食は生きることの基本。葉山唯一の女性漁師・畠山晶さんが伝えたい自然への思い【後編】


漁師としてたくましく生きる一方、料理が得意という一面もあわせ持つ畠山さん。
地元・葉山で飲食店の店長を任され、調理も担当しているのだとか。
そんな彼女の日常から見えてきたのは、「自然」と「命」を慈しむ心でした。

生まれ育った葉山で、唯一の女性漁師として生きる畠山晶さんの地元愛【前編】


食に対する意識の高い人が多いことでも知られる葉山。
そんな土地で育ったせいか、畠山さんも以前から食べ物に関心があったそうです。
一人の人間として、そして漁師として、命をいただくことの重みや、その命を育む自然環境への想いを語ってくれました。

得意料理は、当然のごとく魚料理

 出典  Funmee!!編集部

――畠山さんの普段のライフスタイルを教えてください。

海のコンディションが良ければ朝は漁に出て、夜は週に3~4回、地元の『カラバシ』というお店に立っています。『カラバシ』は森戸神社の参道の入り口にある飲食店で、そこの店長を任されているので。メニューは基本的に野菜中心なんですけど、毎週水曜日は魚料理の日で、漁で獲れたものを調理して出しているんです。


――料理もお得意なんですね!

料理は結構好きですが、家で作るのは魚料理ばかりですね。漁師になってから、魚を買うことはなくなりました(笑)。一番好きな魚はカサゴかな、顔もかわいいし。煮付けやアクアパッツァにしたり、から揚げにして中華ダレで食べてもおいしいんですよ。


食への意識が高いのも、葉山のいいところ

 出典  Funmee!!編集部

――魚料理には日本酒が合いそうですが、お酒も好きですか?

そうですね。日本酒なら、千葉の香取にある蔵元の『五人娘』がお気に入りです。ビールは地元葉山の『15brewery(フィフティーンブルワリー)』という小さな酒造のクラフトビールが好きで、『カラバシ』でも仕入れています。私、こだわってモノづくりをしている人の姿や、モノができるまでの過程にすごく興味があるので、酒蔵見学とかも大好きなんです。特に食べ物がつくられるまでの過程には関心があって、『いのちの食べかた』という映画に感銘を受けて母と一緒に畑をやったこともあったし、その延長線上に漁師という選択があったのかもしれません。葉山はヨガやオーガニックなどの文化が根付いていることもあってか、食に対する意識の高い人が多くて、そこも葉山がいい町だと思う理由のひとつです。


――食べることは、生きることの基本ですからね。

生きていくうえで食べることは必要だけど、今の大量生産社会での食べ物の流通についてはいろいろと考えさせられます。私はお肉も食べるんですけど、食べるからには自分で殺生を経験して命の重さを知るべきだと思っているので、いずれ屠殺も体験したいですね。漁にも通じることですし。


漁師&飲食店の店長としてフル回転の毎日

 出典  Funmee!!編集部

――漁とお店で忙しい毎日だと思いますが、オフは何をしていますか?

「1日完全にオフ」という日は基本的にないですね。時間があればお店の経理をやったり、何かしらやることがあるので。最近の趣味といえば、お店で働くスタッフの様子を見ながらお酒を飲むことくらいです(笑)。


――漁業組合の役員にもなられたそうで、ますます忙しくなりますね。先ほど、漁師仲間の方も「晶は紅一点でがんばってくれているんですよ」とおっしゃっていました。

みんな何かと気にかけてくれるので、ありがたいですね。漁師の世界は男社会なので、メンタル的に強いと自負していた自分でもキツイと感じる時期がありましたけど、周りの人たちの支えで乗り越えることができました。今では一人で網の掃除をしていると、さりげなく手伝ってくれる先輩もいますし、「米あるけど食べるか?」とか「このポット使うか?」とか、仲間からいただきものをする機会も多いです。


今後の目標は、船による環境負担を減らすこと

 出典  Funmee!!編集部

――この先、漁師を続けていくうえで体力面の不安などはないですか?

正直、30代になって冬場の冷えは堪えるようになってきましたが、体力面の不安はまったく感じていませんし、今後も漁師としてずっとやっていきたいと思っています。葉山は若い漁師が少ないので、相談役やライバルになってくれるような同世代の人が増えてくれるとうれしいですね。


――最後に、今後の夢や目標を教えてください。

今の船がそろそろ寿命なので、買い替えようと思って一回り大きい船を探しているんですけど、新しい船が見つかったらバイオディーゼルで走らせたいと思っているんです。漁師をしていると、海水温の上昇や魚の減少などの環境変化を肌で感じるので、少しでも環境に負担のない生活をしたいなと思って。廃油を活用して走れる船に改造したいんですけど、それには結構費用がかかるので、クラウドファウンディングで資金を集められたらと思ってやり方を勉強しているところです。3年以内には実現させたいですね。


生まれ育った葉山で、唯一の女性漁師として生きる畠山晶さんの地元愛【前編】


■プロフィール

漁師:畠山晶さん

葉山・真名瀬漁港を拠点とする漁師で、船名は『桜花丸』。26歳で見習い漁師となり、1年間の修行を経て独立。その後、準組合員として2年の経験を積んだのち正規組合員へ。現在は葉山町漁業協同組合の監事も務める。


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企画・編集協力:枻(エイ)出版社

文:古田朱美(Akemi Furuta)

写真:柳田由人(Yoshito Yanagida)


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