
特別編 トヨタ スープラ(そのディテール)
最近は路上で見かける機会も少なくなった、でも鮮烈に記憶に残る、少し変わった日本発のクルマたち。そんなクルマとの毎日を楽しんでいるオーナーさんに愛車の魅力を語ってもらう「ヘンアイ国産自動車の会」。
世界中で人気を博した3ℓエンジン搭載のスポーツカー、トヨタ スープラのトップグレード、RZの魅力を脇阪寿一さんの愛車とともに紐解いて見ましょう。
ハイパワー&軽量なスポーツクーペ
1994年にデビューを果たした「ハチマル」の愛称で知られるA80型スープラは、大きく張り出したリアフェンダーや、高くそびえ立つリアウイングなど、社内デザインによる力強いボディラインを持ち、CD値=0.3と空力的にも非常に優れたデザインです。
そのため、「モデルチェンジで大きくて重いボディになってしまった」と誤解をされているケースが多く見られます。ところが、スペックを比較してみると、A70型に比べて全長はもちろん、全高、ホイールベースなどの数値は全て小さくなっている他、エンジンが大きくなっているにもかかわらず車両重量もほとんど変わっていません。

まさに運転するためのコックピット
運転席に座ると、メーターやスイッチ類などが全てドライバーのほうを向いたダッシュが眼前に広がります。
「運転席」というより「コックピット」と呼ぶに相応しいなんとも男心をくすぐる空間です。最上級グレードのRZはゲトラグ社製6速マニュアルのみの設定と、いまでは考えられないようなパッケージでした。


RZのフロントシートには、純正でレカロシートが採用されました。ホールド性も良く、簡単なサーキット走行なら、このままでも十分なバケットシートです。
通常のGTマシンのように2+2ではなく、しっかりとしたリアシートを持ち、定員は4名となります。
排気量3ℓの高出力直列6気筒を搭載
トヨタのフラッグシップスポーツというと、1967年登場の2000GTに搭載された3M型や先代A70型に搭載された7M-GT型、1G-GT型など、DOHC直列6気筒エンジンが搭載されるのが慣わしとなっていますが、A80型のトップグレードには、先行して初代アリストに搭載された3ℓの2ZJ-GTE型直列6気筒ツインターボが採用されました。
280馬力を発生し、3ℓという大排気量から46kgfmという途方もないトルクを発生するトヨタ直列6気筒の最終進化系となったユニットです。

RZは日本の量産市販車としては珍しく前後で異なるサイズのタイヤを標準サイズとしています。
デビュー当初は16インチでしたが、上級グレードには専用の大型ローター&対向4ポッドキャリパーを装着し、17インチにサイズアップ。
タイヤもフロント235/45-17、リア255/40-17という大きなサイズでした。その姿はいま見ても旧さを感じない斬新なものです。


ミニ四駆やRCカーのメーカーとしても有名なタミヤのプラモデル。まさにスポーツカー! といった外観の滑らかな曲線を持つ名車を自ら作ってみてはいかが。
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文&写真:勝村大輔(Daisuke Katsumura)
