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#16 GMシボレー・カマロ(ディテール編)
【趣味人ジドウシャ部】︎

#16 GMシボレー・カマロ(ディテール編)


クルマの新旧や機能だけでなく、趣味性の高いクルマ、さまざまな趣味への汎用性が高いクルマを紹介するこの連載。16台目は初代「シボレー・カマロ」です。

 

いわゆる「ポニーカー」として誕生した初代カマロですが、自動車メーカーの威信をかけた販売合戦から自然と流れはパワー競争に。好調なアメリカ経済とともにマッスルカーの黄金期を迎えます。当然、カマロもまた高出力化を図るのですが……



筋骨隆々。強靭なパワーを身に着けたワイルドポニーへの変貌

およそ50年前のクルマとは思えない走りを披露する初代カマロ。電装系やブレーキを現代風にアレンジすれば日常使いも可能です
 出典  Funmee!!編集部
およそ50年前のクルマとは思えない走りを披露する初代カマロ。電装系やブレーキを現代風にアレンジすれば日常使いも可能です


永遠のライバルであるマスタングとの凌ぎ合いは、レーストラックを離れても続きます。フォードはキャロル・シェルビーとの連携でGTを、1969年の2代目からは高出力のホモロゲーションモデルBOSSシリーズを展開します。

 

一方、GMは上級モデルのコルベットの存在があったので、シボレー・ブランドの上限排気量を400キュービックインチ(約6.5リッター)と定めていました。カマロの最上級モデルはSS396。

 

しかし、それでは納得の行かない一部の有力ディーラーは自社販売を条件にGMと交渉。さらに高出力エンジンである427(約7リッター)を搭載させます。本格的マッスルカー時代の到来です。



世代ごとのパワースペックグラフ。時代背景を反映していることがご覧いただけます
 画像提供  GM
世代ごとのパワースペックグラフ。時代背景を反映していることがご覧いただけます


ダッジ・チャージャー、プリマス・バラクーダ、ポンティアック・ファイアーバードなど、マッスルカーの名を挙げればきりがありませんが、1960年代後半から排気ガス規制の引き金となるマスキー法が施工される1970年代初頭までアメリカ車は黄金期を迎えます。

 

いまにして思えばマッスルカーのムーブメントは自動車メーカーも本意ではなかったのかも知れません。結果的に日本では、アメリカ車=ガスイーターというイメージが定着してしまいました。短い距離で加速と停止を繰り返す日本の道路事情も手伝い、いまなおその印象は拭え切れないのです。



広大な国土に根付いたアメリカンカルチャーが産んだ自由なクルマ

スクエアなコンビレンズが精悍な印象のリアビュー。メカ好き男子のハートを射抜きます
 出典  Funmee!!編集部
スクエアなコンビレンズが精悍な印象のリアビュー。メカ好き男子のハートを射抜きます


今回取り上げた初代カマロに限らず、道幅が広く住宅事情に恵まれたアメリカは、他国に比べれば規制が少ないといえるでしょう。日本のようにいまだ5ナンバーサイズにこだわるようなクルマ造りではありません。

 

また、国土の大部分は戦火にまみえることもなく、ミドセンチュリーを謳歌した数少ない大国です。いち早く日常生活にはデザインがあふれ、それ故に独自の文化を育みました。その黄金期に誕生したのがポニーカーであり、そのなかのカマロなのです。



レトロモダンなディテールが新鮮です。ミドセンチュリーデザインの魅力のひとつ
 出典  Funmee!!編集部
レトロモダンなディテールが新鮮です。ミドセンチュリーデザインの魅力のひとつ


魅力は尽きないカマロですが、シンプルなディテールのなかに見え隠れする1950年代の華やかさとは趣の異なるデザインが特徴です。この時代はまだクロームパーツも多く、エクステリアやインテリアのコントラストを高めます。



三角窓は初年度のみが装備するクラシックな部分。デビューイヤーは生産台数が少なく比例して見つけづらいモデルです
 出典  Funmee!!編集部
三角窓は初年度のみが装備するクラシックな部分。デビューイヤーは生産台数が少なく比例して見つけづらいモデルです


誕生からおよそ50年。戦後生まれとはいえすでにヴィンテージカーの域に達するカマロですが、モディファイの程度により現代でも日常使いにできるほどクルマを仕上げることが可能です。



信頼性の高いカスタマイズパーツで日常使いが可能に

標準の固定式ヘッドライトを装備した1969年式モデル。ボディのプレスラインも変更されボリューム感が増しています
 出典  Funmee!!編集部
標準の固定式ヘッドライトを装備した1969年式モデル。ボディのプレスラインも変更されボリューム感が増しています


