【趣味人ジドウシャ部】#05 ランドローバー・ディフェンダー(ディテール編)


クルマの新旧や機能だけでなく、趣味性の高いクルマ、さまざまな趣味への汎用性が高いクルマを紹介する連載「趣味人ジドウシャ部」。5台目に登場するのは「ランドローバー・ディフェンダー」です。


実用車らしい無骨なスタイリングが魅力のこのクルマ。後編ではドライビングフィールなどについてご紹介します。



ヘビーデューティさを感じさせる簡素なインテリア


「ランドローバー・ディフェンダー」は、ホイールベース(前後輪の軸間距離)のサイズによって、90(ナインティ)、110(ワンテン)、130(ワンサーティー)の3タイプがあり、またそれぞれにピックアップ、ハードトップ、ステーションワゴンなどのボディバリエーションがあります。


ただし1990年代から2000年代前半にかけてランドローバー・ジャパンによって正規輸入されていたのが110のステーションワゴンだったので、日本で流通しているディフェンダーは大半がこのタイプになります。また1997、1998年には90のステーションワゴンの特別仕様車が正規輸入されており、こちらも比較的よく見かけます。それ以外は、基本的に並行輸入車です。




どのボディタイプも車幅は同じなので、運転席からの眺めは同じ。フロントウインドウが立っていて近いので、広い視界が確保されています

 出典  Funmee!!編集部


角張ったボディのため、端から見ると威圧感があって巨大に感じますが、サイズは110で全長4,785×1,790×2,100mm前後と、見た目ほどには大きくありません。ステップを使ってよいしょと乗り込むと、四角いボディゆえの見切りのよさに驚きます。ポジションのよさも相まって、車体の四隅の位置がすんなりつかめます。


インテリアも外見同様にとても簡素。2007年以降はインパネにディスカバリー3のものが流用されてかなりモダンな雰囲気になりましたが、それ以前のモデルはまさに「働くクルマ」といった感じです。作業車なので汚れることを前提にしているからで、このクルマにはとても似合っています。



撮影した車両は2000年ごろの110。本来後席は6:4の分割シートですが、これは他車のものに交換されています。サンルーフや左右の細長い「アルパインウインドウ」があるため車内は開放的な雰囲気

 出典  Funmee!!編集部


フロントシートは、背の角度が立っています。そしてあまりリクライニングしません。無理にお尻を前にずらして座ると腰を痛めます。しかしオフロードカーというのはそういうもの。腰の後ろをしっかりシートの背につけるのが正しい姿勢です。


ただし問題は、後席も同じく背が立っていて、まったくリクライニングしないこと。オフロードカーなので正直乗り心地もあまり快適とは言えず、家族を後ろに乗せる場合には、文句が出るかもしれません。ディフェンダーのオーナーは、後席は他車のシートを改造して取り付けている人も多くいるようです。



荷室の広さは長さ1,900×幅1,430mm。左右に見える段差部分に2脚ずつ折りたたみシートが横向きに装着されている個体もありますが、この車両は取り外されています

 出典  Funmee!!編集部


荷室スペースは四角くて広いので、荷物はドカドカ載せられます。テントやBBQ道具を積んでキャンプなどに行くにはピッタリなクルマです。


ちなみに、2006年以前のモデルでは、この荷室スペースの左右に、横向きに2脚ずつ折りたたみ式のシートが装着されているものがあります。パイプ椅子にクッションをつけたようなシートなので、どうしてもという時以外は使いたくない代物ですが、いかにも兵隊さんや作業員が乗るような趣は、このクルマが実用車であることを実感させてくれます。



働くクルマらしい、トラックのような運転フィーリング


では、エンジンをかけてみましょう。「ディフェンダー」の名になってからのこのクルマのパワートレインは、先ほどあげた90の特別仕様車のみ4リッターのガソリンエンジン×ATですが、それ以外はディーゼルターボエンジン×MTになります。


