特別編   脇阪寿一、スープラを買う!(後編)
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特別編  脇阪寿一、スープラを買う!(後編)

青いトヨタ・スープラGT500で総合優勝を果たした脇阪寿一さんが、2002年式の極上中古スープラを購入。かつてのチャンピオンドライバーにとって、なぜいまスープラなのか? その後編は、スープラを求めた本当の思い。

乗り味までも当時の状態に戻したい!

「決してピーキーではなく、エンジンも車体も余裕を持った造り。それがこのクルマにしか出せない魅力になっていると思います」
 出典  Funmee!!編集部
「決してピーキーではなく、エンジンも車体も余裕を持った造り。それがこのクルマにしか出せない魅力になっていると思います」

――前回は、山梨のクルマ屋さんでスープラを発見し、「運転したら絶対にアカンやろぉ、買ってまうやろぉ」と思ったところまで話してもらいました。やっぱりアカンかったわけですね。

 

脇阪 見るだけのつもりで行った日に買いました。運命ですよ。何よりクルマ屋の、カープロデュース オリイを経営している兄弟のスープラ愛が凄かった。どんな質問をしてもすぐに答えが返ってくるんです。奥のガレージには、父親の形見という古いダルマ・セリカが置いてあるわけ。


クルマを愛している人間に悪いヤツはおらん。ならばオレも本気を示さなあかんと、それで即決です。名義変更は自分でやりました。

 

――そこでまた新たな疑問が沸きます。脇阪さんとスープラの縁が深いのは理解できます。しかし、かつての脇阪さんにとってスープラは、レースで勝つためにつくられた特別なクルマでしたよね。それに乗ってチャンピオンに輝いたとは言え、いまになって市販車のスープラに脇阪さんが乗るというのは、あまりにファンタジーが過ぎるというか、思い出だけが理由ではないと思うのですが?

 

脇阪 実は、ある人に諭されたのがこのスープラにたどり着くきっかけになったんです。僕はレースの世界で、多くの人に支えられて生きてきました。その恩は折に触れ、たとえばイベントを開催するなどして少しずつレース界にお返ししているつもりなんです。


ところがそのある人に、「だけれども、クルマに生かされてきたお前はクルマに対して何を返せているのか? この時代、歴史的なクルマは消えいく運命にある。それを放っておいていいのか?」と言われました。

 

――鋭くも深いお言葉ですね。


脇阪 それが刺さったのは、年齢もあるでしょうね。自分より周囲に目を向けられるようになったというか。とにかくその言葉に触発されて、最初は古いナロー・ポルシェにしようと思ったんです。

 

――ポルシェだったんですか!?

 

脇阪 運動性能的に不利なRRをここまで突き詰めたブランドの真価を知りたいと思って。けれど前回お話したように、SNSでスープラのネタを挙げると数字が跳ね上がる。しかも尊敬する豊田章男さん(トヨタ自動車社長)の下、レーシングドライバー脇阪寿一を支えたクルマであるスープラに感謝の気持ちを込めて、トヨタのプロモーション活動にも参加している。それならやっぱりスープラだろうと。


実際、中古車市場で程度のいいスープラが希少だったので、僕が買うことで未来につなげることができると思ったし。

内装も純正をキープ。カーボンを採用したハンドルも最終期の純正です
 出典  Funmee!!編集部
内装も純正をキープ。カーボンを採用したハンドルも最終期の純正です

――そんな思いがあったんですね。

 

脇阪 でもね、僕がこういうことをすると「プロモーションの一環か?」と疑われるんですよ。運がいいのか悪いのか、新型スープラが登場するニュースも出たところだったし。


ま、どっちでもいいんですけれど、プロモーションちゃいますからね。よく「本当に自分で買ったんですか?」と聞かれるけれど、こういう件は身銭を切らないと始まりませんから。

 

――男気を感じます。

 

脇阪 豊田さんがおっしゃったんですよ。愛車というように、愛がつく工業製品はクルマだけだと。スープラから愛を広めたいですよ、どう思われようと。でも現実に、スープラ愛に満ちたクルマ屋と出会えたり、レカロのシート職人が張り替えを意気に感じてくれたり、ファンの皆さんもよろこんでくれている。


このスープラを整備してくれるGR Garage 東京若林の渡邉君は、僕のためにスープラのカタログをカラーコピーしてプレゼントしてくれました。やっぱりクルマ好きを魅了する何かを持っているクルマなんですよ。このスープラから若い世代がクルマに興味を持ってくれたら、さらにレースに関心を持ってくれたら、それが一番うれしいですよね。

本文の通り、このスープラを整備しているスタッフの方からプレゼントされた当時のカタログのカラーコピー
 出典  Funmee!!編集部
本文の通り、このスープラを整備しているスタッフの方からプレゼントされた当時のカタログのカラーコピー

――愛車。愛を引き寄せるクルマ。いい話ですね。

 

脇阪 次の夢があってね。スープラを開発したトヨタの凄腕テストドライバーに僕のクルマを預けて、サスペンションの傷みなどあちこちチェックしてもらい、乗り味までも当時の状態に戻したい。


なぜそこまでするかというと、スープラでもっとも好きなのは、運転してワクワクするところなんです。ニュルブルクリンクで思い出せてくれたスポーツドライビングの楽しさをまた味わいたい。って、こんな話をしているだけでワクワクしちゃいますよ。



スープラのハンドルを握ると、まさに”自動車小僧”になる脇阪さん
 出典  Funmee!!編集部
スープラのハンドルを握ると、まさに”自動車小僧”になる脇阪さん

※この企画は次回も続きます! 来週はスープラのスペックや歴史に迫りますので、お楽しみに!!


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文:田村十七男(Tonao Tamura)

写真:勝村大輔(Daisuke Katsumura)

取材協力:タイムズ24

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2018年7月27日
Funmee!!編集部
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