さて、実際に初代カマロを入手するとなると、年式ごとの特徴やレア車、流通量など気になることも増えてきます。取材先のレッドラインオートモーティブ代表の羽生勝一さんに現在の状況を伺ってみました。

 

「10年前なら100万円代でベース車を入手できましたが、いまは本国でも人気が高く、流通量そのものが減少しています。また、レストア内容を考慮すると安心して乗れるもので500万円前後というスタートラインでしょうか」



現代的な発光式のアナログメーターでカスタマイズ。視認性が向上しますね
 出典  Funmee!!編集部
現代的な発光式のアナログメーターでカスタマイズ。視認性が向上しますね


金額的には国産上級車並。で、実際に乗り込んでみると、一見狭そうな後席は大人が十分乗れる広さです。趣味車といえども実用的なカマロのようです。

 

「アメリカ車の良いところは、いまでもメーカーがパーツを供給してくれる点です。シボレーならGMパフォーマンスパーツ、マスタングならフォード・レーシング・パフォーマンスパーツ、チャージャーならモパー・パフォーマンスパーツといったアフターマーケット部門があり、新品のエンジンやミッションも入手できるのです」



オリジナルメーターも魅力的ですが、最新技術による計器類をインストールすることが可能です。カスタマイズパーツの多さもアメリカ車の魅力です
 出典  Funmee!!編集部
オリジナルメーターも魅力的ですが、最新技術による計器類をインストールすることが可能です。カスタマイズパーツの多さもアメリカ車の魅力です


ここ数年、フェラーリやランボルギーニといった欧州メーカーもクラシック部門を正規に構えかつての名車をサポートしていますが、アメリカはそれが普通の行為となっているのです。

 

「撮影していただいた車両は日常の足にできるレベルまで仕上げたもので、キャブレターであることを除けば、電装系やエアコン、メーター類など、欲しいところはいまの技術で仕上げています。エキマニからマフラーの部分は、敢えてアルスター材(スチールの一種)を使いワンオフで製作。ステンレス材と比較して柔らかいサウンドを奏でます」



V8サウンドを響かせてクルージング。アクセルをワイドに開けなければ思いのほか静かです
 出典  Funmee!!編集部
V8サウンドを響かせてクルージング。アクセルをワイドに開けなければ思いのほか静かです


モデルイヤーは1967年。初年度生産モデルのみ装備される三角窓が特徴です。1968年モデルで若干のフェイスリフト、最終型の1969年モデルはプレスラインが変わり若干ボディが大きくなり、シャープさが加わっているそうだ。

 

「絶対的な流通量は生産台数に比例して1969年モデルが多くなります。ストックにこだわるにせよ、カスタマイズするにせよ、とにかくパーツが多く供給面で心配することはありません」



一番手前が初代、右が2代目、左が3代目カマロです。直輸入のレアなダイキャストモデルの取り扱いはレッドラインコレクティブルズとなります
 出典  Funmee!!編集部
一番手前が初代、右が2代目、左が3代目カマロです。直輸入のレアなダイキャストモデルの取り扱いはレッドラインコレクティブルズとなります


現在に基準に照らせば搭載された350エンジン(5.7リッターV8)は、ストックなら最高出力299ps(撮影車両はファインチューンで355ps)と数値としては驚くほど高くありません。無論、アクセルを踏み込めば相応のパワーに包まれダイナミックに加速します。

 

しかし、何と言っても初代カマロの魅力は、半世紀を経たクラシックなデザインと迫力あるサウンド、そこがONとOFFをわきまえた大人のクルマに映ることなのです。



異国情緒たっぷりのガレージの風景。迫力あるV8サウンドが聞こえてくるようです
 出典  Funmee!!編集部
異国情緒たっぷりのガレージの風景。迫力あるV8サウンドが聞こえてくるようです
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■撮影協力

レッドラインオートモーティブ


1998年創業のアメリカ車専門店。車両販売からメンテナンス、カスタマイズまで幅広く対応してくれます。GM、フォード、クライスラーとアメリカ御三家は得意分野。また、自動車趣味が講じてダイキャストミニカーを取り扱う「レッドラインコレクティブルズ」も運営中です。リンクのウェブショップは必見です!   

 

神奈川県横浜市港北区新羽町 889

TEL:045-545-9111

営業時間:12:00~20:00 日曜・祝日 12:00~18:00

休み:水曜

 

 

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文:教重誠一(Seiichi Norishige)

写真:銭田豊裕(Toyohiro Zenita)



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2018年1月10日
Funmee!!編集部
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