1990年から2.5リッター直列4気筒107馬力のランドローバー製「200Tdi」、1994年から2.5リッター直列4気筒111馬力の「300Tdi」、1998年から2.5リッター直列5気筒122馬力の「Td5」、そして2007年からはフォード製2.4リッター直列4気筒122馬力の「Tdci」、さらにTdciは、2012年からはフォードとPSAが共同開発した2.2リッター直列4気筒122馬力のものに置き換えられています。


イグニッションキーをひねると、ゴロゴロゴロ……、というディーゼルエンジンらしい音が響きます。コックピットの雰囲気も相まって、フィーリングはまさにトラック。


「1速は一般的なトラックよりは伸びます。クラッチやミッションをいたわるためにも、トラックのように2速発進するのはおすすめしません」とランドローバー専門ショップ「ツインランド」の高松一也店長は語ります。



ランドローバー専門ショップ「ツインランド」。「ディフェンダーはランドローバーの中では一番壊れにくいモデルですが、ランドクルーザーなどと比べると手のかかるクルマ。いたわりが必要です」と高松店長

 出典  Funmee!!編集部


「低速トルク重視なので、高回転までは回りません。Td5以降のエンジンなら高速道路で時速120km巡航も余裕でできますが、それ以前のエンジンは時速110kmぐらいが精一杯ですね」


下り坂ならもっとスピードは出せますが、いずれにしてもこのクルマが本領を発揮するのはオフロード。高速道路でエンジンをぶん回すような乗り方はこのクルマには向きません。ゆったりクルージングするのが合っています。



ゆったりながして走るのが似合うクルマです

 出典  Funmee!!編集部


ステアリングはパワステですが、基本的に悪路での走行を前提に設計されているので、キックバックを軽減するためにハンドリングは非常にスロー。そしてフルタイムの4WDなこともあってハンドルの切れ角も少なめ。だから一般的な乗用車に慣れている人にとっては、小回りの利かなさに最初はとまどうかもしれません。ショートボディの90は問題ありませんが、110では細い路地で右左折する際には少し気を使います。しかしその点にだけ注意していれば、ドライビングポジションが秀逸で、ボディの見切りがよいので、街なかでもとても運転しやすいクルマです。


「ディフェンダーは、基本的に軍用とか、途上国向けに販売されていたクルマ。川を渡ったりするので、室内に水が入ってくるのも当たり前。だから入った水が出やすいように緩いつくりになっています」と語る、高松さん。従って、気密性とは無縁。ドアの開閉音も「バシャン」という感じですし、窓を閉めて走っているとエンジン音を含めいろんなノイズが室内に響きます。


なのに、このクルマに乗っていると、何だか楽しくなってきます。その緩さも、音も振動も許せてしまうのです。今のSUVのようにいろいろと行き届いていないところが、逆にこのクルマの「働くクルマ」感を強く感じさせてくれるのでしょう。男子は働くクルマ、大好きですから。21世紀の街でも、40年近くデザインが変わっていないこのクルマに乗っていると、未開の荒野を走っているような気分になれるのです。



大きくて太いハンドル。この車両のハンドルは社外のものに交換されていますが、ノーマルはこれよりもひとまわり大きめ。また同じローバーグループのMINIと同様に、右ハンなのにウインカーレバーは左についています

 出典  Funmee!!編集部


■取材・撮影協力

ツインランド

1996年に開店したランドローバーおよびランドクルーザーの専門店。現在は取り扱いの9割以上がランドローバーで、ディフェンダーがその大半を占める。20年以上かけて培ったランドローバーの整備技術に定評があり、オーダーに応じて車両の販売も行う。


神奈川県相模原市中央区千代田2-6-2

TEL:042-730-6088

営業時間:10:00〜19:00(日曜祝日は〜18:00)

休み:水曜




===

文:和田達彦(Tatsuhiko Wada)

写真:銭田豊裕(Toyohiro Zenita)



最新情報はこちらから フォローやいいね!をして最新情報を受け取ろう

Funmee!!編集部

Funmee!!編集部

TOP