロフィール

ツリーハウスクリエーター

小林崇さん


日本のツリーハウス第一人者。スタイルとデザイン、感性をコンセプトにした彼のツリーハウスは世界中から賞賛を受ける。毎年アメリカ・オレゴン州で開催されるツリーハウスの国際イベント「WTC(World Treehouse Conference)」に日本から唯一参加。初期メンバーとして、自身のクラスも持つ。2000年にはジャパン・ツリーハウス・ネットワークを立ち上げ、2005年には株式会社ツリーハウス・クリエーションを設立。現在までに150以上ものツリーハウスを作る。http://www.treehouse.jp/


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企画・編集協力:枻(エイ)出版社

文:菅 明美(Akemi Kan)

写真:ふかみちえ(Chie Fukami)