「うまかった」の一言で明日が生きられる。『トプカ』店主・関根保博さんの愛情たっぷりカレーの秘密


欧風カレーと印度カレーの二刀流で、全国のカレーファンから支持されるカレー専門店『トプカ』。

理論で組み立てるスパイスのこだわり、人気店になるまでの物語、そして店を続けていく原動力とは――。

スパイスは組み合わせとバランスが大事


ーー トプカさんと言えば、印度カレーも人気です。こちらはいつから始めたんですか?


オープンして半年後くらいかな。もうなくなったけど、昔、好きなインドカレー屋があって、欧風カレーだけでなくインドカレーも作りたいと思っていたんです。当時いたインド人のスタッフに基本を教わって。これは作り方も味わいも欧風カレーと全く異なります。



ーー 印度カレーで大事にしているところは?


スパイスですね。それを薄く焦がすんです。ニンニク、生姜と一緒に油で炒めて鍋肌に薄い茶焦げを付けて、それをチキンブイヨンで落とす。それを何度も繰り返す。黒くなると苦味になるから、茶焦げまで。そうするとコクっていうのかな、味に奥行きが出るんです。



 出典  Funmee!!編集部


ーー こちらも相当手間がかかってるんですね。


そうですね。ベースの種類もムルギー、ポーク、エビで一つ、キーマ、ダル、マトンでそれぞれスパイスの配合を変えていたり。あとはワインを使ったりフレンチのエッセンスも入れています。



ーー スパイスは何種類くらい使っていますか?


カレーによって変えていて6〜10種類くらいかな。よく「30種類の〜」とか聞くけど、そんなに必要ないんです。大事なのは組み合わせと全体のバランスでどんな味を作るか。例えばクローヴだけが突出していたりするのはダメ。自分の作りたい味を決めて理論で組み立てています。



毎月100万の赤字から、不動の人気店へ

 出典  Funmee!!編集部


ーー 最初からお店は繁盛していたんですか?


もう全然でした。神田にお店を出した当初は、みんな通り過ぎるだけで、1日5人しか来ない日もあったし、毎月100万単位で赤字を出していました。中学生だった娘に店を手伝ってもらっていて、彼女は「私が魔法を使えたら、お客さんを呼べるのに」って言ってた(笑)。



ーー 当時はみんな、激辛スパイスカレーに馴染みがなかったですよね。


出すところは出していましたけどね。お客さんに言われても変えなかったからかな。一番辛いムルギー食べて「辛すぎるよ!」って言われても、「すいません、うちはそういう店なんで」って言ってた。辛さが選べるってのが好きじゃないんです。「うちの味はこれだから気に入ったらまた来て」というスタンスを大切にしたくて。



 出典  Funmee!!編集部


ーー 信念を曲げなかったんですね。いつから知られる存在になったんですか?


徐々にですね。特に昔あった横濱カレーミュージアムに出してからの変化が大きかった。お店を始めて一切宣伝してなくて、お客さんも少なかったけど、選定してくれたカレーミュージアムの方が食べに来ていたらしくて、それから知ってもらうようになりました。今はありがたいことに全国各地からお客さんがきてくれます。



ーー そうして今に至る人気店となったわけですが、「弟子入りさせてください!」って人もいるのでは?


いるよ。でもおすすめはしないかな。大変だから(笑)。今は会社を退職したシニア世代が元気。そういう人たちが例えば自宅を改装して、住居兼店で奥さんと一緒にすれば材料費以外ほとんどかからない。そういうケースだったら喜んで協力したいです。



ストイックに味を守り続ける原動力は 「お客さんのことば」

 出典  Funmee!!編集部


ーー 2種類の違うカレーで、ベースも種類もたくさんあって、売上がいい方に絞ろうと思わなかったんですか?


どっちのカレーも同じくらい出るんです。どっちかに特化したら分かりやすいから、最初からお客さんが来たかもしれないけど、これがうちのスタイルだから。暇な時もずっと耐えてました。いま考えると、このスタイルを続けてきてよかったと思います。



ーー その原動力はなんですか?


お客さんの言葉です。全然お客さんがいない時でも「いや〜うまかった」の一言で明日が生きられる。「こんなカレー食べたことないよ」って言われたら10日生きられる。それは今も変わりませんよ。あとは夜の居酒屋営業が楽しいからね(笑)



 出典  Funmee!!編集部


ーー 壁のメニューに日本酒が貼っているカレー屋さんは始めて見ました。


夜は魚が中心の居酒屋なんです。毎日北千住の市場に行って、今日はホウボウ、マグロ、イワシとか。おつまみカレーも出していて。最後に〆で食べる人も多いですよ。もちろん普通にカレーだけの方もいます。


好きなことだけやってきて、今に至るまで紆余曲折がありました。辞めたいと思ったこともあるけど、オープンの頃からずっと通ってくれるお客さんとか、遠くから来てくれる方に支えられて今があるから、これからも喜んでもらえるように、やっていきたいですね。




 出典  Funmee!!編集部


■ プロフィール

トプカ会長

関根保博さん

1950年生まれ。「トップ・オブ・カリー」をコンセプトに創業。全く味わいの異なる欧風カレーと印度カレーの両方が楽しめるカレー専門としてカレーフリークから絶大な支持を集める。


トプカ

東京都千代田区神田須田町1-11

http://www.topca.co.jp




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企画・編集協力:枻(エイ)出版社

文:藤谷良介(Ryosuke Fujitani)

写真:上樂博之(Hiroyuki Jyoraku)


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