【僕のサン=サーンス】#06 初めてのお稽古(前編)「初心者でいきなり『白鳥』は……」


いつの日かの憧れに本気になるオトナがその気になれば……?

 

名曲『白鳥』を弾きたい一心で七転八倒する無謀な連載企画「僕のサン=サーンス」第6話は、いよいよ初めてのお稽古。音大卒の先生に習うのです! これを見ればあなたもチェロが弾けるかも!?



僕のアキコ先生


僕は独善的でせっかちな性格なので、何事も「習うより慣れろ」で生きてきました。そのせいで痛い目に遭ったこともありました。いい加減に覚えるべきは学習です。「慣れるより習え」です。

 

そんなわけでチェロの先生につくことにしました。ご紹介します。山崎明子さんです。



マイチェロ持参で登場のアキコ先生です

 出典  Funmee!!編集部


国立音楽大学音楽学部器楽学科卒。舞踏家の笠井叡氏の公演ツアーでイタリアやドイツに遠征。現在は演奏会、音楽教室講師、レコーディング等で活躍中。僕のチェロ騒動に巻き込まれたヤマハの関係者様にご紹介いただきました。とてもさっぱりとした印象のアキコ先生であります。

 

蛇足だけど、チェロ奏者って普段着はカジュアルなんだ……。



まずはあれこれセットアップ


そんなこんなで最初のお稽古は、都内某所の練習スタジオにて。まずはセットアップから。バンドのリハなどでよく利用される練習スタジオのメリットは、アンプの用意があること。僕のサイレントチェロは、アンプさえあればオーケストラに負けないほどの大音量で奏でられる。無論、この時点でオーケストラと張り合うことに何の意味もないけれど。

 


「私、そういうのまるでわからない」。ふふふ、ひとつ勝った気になる

 出典  Funmee!!編集部

弓を張れ!


次は弓の張り方。持ち手側の端にあるネジを回すと毛にテンションがかかる仕組み。張り具合で音の印象や弾き心地が変るのだけど、初心者がそれを体感できるのは少し先の話。ひとまず適正の張り具合は、弓と毛の間隔が指1本程度。およそ1cmの隙間になるようネジを回します。



弓と毛の間に人差し指を差し込んで張り具合を確認

 出典  Funmee!!編集部

見た目のテンションはこんな感じ。少し前にアキコ先生愛用の弓が折れたそうで、現在は「トナオさんのと同程度」を使っているとか。弓って折れるの?

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松脂(マツヤニ)を塗れ!


弓の毛に松脂を塗る。ちなみに弓の毛はおおむね馬だそうです。僕のカーボン製の弓にもどこかで生まれ育った馬の毛が植えられているわけだ。感謝と敬意を込めて、当分は馬肉を食べないことにします。

 

それはさておき、松脂はいわゆる滑り止め。毛の表面に松脂ブロックを這わせて塗りつけます。しかし、弓だの松脂だの太古を連想する道具を常備する日が来るとは。



チェロ購入と同時に買いました。微かに香料の匂いがするカッチカチの硬質固形物。普通の暮らしで他に使える充てはなし

 出典  Funmee!!編集部

これはアキコ先生の松脂。「削れ方に性格が出るみたいです」

 出典  Funmee!!編集部



「幽霊の手のように」


少しずつ本丸に近づいていきます。弓の持ち方です。「幽霊の手のように」。これがアキコ先生のアドバイス。でも、幽霊の手なんて見たことないですぅ。

 

「脱力が大事という、私の先生の教えです。弓の持ち方にも基本はありますが、正しく弾ければどう持ってもいいんです。とにかく手の力を抜いて、優しく」

 

ふむ、初デートで女の子の手の握り方を教わっているみたいだ。なんてつぶやきは、もちろん心の中に留めたけれど。



弓の持ち手のくびれた部分を、中指の第一関節と親指で挟む。その時点で腕の筋肉に変なこわばりが……

 出典  Funmee!!編集部

だいたいこんな感じで握ります。何となく脱力感が乏しいような気がする

 出典  Funmee!!編集部



クラシックの世界も電子チューナー


続きまして調弦。アキコ先生も今は電子チューナーを使うそうな。ギターと同じだ。けれどチェロの糸巻きは、棒を穴に刺しただけの古典的なギアなしスタイルなので、ギターに慣れた身にするとえらく難儀します。ただし、一度しっかり調弦しておけば大きく狂わないみたいです。細かいチューニングは、弦の末端を止めるテールピースの上のアジャスタを使用。これ、便利。



テールピースに電子チューナー。アジャスタをくりくり回して微調整

 出典  Funmee!!編集部

小難しい話なので手短に。クラシックの世界では“A”の音を442ヘルツに合わせるそうな。国際基準は440ヘルツ。つまり2ヘルツほど高音。弦のテンションを高めにすると華やかで響きのいい音が出るかららしい

 出典  Funmee!!編集部


うわ、セットアップだけで1話分が終わっちゃった! まだ全然弾いてない。

 

とまぁ、ずるずる引っ張っていきますが、実はお稽古の前に先生にひとつ質問しました。『白鳥』って難しい曲ですか?

 

「初心者でいきなりは……。音数が少ない分、一音一音の音質や正確さが求められるし、左手の運指も激しい。誰もが知っている名曲だけあって……」。いやいや、もう結構です。それ以上聞いたら練習を続ける意欲を失いますからっ!



先生の話を必死でメモする健気な生徒。後編をお楽しみに!

 出典  Funmee!!編集部




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文:田村十七男(Tonao Tamura)

写真:小澤義人(Yoshihito Ozawa)



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Funmee!!編集部

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