【趣味人ジドウシャ部】#08 フォルクスワーゲン・タイプ1“ビートル”(ディテール編)


クルマの新旧や機能だけでなく、趣味性の高いクルマ、さまざまな趣味への汎用性が高いクルマを紹介する連載「趣味人ジドウシャ部」。8台目に登場するのは「フォルクスワーゲン・タイプ1“ビートル”」です。

 

現行の「フォルクスワーゲン・ザ・ビートル」のデザインモチーフとなったこのクルマ。長い歴史の間、基本設計を変えることなく生産されましたが、年式によって細かな違いがあります。後編では年代別の仕様やバリエーション、メンテナンスなどについてご紹介します。



年代によって変わる細部には、それぞれにマニア好みの愛称が

ビートルの特徴的な丸目も、じつは年代によって微妙に異なります。1966年までのヘッドライトはフェンダーの面に沿うように寝ています

 出典  Funmee!!編集部


ビートルは、基本的な設計を維持しつつも、65年の間にさまざまなマイナーチェンジが施されました。ファンの間では、ビートルを年代別に「スプリット」、「オーバル」、「6V(ボルト)」、「ロクナナ」、「アイロンテール」、「ビッグテール」などの通称で呼ぶのが一般的となっています。

 

では年代別ビートルについてご紹介していきましょう。まずは「スプリット」。これは1938~53年の初期型ビートルです。リアウインドウが左右に2分割されていることが名前の由来です。



スプリットのビートル。リアウインドウが左右に分かれています

 出典  Funmee!!編集部


続いて「オーバル」は、1953~57年に製造されたモデルです。スプリットのふたつの窓をつなげたような、これ以降のモデルより小ぶりなオーバル型のリアウインドウが特徴です。



オーバルのリアウインドウ。この後のモデルから角の取れた四角い窓になりました

 提供  FLAT4


1967年は、ビッグマイナーチェンジと言える比較的大きな変更の時期となりました。6Vだった電装が12V化され、ヘッドライトはそれまでのフェンダー面に沿うような形から直立した形に。この1967年モデルには、この年のモデルにしか採用されていないパーツがあり、日本では「ロクナナ」としてプレミア的な価値がついています。またオーバルより後、ロクナナより前のモデルは「6V(ボルト)」と呼ばれています。



ロクナナのビートル。12V化され、ヘッドライトは立っていますが、それ以外の部分には6V車の要素が残っています

 提供  FLAT4


1968年からは安全性を考慮して、前後バンパーがプレス成形による直線的な形状となり、テールランプが大型化されました。このテールランプがアイロンのような形をしていることから、1968〜72年のモデルは「アイロンテール」と呼ばれています。1973年以降はテールランプがさらに大型化されて金属製のハウジングを持たない仕様となり、こちらは「ビッグテール」と呼ばれます。


そして1968年からは、それまでの4速MTに加えて、セミオートマのスポルトマチックを採用したモデルも追加されました。

ビートルのミッションは、基本的にはこのようにフロアシフトの4速マニュアル。AT限定免許の方はスポルトマチック車を探しましょう

 出典  Funmee!!編集部


また1971年には、独立懸架(左右の車輪を独自に動かせる方式)のサスペンションを、それまでのトーションバースプリング(ねじり棒バネ)式トレーリングアームからマクファーソンストラット式に変更した「1302モデル」、通称「マルニ」が登場しました。サスの変更によって乗り心地は大きく改善されたのですが、同時にフロントまわりのデザインも変更になりました。


さらにマルニは1973年からフロントウインドウにカーブガラスを採用した「1303モデル(マルサン)」へ代替わりします。



左がマルニ。右の通常のビートルと比べると、左右の丸目が離れ気味で、フロントフードの先端が幅広なことがわかります

 出典  Funmee!!編集部

こちらはマルサン。ちなみにビートルは1948年からハードトップの他にコンバーチブルタイプをラインナップしていました

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深みにハマるとより旧いビートルがほしくなる

撮影車両は1965年式のビートル。テールランプは「6Vテール」と呼ばれ、それまでの「オーバルテール」に比べやや大型化されています。「小判テール」とも呼ばれます

 出典  Funmee!!編集部


年代別ビートルについてカンタンに紹介しましたが、たとえば6Vモデルでも、1961年までは「オーバルテール」と呼ばれる、オーバル時代から採用されたテールランプを装備しているなど、モデルやパーツの名称は非常にややこしいです。またリアウインドウやテールランプ以外にも、年式によって内外装には異なる部分がたくさんあるので、シロウト目にはとても判別できません。このあたり、何ともマニア心がくすぐられますね。



内装も年式によってさまざま。6V時代のダッシュまわりは非常にシンプルです

 出典  Funmee!!編集部


「最初は単純にルックスにひかれてビートルを手に入れたけれど、知識が増えるにつれてどんどん深みにハマっていく人も多いですよ」と語る、空冷フォルクスワーゲン専門ショップ「FLAT4(フラット・フォー)」広報の川崎篤さん。

 

「実用性を考えたら、12V以降のモデルがおすすめです。6V時代のモデルは、クーラーや今のカーステレオ、ETCなどをつけることはできませんし。ただこのクルマは、ハマるとより旧いモデルがほしくなってきて、乗り換える人も多いんです。だから迷ったら旧いモデルを買ったほうがよいとも言えるんですよね」



高年式のメキシコ産ビートル。他の旧車同様に、整備状況にもよるので新しい個体ほどよいとは限りませんが、スペック的にはより実用的です

 提供  FLAT4


交換用の外装パーツは潤沢にあるので、旧いモデル仕様にカスタムするという手もあります。また外装だけでなく、機関まわりのパーツ供給も問題ないので、旧車のなかでは維持しやすいクルマと言えるでしょう。

 

空冷エンジンをリアに積んでいるので、オーバーヒートしやすいのではと思いますが、その心配はないそうです。「ただし、ファンベルトとオイルの管理はしっかりする必要があります」と語る、川崎さん。

 

「ビートルは日本でも長年乗られていたクルマなので、専門ショップでなくても整備した経験のあるメカニックさんは多いんです。だから困ったときでも、最寄りの整備場で意外に何とかなったりします。そんな点も魅力ですね」



東京・目黒通り沿いに立つFLAT4。販売車両の他、博物館級の希少なビートルも展示されています

 出典  Funmee!!編集部


■取材・撮影協力

FLAT4(フラット・フォー)

 

1976年の創業以来、“TOP QUALITY & BEST SERVICE”をコンセプトに、「タイプ1“ビートル”」を中心とする空冷フォルクスワーゲンを取り扱う。本社1階のショールームには極上コンディションの車両が並び、2階には空冷VWに関するさまざまなパーツやグッズが揃う。数多くのヴィンテージビートルのレストアも手がけ、2年に1回、秋にはヴィンテージVWのイベント「クラシシェスVWトレッフェン」も主催。



東京都目黒区鷹番1-1-5

TEL:03-3792-7151

営業時間:9:30〜19:00

休み:日曜・祝日



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文:和田達彦(Tatsuhiko Wada)

写真:銭田豊裕(Toyohiro Zenita)



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Funmee!!編集部

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