野山を裸足で駆け巡る“野生”バーテンダー・松島壮志さんに聞く、裸足ランニングライフ


“人間本来の走り”を探求するうちに、いつしか裸足で野山を駆け巡る裸足ランナーとなった、つくば市のアイリッシュパブのマスター松島荘志さん。

「人生が変わってしまいました」と笑いながら語る松島さんですが、聞いてみると、裸足ランニングがもたらした変化は生活にも及んでいたようです。

ライフスタイルにも変化をもたらした裸足ランニングの魅力や、楽しみ方、裸足ランニング初心者へのアドバイスを伺います。

モノへの依存を“捨てて、自分の輪郭をはっきりとさせる”

 出典  Funmee!!編集部


―― 裸足ランニングを始めて、走り以外に変化はありましたか?

 

何もかもが根本的に変わってしまいましたね(笑)。まずは食生活。『EAT & RUN』という本の中で、著者スコット・ジュレックが超長距離(ウルトラ)マラソンと食について書いていたんです。「頭で考えても何も始まらない!」と、ひとまず動物性の食事を摂らない食生活「ビーガン」を1ヶ月限定で試してみたのですが、感覚が研ぎ澄まされるような心地がしました。それから今に至る3年半近く、ビーガンを続けています。

 


―― 走ることだけでなく、生活全体にも影響があったんですね。

 

いやー、もう人生変わっちゃいましたよ(笑)。それから、自分のお店へのスタンスも変わりましたね。それまでは「良い酒や食べものを置くことがお客さんに喜んでもらうこと」と信じていたので、いわゆる“モノのパワー”に依存しがちでした。でも、裸足ランニングやビーガンを始めて、「おいしい料理やオシャレなモノを用意しなくても、お客さんに居心地の良い空間を提供できればいいな」という考え方に変わったんです。ただ、「自分が良いと思ったものを出す」を長年のモットーにしてきた分、ビーガンを始めたころは「お店のウリである生ハムを提供し続けるべきか」ということはだいぶ悩みましたけどね(笑)。



 出典  Funmee!!編集部


―― モノへの依存を断ち切ることで大事なことが見えてきた、という感じでしょうか。

 

そうですね。現代社会は、モノをどんどん買い足していって、飽きたらまた違うものを買って自分を満たしていこうとする風潮がありますが、そうではなくて“減らす”ことによって自分の輪郭をはっきりさせて、自分と向き合う幸せを感じています。



「子どもが師匠、お客さんは仲間」松島さん流の楽しみ方

 提供  松島壮志


―― 松島さん流の裸足ランニングの楽しみ方を教えていただけますか?

 

裸足で地面を踏み、自分と向き合いながら走ることはもちろんなのですが、それ以外だと「仲間と一緒に走る」ことを楽しんでいるかもしれないですね。ランニングのサークルをつくって週に1度一緒に走ったり、大会に出たりしています。ちなみに、サークルのメンバーはだいたいお店のお客さんで、「走って汗をかいた後に飲む一杯は最高だよ」と言って勧誘しています(笑)。それから、家族とも一緒に走りますね。

 


―― えぇっ、ご家族もご一緒にですか!?

 

はい。我が家は妻と子ども3人の5人家族なんですが、この間も家族みんなで山に行って、裸足で走ってきましたよ。子どもは何も教えなくても自然と裸足で山を走ることができて、僕のほうが研究させてもらっているくらいです。それからこの間は8歳になる一番上の子が「つくば健康マラソン」の小学校1・2年生の部に出て、裸足で優勝したんですけど、あれは気分がよかったですね。



 提供  松島壮志


―― つくばでも話題になりそうですね。

 

そうそう。僕も最近のトレーニングはもっぱら山なんですが、つくばの町中を裸足で走ることもあるんですよ。裸足で走っているところを見た人に「やってみたい!」って思ってもらえるように。裸足ランニング人口が少しでも増えるといいなと思っています。



「無理をせず、“楽しい”だけを探求してほしい」


―― 松島さんのお話を聞いて、裸足ランニングに興味を持たれる方も多いのではないかと思うのですが、足裏が痛くなることはないのでしょうか?

 

アスファルトを走っていてケガをすることはないのか? とよく聞かれますが、裸足ランニングを始めてから足裏をケガしたことは、僕の場合は一度もありませんね。ワラーチというサンダルに関しても、靴ズレはまずない。スケートボードで考えればわかりやすいですが、うまい人はボードの上にうまく“乗っている”ように見えるじゃないですか。ワラーチも一緒で“履物”ではなく、“乗り物”と考えれば、格段に走りやすくなる気がします。



 出典  Funmee!!編集部


―― 最後に、裸足ランニングを始めたい方にアドバイスをお願いします。

 

無理をしないことでしょうね。現代人の身体は靴を履く生活にすっかり慣れているので、裸足で生活するときと比べると、ギブスが付いたようになっているんですよ。だから、普段使っていない部分をいきなり使おうとすると、当然疲れてしまう。そこで無理をするのが美徳、というのは違うと思うので、疲れたら休んで、楽しいと思うことだけやっていくことが大切だと思います。僕もストイックだねとよく言われますが、裸足ランニングもビーガンも、楽しくなくなったらいつでもやめます。自分に向き合って、よりナチュラルな走りができるようになることが、単純に楽しいから続けている。自分が変わって、世界を広げていけることのほうが豊かさを教えてくれるのが、裸足ランニングなんじゃないかなと思います。



【前編】「裸足が自然なフォームを教えてくれた!」アイリッシュパブマスター・松島壮志さんが裸足で走る理由


■プロフィール

松島 壮志(アイリッシュパブマスター)

筑波大学在学中よりバーテンダーの世界に魅入り、修行を積む。2002年には、本物のクラフトビール・パブ文化を根付かせたいと、茨城県つくば市にてアイリッシュパブ「Finlaggan」をオープン。2012年秋、知人の誘いがきっかけでランニングを始め、“よりナチュラルな走り”を求めて試行錯誤を重ね、現在の裸足ランニングスタイルにたどり着いた。最近では、山などの不整地を裸足で駆け巡るなど、ワイルドなトレーニングにも勤しんでいる。

 

「Finlaggan」

住所:茨城県つくば市天久保2-9-2 リッチモンド2番街ビル2階 B-203

電話:029-852-0244

営業時間:18:30~27:00(日・月休み)



※注意

裸足でランニングする際には、安全に十分に考慮し、自己責任のもと行ってください。


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企画・編集協力:枻(エイ)出版社

文:佐々木ののか (Nonoka Sasaki)

写真:飯村ゆみ (Yumi Iimura)


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