#39 シトロエン DS(歴史編)
自動車
【趣味人ジドウシャ部】︎

#39 シトロエン DS(歴史編)


クルマの新旧や機能だけでなく、趣味性の高いクルマ、さまざまな趣味への汎用性が高いクルマを紹介するこの連載。今回紹介するのは、フランスシトロエンで長年フラッグシップモデルを務めたロングセラー、DSです。




20年間で145万台も生産されたフランスの国民車


今回紹介するのは、1971年式のシトロエンのDSです。以前紹介したCXの祖となったモデルで、1955年から1975年まで20年間で約145万台を製造したロングセラーです。基本骨格にボディパネルを張り合わせる構造で、流れるようなボディは、ボンネットはアルミ、ルーフはFRPと部位によって素材を使い分けて軽量化と低重心化が図られています。





それまでのラジエターグリルがアイコンとなっていたフロントデザインから大きく進化しました
 出典  Funmee!!編集部
それまでのラジエターグリルがアイコンとなっていたフロントデザインから大きく進化しました


デビュー当初、「宇宙船」と評されたほど、未来的、かつスペーシーなボディデザインは、シトロエン社内のデザイナー、フラミニオ・ベルトーニが担当した傑作です。空力的に優れた流線型のボディは、’50年代としては世界的にも最も進歩的なものだったといわれています。

 

絞り込んだボディ後端にテールランプを配し、ウインカーはルーフ後端の高い位置に備わるため、後方からの視認性に優れていました。ちなみにリアガラス後部が開くトランクは、開いた状態でもほとんど後方視界を遮らない設計になっているそうです。



流線型のボディですが、独立したトランクを持ちます。トランクヒンジはリアガラスのモールを兼ねています
 出典  Funmee!!編集部
流線型のボディですが、独立したトランクを持ちます。トランクヒンジはリアガラスのモールを兼ねています


以前紹介したCXの記事でも説明しましたが、シトロエンDSには、サスペンションはもちろん、パワーステアリングやブレーキの倍力装置、さらには半自動変速機の制御にも油圧を使った、「ハイドロニューマチックシステム」が採用されました。サスペンションは5段階の車高調整機能が備わり、運転席足元のレバーを操作するだけで、簡単に車高を調整することが可能でした。




レバー操作のみで簡単に車高が調整できるのもハイドロニューマチックの特徴です
 出典  Funmee!!編集部
レバー操作のみで簡単に車高が調整できるのもハイドロニューマチックの特徴です

仏大統領にも愛されたポストウォーモデル


戦前に設計されたFF車、トラクシオン・アヴァン(フランス語で前輪駆動の意)の後継モデル開発は、1938年にスタートしましたが、第二次世界大戦で中断してしまいます。戦後本格的に開発が再開されたものの、先進の機構を多数盛り込んだため、開発には莫大な時間と費用がかかり、DSは他メーカーの戦後モデル発売から大きく遅れて1955年に登場します。しかしながら開発に時間をかけたために完成度は非常に高く、その後20年に渡ってロングセラーとなるのです。初期モデルはフェンダーに丸目二灯のシンプルなヘッドライトが備わる構造でしたが、1967年にガラスにカバーされたコンビネーションランプに変更となります。



初期型モデルはフェンダーから突起した丸目二灯ヘッドライトなのが特徴です
 提供  CITROEN
初期型モデルはフェンダーから突起した丸目二灯ヘッドライトなのが特徴です


DSはフランスの多くの政治家にも愛用されました。なかでもシャルル・ド・ゴール大統領は常にDSを愛用していることでも知られています。1962年にDSに乗車中に狙撃された際もFF機構とハイドロニューマチックの優れた性能によって、リアタイヤをパンクさせながらも3輪で現場を脱出し、大統領は無事でした。このエピソードは結果的にDSの性能を世間に喧伝する大きな出来事となったのです。



DSは政府要人にも愛用されました。写真はシャルル・ド・ゴール大統領のパレードに使用された専用車です
 提供  CITROEN
DSは政府要人にも愛用されました。写真はシャルル・ド・ゴール大統領のパレードに使用された専用車です


「DSはデビューから半世紀たったいまでも乗り心地も全く遜色ないし、現代車をリードするほどの高速巡航性能があります。しかもこのクルマはインジェクションを最新の制御システムに変更しているため、燃費も良く環境に優しい一台になってます」とJAVEL代表の竹村さん。こんなクラシカルな外観で普通に走れるフランス車のオーナーになってみませんか?



JAVEL社屋2階には初期型のCXを窓際に展示。1階では多くのシトロエンが修理を待っています
 出典  Funmee!!編集部
JAVEL社屋2階には初期型のCXを窓際に展示。1階では多くのシトロエンが修理を待っています

これまでFunmee!!で紹介してきた2CVや、今回紹介したDSのデザイン性に着目。ファッションの都・パリで生まれ、愛されてきたシトロエンの足跡をこの一冊で辿ることができます。


■取材協力

JAVEL

 

フランス車のなかでもシトロエンだけを扱う専門店。ハイドロニューマチックを備えたDS、SM、CX、GBなどクラシックシトロエンを得意とするだけでなく、近年の車両ではC6、C5、C4などのディーゼルモデルも取り扱っています。

 

東京都品川区荏原2-18-10

TEL:03-3784-5051

営業時間:9:00〜18:00

休み:月曜、第2&4日曜、祝日

 

 

===

文&写真:勝村大輔(Daisuke Katsumura)



自動車
自動車
2018年7月31日
Funmee!!編集部
Funmee!!編集部

RANKING

ランキング